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4-1

「マリアナ」


 俺は学園でマリアナを抱きしめる。


「エルヴィン……」


 いつもの事だ。


 でも、少し距離がある。


 絶対にマリアナと結ばれてはいけないと思うと、いつものようには抱きしめられない。


 なんとなく寂しい。


 身体を密着させる事なく手をつなぐ。


「マリアナと手をつなぐいで学園を歩くのって新鮮だな」


「……それって、どうかと思う……」


 そうかもな。


 時間を戻す前の十七年間は手すらつなげなかったんだし……。


 じっと俺とつないでいるマリアナの手を見る。


 白くてすべすべしてる。


 思わずキスしたくなる手で、気づいたらキスしてた。


「エルヴィンてば……」


 マリアナが赤くなって可愛い。


 身体の触れ合いには距離が出来ても、俺とマリアナが愛し合ってるのは同じだ。


 マリアナの手にキスしながら、赤くなってるマリアナを見て、俺は微笑む。



「マリアナ、あの塔に行かないか?」


 俺は学園の廊下から見える、中庭の今にも崩れ落ちそう塔を指差した。


「大賢者の塔……?」


 かつて大賢者が住んでいたと言う塔で、これがあるからアルヴィンがここに魔法学園を作ったといわれている場所だ。


「行ったことないだろう?」


 学園の中は、どこでもマリアナと一緒に歩いたが、塔の中には入った事がなかった。


「いいけど、何もないんでしょう?」


 大賢者や大魔道士と言われてるけど、学園を作ったアルヴィンによって忘れられた存在だった。


 塔はあるが崩れかけてるし人気はない。


「マリアナと行ってない場所はあそこだけだから、せっかく手をつないだし行ってみたいんだ」


「……そう言われると、恥ずかしい気がする……エルヴィンと手をつなぐなんて、初々しいことしたのってすごく昔な気がする……」


「確かに……まだ15歳なんだけどな、俺たち」


 まあ、二回目の15歳だからじゃなく、一回目から、手なんてつないでなかったけど……。


「新鮮だな、マリアナ!」


「うん!」




 塔のそばに行くと、やはり崩れていた。


 入り口は綺麗に整えられているが……。


 妙に懐かしい気がする。


 俺がアルヴィンなら、この塔の事は知っているはずで……。


「マリアナは前世でアルヴィンに会った記憶があるんだろう? この塔のことも覚えているか?」


「え……? ……塔には入ったことがないと思うけど……アルヴィン先生と塔の話をした気がする……」


「そうか……」


 俺が懐かしい気持ちになるのは当然か……。


「……あ……あ……!」


「ん?」


 マリアナが突然、泣き出した。


「……そうだった……思い出した……ああっ!」


「マリアナ? どうしたんだ? 思い出したって、前世の事か……?」


 泣いていうずくまるマリアナに声をかける。


「……エルヴィン……魔力がなくなったのね……私が死んだ時に……っ!」


「え……」


 俺はハッとする。


 マリアナは、マリアナが消えた朝に俺の魔力が半分消えた事を知らなかったのか……。


「……だから、キスした時にルカスから、エルヴィンの魔力がしたんだ……」


「……ルカスから……俺の魔力が……」


 ……無限に思えたルカスの膨大な魔力……あれが、俺と同じもの……?


 まさか……そんな……。


「……ごめんなさい、カルエル……」


 マリアナが俺を知らない名で呼ぶ……。


「……エルヴィンとも、一緒にいられない……」


 ……マリアナが、自ら首を掻き切って俺を避けた理由……そういう事だったのか……。


 俺は、塔を見上げる。


 マリアナ——ルナリアと初めて出会った日を思い出した——。


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