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さようなら はじめまして  作者: 鈴木 淳
第四部 安息
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安息5

昨日も思ったのだが、図書館に入った時の古書の匂いがどことなく落ち着く。


「どうも。昨日来た者です」


「ああ、昨日いらっしゃった方ですね。では、お二人様で4コルとこの羊皮紙にお名前を書いてください」


受付の人も覚えていたらしい。

まぁ、就業間際に来る奴なんて珍しくて忘れるわけないか。


「はい、どうぞ」


青銅貨4枚を手渡して、羊皮紙に自分の名前とリリィの名前を書く。


「はい。確認しました。では、どうぞゆっくりとご覧になってください」


「あ、ちょっとお聴きしたいのですが、魔法関連の本はどこにありますかね?」


流石に直球に時空魔法とかそういうことに関しては聴きづらい。

あえて、遠回しに聴いてみることにした。


「それでしたら、ここを左手に真っすぐ行くと、魔法関連の蔵書が本棚にあります。他にも、本棚にどの関連の本が入っているか分かりますよ」


「ありがとうございます」


「いえ、でも、魔法関連の本は蔵書が少ないのです」


「それはどうしてでしょうか?」


「魔法を研究されている方は多く広める事をしないで、自分の弟子達に教えるので、国に本を納める方というのは結構珍しいのです。基本は、魔法協会に研究資料を売ったりして、稼いだりする人が大勢です。なので、蔵書は少ないんですね」


ケチ臭いなとは思ったけど、自分の大切な研究した資料を国に無償で納めるなんてのは酔狂なやからかかなり人の良い人しかいないか。

というか魔法協会とかいう新単語が出ましたよ。

魔法があるから絶対にそういう機関もあるとは思ったけど思った通りだな。

これじゃあ、情報屋っていう名の盗賊ギルドとかもありそうだ。


「丁寧にありがとうございます。では、探してみます」


「はい、ごゆっくり」


左手奥に向かう。本棚がたくさん並んでいるが、

魔法と書かれた本棚は2つしかないようだ。


思ったより少ないな。これじゃあ、望みは薄いかな?

左上の端からタイトルを流し見しながら目当ての本を探す。

魔法が使えない自分には余り関係がないので目当ての本だけを探していく。


本棚が2つしかないので30分程度で見終わってしまった。

うーん少ないなぁ。


一応、目当ての本は何冊か見つけた。

無属性魔法について。

古代魔法とその歴史。

精霊魔法とは。


その三冊だ。流石に時空魔法とかそういうものは乗ってなかった。

属性魔法というわけではないだろうから、無属性魔法に分類されると踏んだわけだ。


古代魔法は今より、昔に栄えた古代の魔法についてだ。

もしかしたら、乗っているかもという淡い期待である。

そこまで期待はしていない。


最後に精霊魔法だ。

これは、私の目的とは違うが、リリィ達ハイエルフが使える精霊魔法についてかかれているみたいだ。

正直、どのような物かわからないし、保護者として知っておくべきだろうと思い見ることにした。


机に三冊を置く。

さて、最初は無属性魔法について調べてみるか。


っと、リリィはどこに行ったのかな? お、来た来た。2冊程抱えて来ている。


隣にリリィが座って本を机の上に置く。


「リリィはどんな本を選んだの?」


「内緒」


唇に一指し指を当てて答える。


むぅ。気になるけど仕方ない。

内緒と言うなら聴かない方が良いだろう。

機嫌を損ねる可能性もあるしね。


無属性魔法についての本を見ていく。

見ていくのだが、これは今まで確認されている無属性魔法に関しての本らしい。

七属性に含まれない。貴族や魔法使い達に伝承している魔法に関して書いてある。

その多くは、余り意味が無さそうな魔法だったりする。

物体を浮かしたりとか、遠くの物を掴むとかだ。


こりゃあ、外れかな。


そう思ってパラパラと捲っていく。

流し目で見ていくと項目にワープという魔法が記載されていた。


これだ!


だが、内容を見ていくに、これは自分が視認できる距離までを移動する事が出来る魔法らしい。

流石に、次元を渡るような魔法ではないか。

その後も調べていくのだが、1つ目を見終わってしまった。


うーん。見つからなかったかぁ。


といことで、今度は古代魔法とその歴史について調べていく。


古代魔法とは今から500年前に栄えた魔法文明時代の魔法らしい。

この時代は優れた魔道具や魔法が編み出され、空を飛ぶ船等も作られていたらしい。

それに、一般人でも転移を使える魔道具や一度行った場所に移動できる魔法もあったようだ。


転移を使える魔道具や一度行った場所に移動できる魔法。

これがあるなら、次元を渡る魔法もあるのではないか?


そう当たりを付けて見ていく。


だが、そのような記述は見つからなかった。


優れた古代魔法文明は魔族や四魔将に魔王との戦争に突入し、両者痛み分けとなったらしい。


魔王軍はその規模を大きく後退し、人の土地に攻め入る事が出来なくなるまで数を減らしてしまったそうだ。

また、古代魔法文明も大規模な戦術魔法を使い撃退するも、その魔法が暴走し、大都市が消滅する事態になってしまったそうだ。

その大都市が消滅する戦術魔法を見た生き残りの人達は思う。

このようなものがあるからあのような事故が起きてしまったのだ、と。

魔王達を撃退した魔法は今度は人に向けられるかもしれないという恐怖に襲われることになる。


それから、人同士で、魔法を使える者と使えない者との血みどろの争いに発展。

クーデターを起こした魔法を使えない者は勝利し、魔法を使える者たちを粛正していく。

その過程で多くの伝承されていた魔法が失われていったらしい。


そうして、100年間の魔法排斥文明が栄えるが、また魔法が使える者達との争いが起こる。

そのように戦が幾度となく起き、最後には生活水準の大幅に減退した現代が残ったということらしい。


だから、今でも古代魔法文明の遺跡が発見されたり、魔道具が発掘されると大騒ぎになるんだな。

今の現代より、優れている文明だからそれも仕方ないね。


それにしても魔王に四魔将か。いよいよRPGになってきたな。

もしかして、これを倒したら元の世界に戻れるとかそんなことないよね?

流石にそんなゲームみたいなことはないだろう。ないよね?



鐘の音が鳴った。お腹も空いて来たな。


「リリィ。今の鐘って四の鐘?」


「うん。四の鐘」


本から顔を出して頷く。


「じゃあ、そろそろお昼でも食べに行こうか」


「分かった」


受付の人に聴いたら帰りに本を元の場所に返せば良いらしい。

なので、机に本を置いて、図書館を出る。


「今日はなにを食べようか?」


「うん。パスタが良い」


「パスタかぁ」


「流石に場所はわからないなぁ」


「じゃあ、ノインお姉ちゃんに聴けば良い」


「それもそうか。ついでにノインさんを呼んで一緒に食べよう」


「うん」


お天道様は真上を射している。

ノインさんと一緒にご飯か。また、何か言われそうだなぁ。


でも、それも良いか。


なんだかんだ言って、こののんびりとした日常を気に入っていた。

リリィと過ごす毎日。

独りだった頃と比べれば万倍も楽しい。


それに日に日に笑顔を見せてくれるリリィを見るのはとても嬉しい。


自由を手に入れたリリィはこれからどのように生きていくのだろうか。

それがとても楽しみだった。


まぁ、今はそんな事よりご飯だ。


「お腹空いたなぁ」


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