↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/41

5-7

 セラ様は魔力を奪われて殺されていた。


 セラ様を殺して、世界一美しいと言われた魔力を奪った男、ルカス。


 男と女なら、直接肌を重ねて魔力を奪う事が出来る。


 心から通じ合えれば、二人の魔力は一つになるから。



 ただ、男からは魔力を奪うことは出来ない。


 だから、ルカスはルナリアを——リリィを使った。


 美しい彼女と純度の高い強力な魔力を持つ魔法使いの男が交わった後、ルカスは彼女を回収して男から奪った魔力を自分のものにする。



「カルエル様、ルカスはまだ見つかっていません」


 セラ様の殺害の件でルカスの捜査をしている自警団の団長に話を聞く。


 サラ様が僕の事を周りに良く話していてくれたから、自警団の団長と簡単に話が出来て、信用してもらえているらしい。


「カルエル様に言われたリリィという16歳くらいの娘の行方も分かっていません。平民の両親と暮らしていて、魔法が使えたことがキッカケで、この街一番の魔法使いの男とつきあっていたらしいのですが……その男の魔力と共に消えてしまったようです」


 やはりリリィには両親がいたのか。


 ルナリアにもいたらしいし、ルカスがなんらかの魔法で彼女たちを作り、人間の生まれ変わりの輪の中に入れている……。


『……私、カルエルの為に、作られた……』


 ルカスに作られて操られてはいるが……彼女たちは、人間だ。



「サラ様が殺された事と、リリィと言う少女の失踪——若い女性の失踪などは珍しくありませんが、同時に、街一番の魔法使いの男から魔力が消えた事。全て、つながっているんですか?」


 僕はうなずく。


 団長は半信半疑という顔だ。


「……それから、調べられる限り古い時期からの、優秀な魔法使いの女性が魔力を奪われたという事件をご依頼通りに国中の記録を遡って調べました」


「あ、ありがとう、大変だったでしょう」


 本当にこれは僕の事を褒めて話していてくれたセラ様のおかげだ。


 これでルカスの居場所が特定出来るかもしれない。


 セラ様の仇を取って、息子たちに報告したい!


 記録を見ると、十年から二十年周期で、優秀な魔法使いの女性が殺されている。


 優秀な女性魔法使いばかりが殺されたら警戒されて、女性の魔法使いのなり手がいなくなりそうだが……。


 同じ地域で連続で殺されることはなく、同じ地域で事件と事件に間に八十年近い差があれば、覚えている人もいなくなるのだろう。


 二百年前から続いている、女性魔法使いの怪死事件……。


 全部、同じ男——ルカスがやったのか?


 ……ルカスは、不老不死なのか?


 ルナリアが消えた十七年前より二年前に、この街とは反対の、僕らのいた村に近い街で優秀な魔法使いの女性が殺されていた。


 ルカスはその街からルナリアの動向を伺っていたのではないか?


 そして、リリィとサラ様は殺された日が一日の違いしかない。


 ——男の場合は、僕や、あの平民の青年のように、魔力がなくなるだけだから、きっと記録はない。


 男の魔力が消えたと同時に、リリィのように若い女性も失踪しているが、魔法が多少使えるとは言え普通の女性の失踪事件は珍しくないと言うし、調べても分かることはなさそうだ。


 僕の前にも誰か魔力を奪われた男がいたのか?


 三十八年前に、王都でやはり優秀な女魔法使いが殺されている。


 この時の前後にも男の魔法使いの魔力が奪われていたのかもしれない……。


「そう言えば、女性ではないけれど、37年前に王都でも事件があったようです」


 ——!


「本当に……!?」


 それが、男なら、僕の考えた通りの事が起こっている!


「3歳のとても優秀な魔力を持った男の子がいたんだそうですが、ある日、両親が殺されて行方不明になっているそうなんです」


「——さん、歳……」


 ……37年前に3歳だった男の子……。


 今なら、40歳だ——。




『やっと、見つけた。また会えたな——』


 両親と暮らしていた、小さな僕に話しかけてきた男。


 あれは、夢じゃない……。


 手足が切り離されて、すり潰される。


 僕から魔力を奪うために、ずっと追いかけてくる男——ル、カス……。


『あ、あああああ』


 小さな僕は助けを求めて走った。


 その先で、僕を抱き止めようとした母が血に塗れて倒れ。


 父も重なるように倒れて血溜まりを作った。


『……捕まえたが。また同じ方法でも、魔力は奪えないか……。あれを、試してみるか——』


 ルカスは結局、僕を捕えなかった。


 僕は必死で、前世で覚えた転移魔法を無意識に使って、安全な場所に転移した。


 ——それが、お爺さんのいる、魔法使いの塔だった——。




 僕……37年前に行方不明になった男の子は僕だ——。


 そして、『あれを、試してみるか——』ルカスのこの言葉。


『……私、カルエルの為に、作られた……』


 全ては僕が、はじまりなのか——。



 魔力が、魔力があれば、ルナリアを救いに行けるのに……!




 ……今、出来る事をするしかない……。


 僕は、団長に、別の街で女性の優秀な魔法使いに近づくものを警戒できないか聞いた。


「難しいですね。街同士の連携は殆ど取れていないですから。気をつけりるように警告しても無視されるでしょう」


 実際の問題として、ルカスはすぐには次の女性を求めない。


 10年以上先までどこの街が狙われるかもわからないのに警戒を続けるのは難しいだろう。


 ルカスと言う不老不死の魔法使いが、魔法使いの魔力を狙っている——言っても信じてはもらえない。

 僕もまだ完全にそうだと言える証拠を見つけたわけじゃないんだ。


 女性魔法使いの犠牲が出たら、その街の近くを探して、ルナリアを見つける——現実的にはこれしかないのか……。


 ルカスは、怪しまれないように別の街に移ったはずで、これだけは確かだ。


 僕も街を移ろう。


 そこで、事件を起こす前のルカスや、生まれ変わったルナリアに出会えるかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。