第3話 未来を予測する剣士、次元の観測者の剣士
UCSの予選とも言えるCSの開催が近まる中カナメとショウマに新たな仲間が二人加わる。
そしてショウマがある提案をした。
それは学園都市ランキング3位の生徒が率いるユニットの練習試合。
次に襲いかかる試練とは一体…
――水月参日
学園都市の生徒たちがざわつき始めていた。
ついに、UCSの予選にあたる『SC』の開幕が近いからだ。
「おいカナメ、今年も俺とユニット組まないか?」
親友のショウマが、いつもの軽い調子で声をかけてきた。
「僕でいいのか? お前と組みたいヤツなんていくらでもいるだろ。それに、僕と組んだらまた二人きりだぞ」
僕が懸念していたのはチームの人数だ。本来、UCSは最大5人まで組むことができる。けれど去年は、僕とショウマの二人だけで出場した結果、数的不利を覆せずCSシリーズで敗退。本戦であるUCSの土俵に上がる
ことすら叶わなかった。
「へへっ、今年は二人きりなんて言わせないぜ。実は、心強いアテが一人……いや、二人いるんだ」
一人はおそらくナナネ(シラデラ)だろう。だが、もう一人は誰だ?
「一人はもちろんシラデラ。で、もう一人は俺のクラスの女子なんだ」
ショウマは交友関係こそ広いが、深く踏み込む相手は意外と絞る。そんな彼が自らチームに誘おうとするのは珍しいことだった。
「……もしかして、彼女か?」
「いいや、違うぜ。クラスのみんなとはあまり関わらないタイプだけど、めっちゃ優しくて可愛げがあるんだ。どことなくシラデラに似てるっていうかさ」
ショウマの提案で、今日の昼休みにメンバー全員で集まることになった。僕はそのことをナナネに伝え、屋上へと向かった。
――昼休み
屋上の重い扉を開けると、そこには既にショウマと、見慣れない女子生徒が立っていた。
「お、来たか。カナメ、この子がさっき話した子だ」
ショウマが紹介したのは、小柄でどこか自信なさげな少女。その背には、彼女の体格には不釣り合いなほど巨大な狙撃銃が背負われていた。
「よ、代々木……千寿です……。よ、よろしくお願いします……っ」
「あはは! チトセは恥ずかしがり屋でな。慣れてない人とはまともに喋れないんだよ」
ショウマが笑いながら補足すると、チトセさんは顔を真っ赤にして『余計なこと言わないでよ!』と目で訴えかけていた。
「初めまして、チトセさん。私は白寺ナナネです。……あの、おひとつ聞いてもいいですか?」
ナナネが少し緊張した面持ちでチトセさんを見つめる。
「チトセさんって……もしかして、学園都市5位の代々木千寿さんですか?」
「おー、知ってるのかシラデラさん!」
「大して、すごくは……ないです……」
どうやらチトセさんは只者ではなかった。学園都市の頂点に君臨するTOP10、通称『十の最上層』の一人だったのだ。
「最上層の人って二つ名があるんですよね。チトセさんは……確か、『見えざる断罪者』でしたっけ」
「……かっこいい」
僕が思わず漏らした言葉に、チトセさんはますます身を縮ませる。ショウマと彼女のやり取りを見ていると、正反対の性格ながらかなり打ち解けているようだった。
「さて、俺の考えだとこの四人でSCにエントリーしようと思うんだけど、いいか?」
ショウマの問いかけに、僕たちは迷わず頷いた。けれど、ナナネが少しだけ表情を曇らせる。
「私……スカイを持っていないけれど、大丈夫かしら」
「えっ? シラデラさん、スカイを持ってないのか」
驚くチトセさんに、僕からナナネの事情を大まかに説明した。するとショウマが、いつもの前向きな笑顔で彼女の肩を叩いた。
「なるほどな。でもスカイがない分、銃の練習に全振りできるってことだろ? アサルトライフルなら前線も後衛もこなせるし、バランスは最高だぜ!」
ショウマの言葉に、ナナネの瞳に力が戻る。
「わ、私も……後ろからしっかり援護して、敵を倒していきます……!」
「おうよ! 後ろは任せたぜ、チトセ!」
僕たちはそのまま屋上で昼食を共にし、チームの親睦を深めていった。
「それにしても、ショウマとチトセさんはどういう経緯で仲良くなったんだ?」
「私も気になるわ。全然タイプが違うもの」
「特に理由なんてねーよ。俺が話しかけてるうちに仲良くなっただけだ」
「わたし……他人と話すのが苦手で。でも、2年生になってまともに話しかけてくれたのが、ショウマくんで……」
なるほど、誰に対しても分け隔てないショウマらしい。でも、彼がチトセさんを「選んだ」のには、きっと彼なりの直感があったはずだ。
「んま、このメンバーで今年こそUCSに出場しようぜ!」
昼休みが終わり、各々クラスに戻った。
5時間目と6時間目の間の休み時間、僕はふと窓の外を眺めながら考えた。
(そういえばここの生徒会長も最上層の1人だったような)
雪月花学園は強豪校の一つだが、たしか十の最上層はこの校内に二人しかいないはずだ。一人はチトセさん。だとしたら、もう一人が最大の脅威になる。
「ナナネ、ランキングのことって詳しいか?」
「多少ならね。チトセさん以外に、この学園にはもう一人、最上層がいるわ。生徒会長の……墨田 凛さん。学園ランキングは2位よ」
5位のチトセさんより、さらに3つ上。たった数位の差でも、このレベルになると実力差は計り知れない。
「生徒会長……あの人がそんなに強いのか」
「ええ。特に彼女は、この世界でも極わずかにしか存在しない『天使のハーフ』の一人だもの」
天使のハーフ。
人間から突如として生まれる「選ばれし種族」。この広大な都市にも、墨田凛を含めてわずか5人しかいないと言われている。
最大の特徴は、スカイの動力源である「アズール」の回復速度と最大容量が、一般生徒とは比較にならないほど大きいことだ。そして何より、その頭上には淡く輝く『天使の輪』、背中には『光の翼』を備えているという。未だに謎の多い、異端にして最強の種族だ。
「そんな化け物に、僕らが勝てるのかな」
「みんなで協力すれば、きっといけるわ。一緒に頑張ろうね、カナメくん」
ナナネの言葉に、少しだけ心のざわつきが収まった。
――放課後
駅前でナナネと解散し、自宅へ向かおうとした時だった。
「よぉよぉ相棒。帰りに会うのは久しぶりだな」
背後からショウマがひょっこり現れた。
「今年は本当にUCSに出られるかもな。カナメ、SCは本気でいけよ」
「分かってるって」
僕のスカイは殺傷能力が高すぎるため、普段の訓練では制限をかけている。けれど、公式戦は特殊な防護フィールドが展開されるため、死者が出ることはまずない。つまり、全力で僕のスカイを解禁できるということだ。
「雪月花のSCは来週だ。それまでは作戦会議とトレーニングだな。……そうだ、今からチトセの家のカフェに行こうぜ」
「えっ、今から?」
強引に連れて行かれたのは、霜華公共地域の商店街にある、落ち着いた雰囲気のカフェだった。
「失礼しまーす!」
「あら、ショウマくんじゃない! いらっしゃい。……あら、隣の子は?」
「鶯谷カナメです。チトセさんと同じユニットを組むことになりました」
「まあ! あの子に新しい友達ができたのね。カナメくん、今日はコーヒーをサービスしちゃうわよ!」
チトセさんのお母さんは、娘とは正反対のハイテンションな人だった。出されたコーヒーは上品な香りで、僕好みの深い味わいだった。
「……美味しいです。僕好みです」
「あら、ありがとね!」
追加で頼んだ自家製パンケーキと濃厚なプリンも絶品だった。卵の風味が強く、口当たりが滑らかで、一口食べた瞬間に頬が緩むのが分かった。
「おー、カナメがそんな顔するの久々だな。さすがだぜ、チトセのお母さん!」
しばらくすると、二階からチトセさんが降りてきた。
「お母さん、さっきから誰と……っ!? ショウマくん……と、カナメさん……!?」
「お、チトセ。ちょうど良かった、一緒に作戦会議しようぜ」
ショウマの誘いで、三人でテーブルを囲むことになった。
「さて、SCだけど、俺はもちろん勝つつもりだ。二人はどうだ?」
「……僕も、UCSには出たいかな」
「わたしも……。お母さんに、かっこいいところ見せたいから……!」
目標は一つ。僕たちは確かな手応えを感じていた。
「そんで俺、中学時代の友達に頼んで、さっそく明日模擬戦をすることにしたぜ! 模擬戦エリアも予約済みだ!」
「……相変わらず唐突だな。その友達、強いのか?」
僕の問いに、ショウマは無言で指を三本立てた。
学園都市ランキング、第3位。
「……もしかして、日比谷颯音か?」
ショウマはニカッと笑う。対照的に、チトセさんは
「あわわわ」と目に見えて動揺し始めた。
「は、ハヤネさんと、お友達なんですか……!?」
「まぁ旧友だ!とりあえず明日は星港区で」
突然の話だったがとりあえず明日はそうすることにして、このことをシラデラにもメールで伝えといた。
その後帰ろうと僕とショウマは代金を払おうとしたが、チトセの母は今回は無料にしてくれたようだ、どうやらチトセと仲良くしてくれてるのが嬉しかったようだ。
――――星港区 模擬戦エリア107号
僕ら4人は約束通り星港区の模擬戦エリアに着いた。
「よぉー!!ハヤネ!!」
「たく、大声ださなくてわかるわよ」
着いた先の目の前に立っていたのは黒髪ポニテに深青色の瞳持った女子背中には2つの剣が。
そしてその後ろにはユニットのメンバーであろう大柄の男子生徒、ツインテの小柄の女子生徒の2人がいた。
「紹介する、このデカいのが平塚 豪子、ちっちゃいのが江ノ島 冬花だ」
「ちっちゃい言うな!」
「おおーゴウシじゃんか中学ぶりだな!ハヤネと組んでたのか!」
ショウマはどんだけ人脈が広いのか、と僕は思った。
「ショウマ、久しぶり、俺強くなった、今ランキング23位」
それでもショウマの方が上だった、しかしこちらは人数は4人に対し相手は3人、いくら相手側に3位がいても流石に不利ではないか。
「こっちは3人で構わない、じゃあ早速模擬戦と行こうか」
模擬戦エリアではUCSなどの公式戦と同様死んだとしても特殊なフィールドスカイにより即時控え室にテレポートされ蘇生される、また広さは直径1kmと広く、これは狙撃銃、丁度チトセさんみたいな人も力を発揮出来るできるよう設計されている。
また、開戦したと同時にホログラムで木々や塀、崖、建物といったオブジェクトが現れ、これらで隠れたり攻撃から身を隠したりできる。
「開始は10分後、時間内では作戦会議やポジショニングに当てるとしようか、では楽しもうか」
「おうよ!本気でやり合おうぜ!」
ショウマとハヤネはグータッチしそれぞれチームに別れ、分散した。
「じゃあ作戦会議をしようか」
僕らは円を作り、話し合う雰囲気を作った。
「私スカイを持ってないからもしかすると足引っ張てしまうかも」
「スカイがなくたってシラデラは戦闘実技の成績5だろ」
スカイが使えない理由に、人造人間という存在による制約だと今のところ仮定している。
「スカイなしで戦闘実技の授業5なんですね…凄いです…!」
「マジかよ!すげぇ!俺なんか2だぜ!17位でだぞ!!?」
ショウマに至っては授業の時ふざけ過ぎで先生に低印象で見られてたのが概ね原因だろう。
でもみんなが賞賛しショウマが自分の成績をいじり雰囲気は明るくなりシラデラの少し表情をニコってしていた。
「スカイとか関係なくチームワークで勝とう」
「そうだな!じゃあ俺とカナメは前に出るからシラデラは俺らの後ろで何かあったときとか応戦頼めるかい?」
「任せて、頑張るわ」
「わたしは、100メートル先の4階建てのアパートで狙撃スタンバイしてます…」
それぞれのポジションを確認し、開戦のタイミングを待った。
――――5分後
(模擬戦開始)
ハヤネの合図とともに、ホログラムの市街地が実体化した。
お互いにデータは皆無。カナメはショウマと目配せし、慎重にビル影へと滑り込む。
(相手はランキング3位……。どんな理屈で攻めてくるのか、一瞬も見逃せない)
無線からチトセの緊張した声が届く。
「位置につきました……。狙撃します」
音も光もない、完璧な消音射撃。だが、広場に立つハヤネは、まるで弾道が最初から見えていたかのように、背中の刀を鞘ごと跳ね上げた。
カギィン!
「嘘……っ!? 反応された!?」
「チトセ、動け! 狙撃地点が割れるぞ!」
カナメが叫んだ直後、地面が激しく脈動した。ゴウシによる広域破壊。
「きゃあああ!」
倒壊するビル。分断される視界。その混乱の渦中、カナメの前にハヤネが音もなく現れた。
「私とサシで勝負はどうだ?」
「……望むところだ」
僕も刀を構えた。
ハヤネが動く。一瞬で間合いを詰められ、火花が散った。
数合、十数合。ハヤネの剣筋は、まるでカナメの回避先を知っているかのように正確に急所を捉えてくる。
(速すぎる……。いや、僕の動きを『誘導』してる
のか!?)
ハヤネが鋭い踏み込みから、喉元を突く。
カ僕はここで『零次元』を展開した。不可視の境界に触れた瞬間、激しい金属音と共に、ハヤネの刀が空中でピタリと静止する。
「……っ!?」
その瞬間、ハヤネの動きが彫像のように止まった。
この試合後に知ったこととして彼女は未来に起こすことをインプットしそのインプットした未来を物理法則の範囲内の速度まで早く行動に移せるようになるものだ。そして今彼女は「喉を貫く結末」をインプットしていた。それがカナメがなんとかインプットした未来に起こるべきだったことに矛盾が生じたことにより、彼女はその代償として硬直してしまった。
(隙だらけだ……!)
僕は反撃の刃を振るうが、コンマ数秒、ハヤネは本能的な反応でそれを回避し、大きく距離を取った。
「……今のは、何? 私の突きのベクトルが、完全に消えた……?」
ハヤネは眉をひそめ、自身の硬直の原因を瞬時に分析する。
「なるほど。攻撃をするまでのインプットは危険ね……。予測を彼に対する攻撃に預けちゃダメだわ」
ハヤネの戦い方が変わる。
今度は一撃で仕留めようとせず、僕の懐に飛び込む「移動」だけに能力を使い、そこからは攻撃を移すまでの速度はさっきよりも遅くなったが、それよりも移動の速度が早く反応するので手一杯だ。
こうすれば、たとえ攻撃を防がれても、彼女のインプットに矛盾が生じるリスクはかなり減り、代償を背負う可能性が低くなる。
「……ッ!」
加速して迫るハヤネ。カナメは再び防御を展開するが、今度はハヤネはフリーズしない。防がれた瞬間に刀を引き、別角度から斬り込んでくる。
(止まらない……!? さっきの隙は、たまたまだったのか?)
正体不明の防御と、正体不明の加速。
お互いが相手の「理屈」を暴こうと、死力を尽くして刃を交わす。
僕は『双次元』で消失と出現を繰り返し、ハヤネの狙いをなんとか逸らす。
「……消えた? 空間転移……いえ、少し違うわね。本当に厄介な防御」
ハヤネは不敵に微笑むと、確信を持って剣を何もないところに突き刺した。
「なっ!?」
「読み通り」
ハヤネは僕が双次元からでてくる所を予測し事前に攻撃の動作をしていた、僕自身も違う次元にいる間は元の次元の様子は分からない、僕は双次元使用後で零次元の発動に間に合わず突きが僕の脇腹に当たった。
「グッ…」
僕は突き刺さった剣をなんとか抜こうと必死だった、刺さってる間は零次元を使ったところで意味がない。
僕はまた双次元を使用した。
「逃がさない」
僕が双次元を使い一旦立て直そうと思った矢先、彼女は僕に連撃するようインプットし、鋭く早い6連撃が僕に突き刺さる。
なんとか僕は双次元を使うことができたが、かなりボロボロだった、しかし別の次元にいられるのは6秒が限界だった。
生まれながら僕は肉体の回復がされるスカイらしきものがあったが6秒ごときじゃ回復は間に合わない。
残り3秒程だろうかな。
「もしスカイで攻撃の速度を早くしているならどこかにこの刀で当てれば打ち消すことができるんじゃないか」
残り2秒だ。
「零次元で防ぐのは無理だ、双次元のあとは隙ができる、ハヤネ程の速度には勝てない」
残り1秒だ、考える時間はもうない。
「こうなったら刀でスカイを打ち消すしかない、でもどこから攻撃が来るか分からない、運ゲーだ、というかスカイすら使用してなかったら意味ねぇ!、あーもういい!人生ギャンブル!」
零
僕は現実の次元に戻ってきた、運がいいことに僕が防御の構えを向いてた方からハヤネの攻撃が来た。
「そうくるか、鶯谷カナメ」
僕の刀とハヤネの剣が当たりあう、しかしスカイを打ち消せた手応えはなかった、でも次の動作に入るまでは余裕ができるはずだとは思った。
「ちょっと予想外ではあった、でも少し甘い」
ハヤネは片手で、もう一本腰に備えていた刀を無造作に引き抜いた。受け流した隙を一切作らせない、流れるような二刀の連撃。
火花が散り、僕の体勢が大きく崩れたその瞬間――彼女はあろうことか、手にした刀を僕に向けて投げ放った。
「っ……!? 剣を、投げた……!」
回避は間に合わない。鋭い切っ先が僕の肩を深く貫き、その衝撃で動きが止まる。
逃げ場を失った僕を追い詰めるかのように、彼女は地を蹴った。
旋回する体。
視界を埋め尽くすような、鋭く、重い回し蹴りが僕の意識を強引に刈り取った。
「とても楽しめたわ、次はUCSで戦えるのを楽しみにしてるわ」
(鶯谷カナメ、脱落 ――――)
「……はっ!」
目を覚ますと僕は控え室にいた、傷付いた身体は完全に治癒されていた、それはもう戦う前の身体みたいに。
「あれが3位か…」
ひとりでそう呟き、僕は戦闘中のみんなの中継モニターを見ていた。
「みんな!カナメが削ってくれた分頑張ろうぜ!」
「ええ、私はあのツインテールの子と大きな人2人と相手するわ、チトセさんはショウマくんの援護頼みます」
「わ、分かりました…!」
「んじゃあ、俺はハヤネと戦うぜ!次は俺の番だ!」
まだ生きてる3人は必死に戦っていた、モニターからみんなの声が鮮明に聞こえる、以外だったのはナナネがハヤネのユニットの二人を相手にするということだった。
(いや大丈夫、ナナネには秘められた力がある)
「ふーん君がアタイとゴウちゃん1対2で相手する気なのね!ハンデにも程があるわよ!」
「オレ、アナタヲショウサン、デモテカゲンハナシ!」
そしてゴウシは容赦なくさっき建物を粉砕させたスカイを使用した。
「吹き飛べぇぇぇ!!!!」
普通の人だったらモロに喰らうと遠くまで吹っ飛び地面に叩きつけられる、しかしシラデラはビクともせず立っていた。
「ちょっとゴウちゃん女子相手に手抜いてるわけー?ビクともしてないわよ」
「ち…チガウ、チャントヤッタハズダ!」
そう、立ってられるのは普通は無理だ、で 並一通りのアズールで身体強度をあげたとしても、でもシラデラは違うスカイはないが並一通りではないアズール量である、このことは実はシラデラを天命演算会の事件で助けた後保健室の先生に聞いた事だった。
「カナメくん、シラデラちゃんはなんとか健康体よ、そうそうわかった事があるの彼女、アズールの量多分天使のハーフに匹敵…いやそれ以上を超えてるわ」
そう、スカイはなくてもとてもない量のアズールによる身体強化によりフィジカル面で実質的に超最強なのだ。
アズールはスカイを使用するためではなく、銃や近接武器、拳にアズールを込めて火力を底上げしたり、身体の色んなところにアズールを込めることで身体強度や身体能力をあげることができる。
「ちょっと!それって…!あーもういい!アタイがやるんだから!スカイ!ストームエコー!」
フユカが繰り出すスカイは強靭な暴風だった、しかしそれも通用せず1歩、また1歩2人に近づくナナネ。
「オラォァァァ!!オレノミニガンヲクラエェェ!!」
ゴウシは巨体に合ったデカイミニガンを構えシラデラに撃つ、しかし膨大なアズールで身体強度を上げているシラデラにはかすり傷にすらならなかった。
シラデラは自分のアサルトライフルにアズールを込めてアサルトライフルでは出せないような火力の銃弾を放った。
銃弾はゴウシのミニガンの銃口に入り、内部でアズールが爆発。巨大な重火器が飴細工のようにひしゃげ、爆炎と共にゴウシの手から弾き飛ばされた。
「なっ……!? ミニガンが壊されたぁ!?」
「次はこっちの番」
シラデラが地を蹴った。スカイによる加速ではない。純粋な脚力とアズールの爆発的な推進力。彼女は一瞬でフユカの懐に滑り込むと、アズールを限界まで込めて「重圧」を纏ったライフルの銃身を槍のように突き出した。
「あぐっ……!?」
純粋な質量の衝撃。フユカは反応すらできずに、背後のビルまでラグビーボールのように吹き飛ばさ
れ、そのまま転送の光に包まれた。
(江ノ島冬花、脱落 ――――)
「オレガ、マダイル……!」
ゴウシが丸腰のまま地面を叩きつけ、最大出力の衝撃波を放つ。だが、シラデラはその衝撃を正面から受け流し、ゴウシに急接近した。
「重いわよ、これ」
至近距離から放たれた、アズール密度の高い「重圧弾」。至近距離での炸裂に、23位の巨体も耐えきれず、市街地の外まで弾き飛ばされていった。
(平塚豪子、脱落 ――――)
中継を見ていた僕は口をポカーンとした。
「し、シラデラを怒らせないように気をつけなきゃな…、それにしても規格外なフィジカル強化…これを生み出した目黒エルはどんな手で…、いいや人造人間だってことはもう思い返さいて決めているんだ、シラデラはシラデラだ」
一方、戦場ではハヤネがショウマを圧倒していた。
「逃がさねえ……『ニューラル・ロックダウン』!」
「甘いわ、ショウマ!」
ハヤネはショウマのデバフを『回避する未来』で紙一重ですり抜け、刀を振るう。そこへ、2人を仕留めたシラデラが合流した。
「ハヤネさん、次は私たちが相手よ」
「なるほど。2人を瞬殺なんて、とんだ『怪物』だったみたいね。」
ハヤネが再び地を蹴る。チトセの消音狙撃、ショウマのデバフ弾、そしてついに顕現したシラデラの膨大なアズールによるフィジカル強化の攻撃。三位一体の連携がハヤネを完全に包囲する。
「流石に持ちそうにないな…フィールドスカイ《廻天・停滞する三秒》」
ハヤネは二つの刀を地面に刺し、その瞬間シャボン玉が光に反射した時のような虹色の彼女のフィールドが約半径100m程の広さで顕現された。
「……っ、何これ!? 彼女の動きが、視えない……!」
ショウマが驚愕の声を上げる。ハヤネが地を蹴った瞬間、彼女は「加速」というプロセスを飛び越し、雷光そのものとなってショウマの懐に現れた。物理法則を無視したデタラメな機動力。
さらに、100メートル先にいるはずのチトセが悲鳴を上げる。
「きゃあっ!?……100メートルも離れてるのに、ダメージが……っ!」
ハヤネの刀はまだ届かない位置にある。しかし、彼女が「3秒後に斬撃が届いている未来」を確定させた瞬間、空間を飛び越えてチトセ、ショウマ、シラデラに深い斬撃が刻まれた。
(神田ショウマ 脱落――)
(代々木 チトセ 脱落――)
「これが私のフィールド。……もう、逃げ場ないわよ」
チトセは建物に隠れていたが、フィールド内にギリギリいたためフィールド外に逃げる事が間に合わずそのまま無差別な斬撃に耐えられず脱落、もちろんショウマに関しては前線で戦ったため逃げることすらできず脱落、最後に残ったのは身体強度を上げていたシラデラのみだった。
「…クッ、これを耐えるとは、本当に怪物ねシラデラさん」
2人が脱落した後、虹色のフィールドが霧散した。
フィールドスカイは強力な分、消費するアズール量は膨大だ。ハヤネの肩も激しく上下しており、その余裕は消えかけている、しかしシラデラも身体強度を上げたとはいえ強力な斬撃により消耗していた。
「本当のサシでの勝負か」
「ハヤネさん、あなたは凄いですカナメくんを倒せるなんて」
お互い睨み合い、そしてお互いに地を強く踏みしめ近距離戦が行われる。
シラデラはアサルトライフルの銃身で物理的な攻撃をしつつ銃弾も撃ち隙を作らないようにしていた。
一方ハヤネはスカイを用いらず本人の技量で片方の刀で攻撃を防ぎ、もう片方の刀で攻撃をしていた。
ハヤネがスカイを使わないのは、フィールドスカイ使用によるアズールの枯渇であった、まだアズールが回復仕切ってないようだ。
「はぁ…はぁ…」
お互い、息が切れていた。
「仕方ない、全てこの未来に賭けるわ…!」
ハヤネが刀を構え直す、そしてついにあのスカイがまた発動する。
「外せば数分は動けなくなる…でもッッ!」
ハヤネが刀を振り下ろす、それがシラデラの腕に当たった、シラデラはこの瞬間連撃が来るというのは予測していたのかアズールを身体強度に全振りした。
そこからは、もはや物理現象ですらなかった。
1、2、4……。ハヤネの姿は光の帯と化し、8連撃以降、一撃ごとに威力は前の1.02乗ずつ跳ね上がっていく破壊の等比数列。
32連撃を超えた時、周囲の空間が歪み、衝撃波だけで建物が塵へと変わる。威力はすでに数トンを超えている。
「ぐっ……!!」
確定連鎖を喰らってるシラデラは連撃を受けざるおえない状況で身体強度を上げ耐えることしか出来なかった。一撃受けるたびに足元の地面が陥没し、制服の袖が弾け飛ぶ。だが、彼女は肉体が悲鳴を上げるのを、天使のハーフすら凌駕するアズールの奔流で抑え込み、ハヤネの「確定」を真っ向から受け止めた。
48、56……。連撃が重なるたび、ハヤネの体にも「矛盾」の負荷が襲う。
(どうしてだ……!? 物理法則を無視したダメージを与えているのに、どうしてこの子は立っていられるの!?)
そして、最後の一閃。
「――六十四!!」
威力はもし仮に100kgだとしたら、物理限界に近い約3000トン以上。
一点に凝縮された破壊エネルギーは、ついにシラデラの規格外のアズール装甲を貫通。彼女の胸元を凄まじい衝撃が突き抜けた。
(白寺ナナネ、脱落 ―――― 試合終了)
「はぁ…こんなのUCSの後半戦レベルだ………」
シラデラの体が光の粒子となって消えるのと同時に、ハヤネもその場に力なく崩れ落ちた。
全アズールを使い切り、その代償として昏睡状態に至った。
【控え室にて】
「ガハハハ!シラデラサン、アナタハスゴイ!オレハジメテアンナニトンダ!」
「私も驚きだわ、実はあのようにアズールを利用するのはこの試合で初めてだったのよ」
控え室は大いに盛り上がっていた、ハヤネはすぐに蘇生機能でピンピンしていた。
「かなりら楽しめた模擬戦だった、それにしてもシラデラさんあなたには驚いたは63連撃まで耐えれたのはあなたが初めて」
「私もあそこまで耐えれるとは思いませでした、でもこの模擬戦のお陰で私のポテンシャルが見えてきました、これを企画したショウマくんも感謝するわ」
そうシラデラが言うとショウマはニッコリと笑いながらピースをした。
「みんな、アタイのパパからの差し入れ!」
フユカがさっき退出したと思えば袋にたくさん入ったジュースとお菓子だった。
「アタイのパパ、飲料と製菓の大手会社のCEOなのみんなに食べて欲しいな!」
「さすが空峰総合学園の生徒だ、ボンボンだなこの模擬戦エリアだって一日の使用料20万だろ」
「そんなのアタイのパパに言ったら一年も貸し切ったのよ!だからまた戦おうね!」
この日の為に7300万もかけられてたらしい、恐るべき令嬢だった。このメーカーのロゴを見ると市街の広告やスポーツの看板に載っているスポンサーどよく見かけるものだった。
「ガハハハ!まずこの建物、運営してるの、俺の父さんだ!無料で使わせて貰うことができた!でもフユカの父さんかちゃんとお金を払いたいとどうしても話をきかなかった!そして俺にお小遣い7300万円が送られた!」
この建物を建てた建築会社も超大手の会社だ、平塚組の平塚ゴウシ、江ノ島ホールディングスの江ノ島フユカ、恐らくこの二人の親の会社だけでこの都市の経済を支えられるレベルだ。
「ショウマとほかの皆さん、今日は私も貴重な体験した、こちら側も感謝する。きっと君たちならUCSに出れるはずだ、でも墨田リン…彼女には気をつけるのよ」
次の強敵はきっと墨田リン、僕たちの学園の生徒会長そして、学園都市生徒ランキング2位、今日戦ったハヤネの一つ上の最上位ランカーだ。
最後に僕らはまたたわいない話をし解散した、お互い帰る場所に帰った。
そうかあふたーとーく
「よぉハヤネ!今日は楽しかったぜ!てかさお前参日前誕生日だったらしいじゃねぇか!」
「覚えてたのか」←水月 壱日生まれ※模擬戦は肆日
「ごめんなー!遅くなってな、これからどうだ飯とか?奢るぜ!」
「お言葉に甘える、ありがとう」
「何が食いに行くか!?」
「…スイーツ」
「飯というかデザートじゃねぇか!笑」
「スイーツもご飯なの」
「はいはい、確かに中学の頃は給食のデザートを必死に取り合ってたよな」
「馬鹿…過去は過去だ、今と未来を見ろ」
「未来って笑、よしじゃあ公共エリアに新しくできたスイーツ食べ放題のとこ行ってみようぜ!」
「…うん、ありがとうショウマ」
ここから書いてて楽しかった覚えがあります。
過去作ということもあり読み返すと結構懐かしみを感じました笑
こっからは色んな能力、用語が出てくるので少しごっちゃになるかも




