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RPGやり込みおっさんは、転生してもカンストを目指す~オーガたちから英雄扱いされ、気づけば魔王になっていた~  作者: 時津津
第一章 ゲームやり込みおっさんとオーガの里

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「うひー、食った、食った」


「もう入らないね!」


「ああ」


 集会場の広間。

 里の全員が座れる大テーブルに座り、ウエディングトカゲ料理とドラゴンステーキをみんなに振る舞った。

 ドラゴン肉は意外と柔らかく、ウエディングトカゲほどじゃないが美味かった。

 とにかく量も多いし大満足だ。

 なんだかこれを食ったジジババ達も元気になったような気がする。


 結婚式、といっても何の肩肘を張る必要もない、いつも通りの食卓みてえだったけど、一つだけ、いつもと違うことがあった。

 それは、式の始まり、って時に俺とラグナの前にそれぞれ出された、ウエディングトカゲの肩の部分の骨付き肉。

 これを俺たちが食い終わるまで、ジジババ達はじっと俺たちを見ているだけで、何も食おうとしなかった。

 

 なんだか落ち着かねえな、と思いながら肉を食い、骨を置くと、すぐに皿が下げられ、そっからはみんなが好き勝手に色々と食い出したんだ。

 何だったんだ?


「すっごい美味しいね!ウエディングトカゲ!」


「ああ、すげえよな。醤油も何もつけてねえのに何であんなに美味いんだろうな?」


「しょうゆ?へえ!それ付けたらもっと美味しいの?

 ……また、食べたいなー」


「そうだなぁ。醤油、作りてえなあ」


「モガトシが新しいお嫁さん連れて来たらまた食べれるんだよねっ?」


「ぶっ!

 ……お前なあ、言ってる意味わかってんのか?」


「へ?アタシ変なこと言った?」


「言った。

 ……大体、今日結婚したばっかりじゃねえか」


「……あれれ?モガトシはアタシとずっと二人がいいってこと?」


「……」


 答えにくいことを平然と聞いてくるな、コイツ。

「ああ、そうだよ」と面と向かって言いたいが、離れた席からニヤニヤして聞き耳を立てる長老(ジジイ)に聞かれたら……


「……このトカゲなら、また今度獲って来てやるから」


「お嫁さんは?」


「……」


「……それはお前だろ」


「「「うおおおー!」」」


「よくもまあそんな歯の浮くことを言えるのう!」「うちのジジイは言ってくれんのにのう!」「ワシ的にはもうひと押しあってもええけどのう」「あの婿殿にしてはよく言った方じゃ!我慢せい!」「うちのジジイより気が利いとるよ!」


 オババ達の黄色い歓声?が沸く。


「……それはそれとして、じゃ」


 何だか居心地悪そうな長老(ジジイ)


「ほれ」


 ほいと渡されたのはさっき食った肩の部分の肉の残りの骨。

 さっさと持っていったな、と思ってたら、洗って磨いたらしく、すごく綺麗になっている。


「わあ!ありがとう!」


 隣のラグナも同じものをラライ——お義母さんに手渡されている。


「んふふ、婿君と仲良くね」


「うん!」


 満面の笑みのラグナは力強くうなづくと、俺の方に向き直す。


「はい!モガトシ!」


 差し出す手にはさっきの骨。……どゆこと?


「交換するんだよ!

 それで、ずっと持っておくの」


「ほう?」


 ああ、結婚指輪的なやつってことか?


 長老(ジジイ)が一つ咳払いをする。


「ゴホン……

 さて、……骨は、命。

 骨を預け合うものは夫婦じゃ」


「……互いの骨を受け取り、骨ある限り、共に生きよ」


「うん!」


「おう、任せろ」

 

 長老(ジジイ)の口上を聞き、手に持つ骨をラグナと交換する。


「ここに、新たな夫婦が誕生した!

 二人を祝福し、オーガに繁栄を!」


「「「骨ある限り、共に生きよ!」」」


「モガトシ、アタシの骨、よろしくね!」


「ああ」


「……お前もな」


「うん!……えへへへ……」


「さて、さて皆の衆、……片付けじゃ!」


 その声を聞いたオババ達が一斉に立ち上がり、ニヤニヤと笑いながら食器を抱えて広間をあとにしていく。



「……えらく慌ただしいじゃねえか」


「そりゃそうじゃろ。

 ……結婚式はもうおしまいじゃ。

 夜の営みを邪魔してはならんからの。」


「……は?」


「あとは、若いモンは若いモン同士ってことじゃ」


「…………は?」


「ほれ、ラグナ。

 ……婿殿を連れて行け」


「うん!」


「……いや、どこに!?」


「そりゃ、寝屋じゃろ。

 初夜ってやつじゃ」


「早く行こっ!モガトシ!

「仲良し」ってやつするんでしょ?」


 グイグイ俺の腕を引っ張るラグナ。


「お前!絶対意味分かってねえだろ!?」


 はたと、引っ張るのをやめるラグナ。


長老(じいちゃん)、初夜って何するの?」


「…………婿殿が知っとるんじゃないかの?」


「……そっか!わかった!」


 再びグイグイ引くラグナに連れ去られる俺。

 だけど、その直後——


 「ラライ!こっちに来なさい!」と、長老(ジジイ)の叫び声だけはちゃんと聞こえたぞ。


 ◇


「なんかねっ!

 「初めての仲良しは優しくしてもらうんだよ」ってオババが言ってた!」


「……中途半端な知識だな……」


 ラグナに引っ張られて帰った我が家は、結婚式の合間に勝手に模様替えされていた。

 ラグナの部屋は片付けられ、代わりに俺の部屋には一人で寝るどころか、四人くらい並んで寝れそうなバカでかい布団が一つ。

 どこで拾って来たんだか、ところどころに花びらまで散りばめられてる……。

 

 完全に初夜対策である。

 ……まあ、俺も本で得た知識程度しかないわけだが……。


「……よ、余計な気回しを……」


「アタシのベッド無くなっちゃったけど、おっきい布団だー!やったー!」


「お花だー!すっごいいい匂い!」

 

「お、おう。

 寝にくそうだけどな……」


 パタパタと満面の笑みで走り回るラグナ。可愛い。


「あっ!そうだ!

 帰ったらすぐお風呂入れってお母さんが言ってた!」


「あ……そうか。

 行ってらー」


「えっ?

 ……モガトシは行かないの?」


「……」


「……お、俺も、……一緒に?」


「えっ!一緒……は、まだ、だめ……」


 少しだけ頬を赤くしたラグナは、


「……モガトシはアタシの後ね!」


 くるっと踵を返し、風呂場に走り出すラグナの背中を見送る。


 ……勿体無いことをしたかもしれない。

 ……いや。

 これから先、いくらでもチャンスはある……、はずだ。

 

 ……「初夜」、ねえ……

 ふう、と息を吐く。


 頭ではなにをするものなのか分かってるけど……

 どうやったらそうなるんだ?

 なんて言えばいい?

 ぐるぐると思考が回る……


 

「はぁー!気持ちよかったー!

 モガトシ、お風呂ー!」


 風呂上がりのラグナからはハーブの匂い。

 

「オ、オウ……イッテクル……」


 考えがまとまらない俺は、なぜかカタコトになってしまう。風呂に向かう動きまで出来損ないのロボットみたいだ。

 

「……変なのっ!」


 そんな俺の背中を見てラグナは吹き出した。

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