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さようなら はじめまして  作者: 鈴木 淳
第四部 安息
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安息4

宿屋の店主に武器の場所を聴いておこう。

すると、この街には3つの武器屋があるらしい。

一つは大通りを南門に向かうとあるらしい。

安いのが売りらしい。だが、耐久性はそこまでだそうだ。

二つ目は東門の大通りにあるところだ。

品数もそこそこ。値段もそこそこ。耐久性もそこそこ。

まぁ、無難なとこだろう。

三つ目は北西にあるらしい。

だが、ここは値段が高く、全てオーダーメイドで作るようだ。

腕前も良く、耐久性も良い。利用している有名な冒険者も多いそうだ。

だが、時間が掛かる。その一点と言った所か。


ふむ。どうするか。

ここは奮発して二つ目くらいにしとくかな?

どうせ投擲用の短剣出しな。

そんなものに高い金を払う訳にはいかないしね。

それに、余りにも高いのもそれはそれで使うのが忍びないというものだ。


「じゃあ、リリィ。悪いけど付き合ってくれるかな?」


「うん。良いよ」


手を引いて東門の大通りに向かう。

すると、直ぐに武器屋が見つかった。

冒険者ギルドにかなり近い所にあった。これは、立地が良い所だな。

冒険者ギルドに近いということはかなりの利便性がある。


扉を開けて、店内に入る。

中はそこそこな大きさの店だ。

壁には大楯や両手剣が飾ってある。

樽もあり、その中には槍や剣等が乱雑に入っている。

見ると、3割引きと書かれていた。

安さには惹かれるが、自分の身を守る武器だ。

そこまで安い物を買う訳にはいかない。


ここは店主に聴いた方が良いか?


「すみません。ちょっとお聴きしたいんですが」


「あいよ。なんだい兄ちゃん」


筋骨隆々な禿頭のおじさんが返答して来る。


「投擲用のナイフを探しているんですけど、ありませんかね?」


「ほぅ、予算はどの程度なんだ? あと本数も教えてくれ」


予算か。そうだなぁ。8本買うとしたら、1本20コルくらいか?


「予算はそうですね。200コルまででお願いします。本数は8本で」


「おう。じゃあ、待っといてくれ」


店主は店の奥に行ってしまった。

そこに、色々保存しているのだろうか?


しばらくして、店主が戻ってくる。


「大体、200コルで8本だとこの3つと言った所か。見本を1本ずつ持ってきてから試してみてくれ」


そう言って、一つずつカウンターに並べる。

一つはいつも愛用しているダガーだ。反りがあるので、切り裂く事も出来るだろう。

今までのは反りが無かったため、突き刺すものだった。

これならより深く傷をつける事ができそうだ。


二つ目はくの字に内反りしている短剣だ。

普段使っているダガーよりも刀身も長く、厚みもある。

だが、使い道がわからない。どう投げれば良いんだ?


三つ目は反りの無い短剣だ。

だが、これは柄の部分が無く刃の部分しかない。

明らかに投げるのに特化した短剣だ。


「あの、二つ目の使い方を教えてください」


「ああ、これはククリって言って、投擲用の斧のような使い方をするんだ。重さが刀身に偏ってるから投げやすいんだ。って言ってもそこまで長い距離を投げられるものじゃない。精々10mが限度ってとこかな」


「なるほど。三つ目はどんなものです?」


「これは棒手裏剣だな。投げれば、確実に相手に傷を負わせられるのが魅力だが、携帯するのが難しいのが難点だな」


なかなか面白い。ククリは使えばかなりの威力が出るだろうし、棒手裏剣は確実に敵に傷を負わせられる。

だけど、やっぱり、ダガーが一番良いかな。

柄を持って投擲する自分のスタイルからは一つ目のダガーが一番合っている気がする。


「やっぱり、一つ目のダガーを8本ください。あ、後、日用品にも使えるナイフを1本お願いします」


「あいよ。それと日用品にも使えるナイフってのはその嬢ちゃん用か?」


「ん? リリィの?」


「はい、そうです。子供が使えるくらいの大きさでお願いします」


「おう。ちょっと待っててな」


また、店の奥に入っていく。


「リリィもナイフを使うの?」


「うん。戦闘でも使えるけど、基本は料理をしたり、採取をしたりとかもっぱらそっち用のナイフかな。そういうのがないと困るしね」


「そっか。分かった」


「待たせたな。じゃあ、ダガー8本にナイフ1本で170コルだ。嬢ちゃん用の鞘はおまけしておいてやるよ。あと、固定用のベルトもな」


「ありがとうございます。助かります。あ、あと前使ってた投擲用のナイフの下取りもいいですか?」


腰のホルスターからダガーを8本出して、店主に見せる。


「ふぅむ。手入れはしてるがかなり使い込んでるな。これじゃあ、大した額にならないけどいいか?」


「ええ、構いません」


「じゃあ、8本で20コルだな。だからさっきのと合わせて150コルでどうだ」


「分かりました。どうぞ」


銅貨1枚と鉄貨5枚を渡す。

そうして、ダガー8本とナイフにベルトも受け取った。


「毎度、ありがとよ」


早速、腰のホルスターにダガーを入れる。

そして、リリィの腰にベルトを付けて、そこにさっき買ったナイフを刺す。


リリィは鞘からナイフを取り出して空に掲げる。


「おお~! リリィ冒険者っぽい?」


「うん。冒険者に見えるよ」


「えへへ。お兄ちゃんありがとう」


「でも、危ないから不用意に出さないようにね」


「はーい」


素直に返事をして、鞘に入れる。


じゃあ、図書館に行くか。まだ、二の鐘はなってないけど、途中でなるだろう。


「じゃあ、ありがとうございました。また、来ますね」


「バイバイ、おじちゃん」


「おう。ありがとな。また来いよ。嬢ちゃんもまたな!」


店主に手を振って武器屋を出る。


すると、鐘の音が辺りに響き渡る。

二の鐘だ。今、8時になったってことだ。

図書館は8時からって言ってたし、もうやっているだろう。

早速向かおう。


「リリィ。次は図書館に行くけど良いかな? 今日一日はそこにいるつもりなんだけど」


「良いよ。リリィも本読むの好き」


「そうなんだ?」


「馬車に乗ってた時、暇だったから本読んでたの」


ああ、なるほど。確かに一人だとやることないしな。

奴隷だし、外に出すことも出来ないからね。

本を読むくらいしかないか。


「分かった。じゃあ、行こうか」


意気揚々と図書館に向かう。

リリィは左手で私の手と繋いで、右手でさっき買ったナイフをポンポンと叩いている。


気に入ってくれたのかな? それなら良いけど。


最近のリリィは子供らしい反応をしてくれる。

それは歳相応の行動で、見ているこっちも嬉しくなる。

今もスキップしながら歩いている。

顔は無表情のままだが、喜んでくれているのだ。

私も嬉しくなる。




そして、図書館に着いた。

私達は扉を開けて、図書館に入るのだった。

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