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私は溺愛されて殺される。数百年、何度も失った彼は、今度こそ私を絶対に救う。  作者: 唯崎りいち
エルヴィン

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10/19

2-2

「卒業式だ、マリアナ」


 朝の通学路で、俺はマリアナを背中から抱きしめた。


「きゃ! エ、エルヴィンのエッチ……!」


「うん、俺はエッチです」


 もう認める。


「——っ!」


 真っ赤になったマリアナ、あー可愛い。


「エルヴィン、私もエッチなの……」


 俺の方を上目使いで見ながら、恥ずかしそうに小声で教えてくれる。


 あー! あー、もう、限界突破した。


 卒業式は行かない、もうマリアナを連れて帰る!


「エルヴィン! マリアナ!」


 俺の従姉妹のメアリーと、その恋人のオスカーがいた。


 帰れなくなった。


「朝から、マリアナを連れて帰りたいって顔してるわ、エルヴィン」


 見透かされてる。


 メアリーとオスカーは恋人がやる事は全部済ませてるから余裕がある。


 メアリーはマリアナの隣に立って歩く。


 マリアナの隣を離れたくないけど、二人が並んで歩いている姿を見るのも今日で最後か。


「エルヴィン、そんなんで卒業生代表の演説は大丈夫なのか」


 オスカーに聞かれる。


 マリアナの触れた奴だ。


「大丈夫だ、いつも通りやればいいだけだ」


「よし、とちったり、噛んだりしたら、マリアナは俺とメアリーで今夜は預かるからな」


「は?」


 殺す、オスカー殺す。


「そうね。私たちの卒業式で失敗したらカッコ悪いものね」


 メアリーが言う。


 からかわれてるだけだけど……マリアナは心配そうに俺を見てる……。


 可愛いすぎる——!


 絶対に失敗しないっ!



 学園生活の最後の日、俺たちはいつも通り——いつもよりはしゃいで学校までの道を歩いた。


 ふっ。


 すれ違ったクラスメイトが笑ってた。


 暗い男だと思っていてよく知らないが、アイツも笑うのか——。




 卒業式は無事に終わった。


 俺はマリアナを公爵家に連れて行く。


 馬車の中でほとんど話せなかった。


 マリアナのちょっとした仕草が可愛い。


 可愛い、エロい、早くしたい!


「おかえりなさいませ、エルヴィン様」


 侍女たちが待っていてマリアナを風呂に入れて、俺も入るように言われる。


 何日も前から卒業式の後にマリアナを連れて来るって言ってあったから、完全に初夜みたいな対応をされる。


 いや、初夜なんだけど、恥ずかしいし、早くしたい!


 マリアナが服を着替えて俺の部屋に来る。


 白い寝巻きを着て、薄い金髪に磨かれた色素の薄い肌が、輝くように綺麗で……。


「エルヴィン?」


 言葉を失っていた。


「キスしていい? またマリアナは変になると思うけど、今日はもう止めないから……」


「エルヴィン……変じゃなくて素直になるだけって言ったでしょう……もうね、私、待てなくなってるの。エルヴィンの魔力が美味しそうなの……」


 マリアナが俺の髪に手を絡めて、唇を俺に向けて、目をつぶる。


 ドクッ


 心臓が脈打つ。


 俺の魔力におかしくなってるマリアナ可愛い……。

 でも、魔力が欲しいだけなんじゃないのかと思う。

 そんなに魔力が美味いなら俺のこと好きじゃなくても求めて来るだろう——。


 ああ、もう何も考えられない。


 マリアナ、可愛い。


 マリアナ、大好き——!



 ——!



 ——マリアナ……。


 背中を向けてるマリアナを抱きしめる。


 幸せすぎる。


「マリアナ……こっち向いて」


 もっとキスしたい。


 マリアナがこっちを見てくれない。


「マリアナ!」


 イヤな予感がして、マリアナの両脇に手を置いて、上から覆い被さって顔を見る。


 マリアナがビクッと震えて手で顔を覆った。


 ——泣いてるっ!?


「マリアナ、俺のこと嫌いになったのか!? 魔力だけ欲しかったのか!?」


 俺はマリアナの手を顔からどかそうとする。


 マリアナの手がズレた。


 ……マリアナは——赤くなってるだけだ。


「……エルヴィンの魔力で私の身体がいっぱいになったら、エルヴィンの身体を直接、感じるの……」


「ん? マリアナ、俺の手の感触とか、今まで感じてなかったのか……?」


「そうだった……みたい。……エルヴィンに触られたら、魔力より気持ちよくて……もっと欲しくなるの……」


 ——っ!


「マリアナ、なんなの、さっきまで俺最高に幸せだと思ってたのに、もっと上があったのか!? マリアナが、俺の魔力より俺の方が好きなんだ!?」


 マリアナにキスすると、蕩けた目をしてる。


「んー 、エルヴィン……」


 マリアナがもっと欲しそうにしてる。


 何度も何度もキスする。

 

 でも、マリアナが目をつぶって眠そうにしてる。


「疲れた? 続きは明日な。マリアナはもう俺のだから、ずっと一生一緒だから」


「ん。大好き、エルヴィン……一生一緒……よ」


 眠そうな目をそっと開いて蕩けそうな微笑みを浮かべるマリアナ。


 マリアナが伸ばした手が、俺の頬を軽く撫でてスッと落ちていく。


 寝てる、マリアナ可愛い。


 俺の魔力より俺の方が好きだって……。


 俺は、マリアナを抱きしめて眠った。


 二人とも最高に幸せだった——。



 身体が結ばれて、魔力がこれ以上ないくらいに高まったのがわかった。

 何より、心が固く結びついて、マリアナと俺はもう決して離れることはないと思った。


 ——思ったのに!


 隣で寝ていたマリアナが朝にはいなくなっていた。


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