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RPGやり込みおっさんは、転生してもカンストを目指す~オーガたちから英雄扱いされ、気づけば魔王になっていた~  作者: 時津津
第一章 ゲームやり込みおっさんとオーガの里

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1-18


 俺は、ウエディングトカゲを求めて彷徨い続けた。

 見つけては食ってたトカゲがそれとは知らずに。

 ここ一週間は出会っていないあのトカゲの味を口の中で思い出しながら捜索範囲を広げ、山の麓に洞窟を見つけた。


「もしかしたら、この中にいるかもな……」


 トカゲっていえば爬虫類。目の前の洞窟のような環境を好む種類も多くいる、らしい。

 まあ、ダメ元で見てみるくらいの価値はあるかな、と洞窟に入ることにする。


「おお、涼しい」


 音もなくシンとした中、水滴の落ちる音がする。

 空気自体は少し湿った感じがするが、ひんやりとしている。

 外に出て体が熱くなった爬虫類が体温を下げるのには適してるだろ。飲み水もあるんだろうしよ。

 ……だから、トカゲもきっといるだろう。なんて都合のいいように考えちまう。

 こんな都合のいいこと考え出すだなんて、よっぽど俺はラグナの待つ里に帰りてえんだな。


 一本道を少し進むと、そんな俺の考えを肯定するかのように、岩肌の苔が何かに擦り取られ、あちこちで剥がれているのを発見した。……こりゃあ、あながち俺の勘も捨てたもんじゃねえかもな。

 しかも、痕跡からはその体の大きさが窺われる。

 ジジイの言ってたでかいトカゲって情報にも合う。

 

 

 ……これで帰れるぞ。

 自然と高まる予感に足も早くなる。


 ◇


「おお……予想以上にでけえな」


 一本道をあのまま進んだ俺は、ひらけた空洞に出た。

 そこには透き通った湖と言ってもいいほどの水溜まりとそのほとりで丸くなっている赤い体表の爬虫類っぽい生き物が一匹いた。空気が震えるようなイビキに合わせて上下する体表。……あの辺に肺がある、な。

 それにしてもでけえイビキだ。近所に住んでたら厄介だろうな。

 そして、状況的にコイツがさっきの苔を擦り取ったやつで間違いなさそうだ。


「やっと見つけたぜ。ウエディングトカゲ……」


 口の中だけで呟く。

 それにしてもデカい。ゾウの5倍以上のデカさはあるだろうか。あれを一抱えとか、すっげえデカかったんだな。若い頃の長老(ジジイ)。俺よりデカかったんだろうが、どうしてあんなに縮むんだ?……老いって怖いねぇ。


 さっさと狩って、帰るか。

 トカゲまでの距離は——300メートル位かな。

 ひょいと持ち上げた一掴みほどの石を、ピッチャーモガトシ、第一球!……振りかぶって、——ブン投げる。


 投げる球——石は、空気を切り裂きながら一直線にトカゲの腹に——曲がった!変化球!——ドン!と音を立て、水溜りに水柱が立つ。——ボール!


「あっちゃー。曲がっちまった。俺、まっスラだもんな」


 トカゲは飛び起き、首を左右に振る。「一体、何が起きた!」って顔。その口にはギザギザの歯が見えて俺は「ウエディングトカゲ間違いなし」と、確信。


 よしよし。もう一球。

 俺は狙いを定めて、ゆっくり振りかぶり、——第二球!……投げた!狙いはトカゲのアホそうにキョロキョロする頭!……だったのに、突然大きく広げた翼の根本に吸い込まれ——ボン!と音を立てて翼が千切れる。

 よし!——デッドボール!


「グ!?」


「グガアアアァァー!!」


 千切れ落ちる翼を見てか、トカゲは吠える。

 すげえな。吠えただけで水溜りには波紋状に波が生まれる。

 同時に、トカゲは俺の姿を捉え、四つ脚を駆使してものすごいスピードで駆ける。

 ……あれ?腕?

 前足にあたる2本が後ろ足に比べて細いな。

 ……なんか、絵的にはドラゴンに似てるような。

 でもよ、ドラゴンって言ったらラスボスになるような奴らのことで、こんなトカゲと比べちゃ悪いよな。

 目の前のトカゲにゃ悪いが、俺にはお前は食糧としてしか見えねえよ。

 さて、トカゲとの距離も100メートルを切った。


 ウエディングトカゲは走る足そのままに、大きく息を吸い込み、首を一旦後ろに引いて、炎を吹いた。


「おお、やるなあ」


 俺の後ろに広がるのは、さっきまで通っていた一本道。

 炎がいっぱいに広がり逃げ場がねえ。

 

 うんうん。避け辛いように計算してるとしたら大した野郎だ。……でもな。


 迫り来る炎のブレスの前に、俺は仁王立ち。

 大きく息を吸い込み——ブレスを吹き返す。


 押し返したブレスはトカゲの体を包むが、……どうやら効果はない。

 うーん。……効かねえってか。

 押し返した炎は岩壁をあぶって逆戻り。岩がグツグツと赤く溶けてらあ。

 

 こんな炎に炙られても無事だなんて、火に強いんだな。……コイツの皮なんか、鍋じきとかにいいかもな。


 それなら、首をへし折ってやる。

 大体の生きもんは、首がやられりゃ動けなくなるからな。


 迫り来る足を止めないトカゲに向かい、俺は地面を蹴って俺の胴回りほどあるトカゲの首に横に伸ばした右腕を叩き込む。

 腕に伝わる骨が砕ける感触。


 その勢いのまま、首を両腕で締め上げる。俺の胴回りほどあった首はみるみる細くなる。

 ……細くなってるんじゃねえな。中身が潰れていってるだけだ。


 トカゲの野郎も俺を剥がそうと口から血を吐きながら必死に暴れていたが、やがて白目を剥いてぶっ倒れた。

 

 さて、持って帰るか。

 ……長老(ジジイ)のやつ、こんなのどうやって持って帰ったんだ?

 


 




 

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