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空ノ要  作者: ハレノチ秋
2/5

第2話 平和維持活動は昼休みにも行われる

昼休み、カナメとショウマが昼食をしてる途中、謎の爆破とともに黒煙が上がる。

そこで待つ脅威とは一体…

僕らは黒煙の方へと急ぐ。


  ……訂正しよう。僕にとっては「黒煙の元」へ行くことよりも、「シラデラが連れ去られた」へ行くことの方が重要だ。


 「てか、いつもは学園内ならこんなこと起きねぇぞ、おい」


 ショウマが走りながら不満げに口をこぼす。

 都市三大武闘派の連中といえど、ここまでの派手なドンパチはそれぞれの“自治地区”でやるのが暗黙の了解だ。


  学園の敷地内で戦闘行為を行えば、当然、停学や退学を含めた重い処罰が下る。


  そのリスクを冒してまで、一体誰が暴れているのか――嫌な予感が加速した。


「おいゴラァ!ワイらの子分を斬ったやつは誰や!?」


 黒煙の真近の所に着くと他校の制服を着ており、原子のマークが描かれた腕章を付けた生徒が10人程いた。


「ラプラスの天命演算会のやつらか」


「てか、斬ったとか言ってるけどもしかして…」


 僕は察した、雪月花で斬る動作の武器を使うのは僕しかいない、となるとさっきのシラデラをナンパしていた奴らの関係者か。


(斬るって、カナメのことじゃね?)


「子分斬ったやつでてこいや!そしたらまずは引いてやるからよ」


 周りの傍観していた雪月花の生徒たちが僕をみつけいかにも行けという眼差しで見てくるのに気づいた。


「カナメ、俺も行ってやるからまずは出ようぜ」


 その言葉に押され僕は渋々名乗りあげた、雪月花の生徒と天命演算会のメンバー達が僕へ目を向けた。


「あぁん?お前か、俺たちの子分をやったのは?」


「あぁ、お前の子分は女性に嫌がらせをしてたんだ、話し合いで解決をしようとしたぞ」


 僕は起こった事そのままで伝えた。


「んな事知らんわ、チョッカイかけたんなら関係ねぇよ、おどれらこの2人やっちまうぞ!!」


 (おぉぉぉー!!!!)


 ここにいる天命演算会のメンバーは約20人程、数的不利すぎる状況下、メンバーは一斉に僕とショウマに銃を向ける。


「相棒、いっちょ雪月花魂見せちゃいますか。」


「了解、早くしないとまた授業が遅刻だ」


 僕は鞘から刀を抜刀し、ショウマは自慢のアサルトライフルを構えた。


「お前ら!かかれぇー!」


 天命演算会の奴らは一斉に襲いかかってきた、無数の銃弾が僕たちに飛んでくる、しかし僕に向かってきた銃弾は皮膚に触れる前にベクトルを失い地面に落ちた。


「ショウマそっちは大丈夫か?」


「おうよ相棒、こいつらの動くまるで止まっている見たいだ!」


 ショウマの持つスカイの1つ、《タイムラプラス》によってショウマは最大3秒後までの未来が見える、そのためショウマは全ての銃弾を避けていた。



「クッソ!こいら攻撃を全てッ!」


「ほんじゃ、次は俺らが行きますか、《ニューラル・ロックダウン》!」


 ショウマが手から光のエネルギーを出しそれを投げつけた、エネルギーが着弾すると爆発した。


「うぅ…なんだ……これぇ」


 爆発に巻き込まれた天命演算会の生徒の動きは鈍くなり、中には全く動けない者までいた。


「今だ!暴れろカナメ!」


「了解、フィールドスカイ……」


 僕は自分のフィールドスカイを使用し、自分のフィールドを展開した、天命演算会全員が入るくらいの広さにノイズのようなものが発生し、次元が歪んできた。


「んじゃ俺は逃げるぜ」


 ショウマは僕のフィールド外に出れた、しかし天命演算会の生徒たちはショウマのスカイによって身動きをあまり取れなかった。


《エンド・オブ・ザ・ディメンション》


次元は更に不安的になり、そしてフィールド内にはうっすらと無数の斬撃が発生した。


「ぐぅああああ!!!」


 断末魔のような悲鳴と共に、天命演算会のメンバーたちが次々と地面に崩れ落ちる。

 僕が展開した『フィールドスカイ・エンド・オブ・ザ・ディメンション(終焉次元)』。この領域内では空間そのものが刃となり、対象を無慈悲に切り刻む。もちろん、峰打ち程度に威力は調整してあるが、精神的なダメージは計り知れないだろう。


 「……解除」


 僕が短く呟くと、空間のノイズが収束し、歪んでいた景色が元の校庭へと戻った。

 後には、白目を剥いて気絶した20人の生徒と、バラバラに分解された銃器のパーツが散らばっているだけだ。


 「うへぇ、相変わらずエグいなその能力。見てるだけで寒気がするぜ」


 ショウマが安全圏から戻ってきて、倒れている敵をツンツンと靴先でつつく。


 「手加減はしたよ。制服はボロボロになったかもしれないけど、肉体的な後遺症は残らないはずだ」


 「はいはい、優しい優しい……でも本当にやさしいな、あんなフィールドスカイ本気で出したらな…」


 僕は1度過去に本気のフィールドスカイを発動させたことがあった、この事はもう少し後に説明しておこう。


 ショウマの視線が鋭くなり、黒煙を吐き出し続ける旧体育館の入り口を見据えた。


「雑魚掃除は終わりだ!本命のお出ましといこうか」


 僕らは無言で頷き合い、事故が起きた旧体育館に入った。


「ふむ。三番隊を片付けたか。ここに来たということは、そういうことだろうね」


 旧体育館のステージ上、薄暗い照明の中に一人の男子生徒が立っていた。


 そしてステージの真ん中には、パイプ椅子に座らされ、意識を失ったシラデラの姿。


 「おいお前、何者だ。目的を言え」


 「自己紹介が遅れたね。私はラプラス科学専門高等学校、天命演算会会長――目黒エル」


 「マジかよ……学園生徒ランキング4位の、あの目黒か」


 普段は余裕のあるショウマが、驚きで一歩後ずさった。


 17位の彼ですら圧倒されるほどの威圧感が、その男からは放たれている。


 「その子に何をするつもりだ」


 「回収だよ。もしかして君、この子が本物の人間だと思っているのかい?」


 「……え?」


 エルの言葉に、僕の思考が一瞬止まる。

エルは冷徹な微笑を浮かべ、淡々と続けた。


 「この子はね、我が校の開発部が作り出した人造人間のうちの一体――『不良品』さ」

「おいおい……それって都市条例的に完全なアウトだろ」


 ショウマが声を荒らげる。

クローンや人造人間の製造は、この学園都市における最大のタブーの一つだ。

科学の府であるラプラスなら、その重さは誰よりも理解しているはずなのに。


 「本来なら即座に処分するはずだったんだがね。どういうわけか、この個体には『意志』が芽生え、逃亡した。それをどこの馬の骨とも知れない奴が引き取り、雪月花に入学させていたとは」


 「……バレたら学園都市総合生徒連盟が黙っちゃいないぞ」


 「そんな連中がいても、我々天命演算会の『真理への憧れ』は止められない。たとえそれが、命に対する冒涜と呼ばれようともね」


 エルは興味を失ったように肩をすくめ、僕に視線を移した。


 「さて、鶯谷カナメ。君はどうするつもりだい? この……『モノ』を」


 「……モノ?」


 「そう。処分するには忍びないという顔をしているが、人間であっても中身は人造だ。モノに対して『可哀想』という感情を抱くのは、少々滑稽だとは思わないかい?」


エルの問いかけが、静かな体育館に冷たく響いた。


「モノかどうかなんて、そんなのどうでもいい」


  僕は刀を握る手に力を込め、エルの冷徹な瞳を真っ直ぐに見返した。


 「……さっき、彼女は僕にココアをくれた。怖かったって震えながら、勇気を出してお礼を言ってくれたんだ。その心がプログラムだっていうんなら、今あんたが浮かべているその不愉快な笑みだって、ただの神経の電気信号だろう?」


 「ふむ……低ランク特有の感情論か。極めて非合理的だ」


  エルは溜息をつくと、ゆっくりとパイプ椅子から立ち上がった。その瞬間、旧体育館内の空気が一変する。


  先程までの黒煙が、まるで何かに吸い寄せられるように彼を中心に渦を巻き始めた。


 「ショウマ、下がってろ。こいつは今までの奴らとはワケが違う」


 「……言われなくても分かってるよ。肌がピリピリしてやがる。もういっちょ暴れて来い怪物」


 僕はすぐさま抜刀した、いつもだったらすぐに鞘から刀を抜くことは無いが、今回は訳が違う。


「サシで勝負しよう、僕が勝ったらシラデラを僕に渡せ、でも人造人間ということは秘密にする。」


「面白い」


 エルは口角をわずかに上げ、背負っていた武器を無造作に手に取った。


 それは銃器というよりも、精密な測定器のような美しさを持つ『演算補助自動小銃 Δ-AR』だった。


 「ランキング5万以下の君が、学園4位の私に条件を提示するとはね」


 「ランキングなんて関係ない、今ここでアンタを叩き伏せる。それだけだ」


 僕は刀を正眼に構え、エルの懐へ飛び込むべく地面を蹴った。


 しかし、その瞬間に膝の力が抜け、前のめりに転びそうになる。


 「なっ……!? 足が……重い……?」


 「おや、踏み込みの角度を数ミリ誤ったかな? 致命的なミスだ」


 エルが静かに告げると同時に、彼の周囲に不気味な計算式が浮かび上がった。


 「――展開、《誤差増幅領域エラー・アンプリフィケーション》」


 その瞬間、僕の全身から力が抜け、視界が歪むほどの衰弱感に襲われた。


 防御力、速度、集中力――僕のあらゆるステータスが、この空間に食い潰されていく。


 「これが私のフィールドスカイ。君の『正解』を削り、敗北までの誤差を広げる領域だ」


 「くそっ……ふざけんな!!」


 僕は無理やり身体を鼓舞し、エルの至近距離から神速の斬撃を放った。


 確実に首を捉えたはずの刃が、なぜか服の表面をかすめるだけで虚空を切る。


 「……外した!? この距離で……!?」


 「いいや、私が『外れる確率』を100%に固定したのさ」


 エルは動じることなく、淡々とΔ-ARの銃口を僕の胸元に向けた。


 「私の第1スカイ『確率収束』。周囲のあらゆる事象は、私に最も有利な結果へと強制的に導かれる」


 「君の剣が滑るのも、私の弾が急所に当たるのも、ここでは必然なんだよ」


 エルが引き金を引こうとしたその時、ガチリ、と不自然な音が体育館に響いた。


 「……チッ、ジャム(弾詰まり)か。いや、これも……」


 「そうだね。君の銃が故障する確率すら、僕にとっては『利用すべき幸運』だ」


 エルが再度引き金を引く。

今度は完璧な作動音と共に、計算され尽くした『必中の弾丸』が僕を貫こうとしたが銃弾が僕に届くことはなかった。


「……弾道計算が狂ったか? いや、ありえない」


 目黒エルが初めて、その冷徹な表情に困惑を浮かべた。

放たれた弾丸は、僕の皮膚に触れる直前で、まるで最初から動いていなかったかのように停止し、力なく床に落ちた。


 スカイ1――『零次元』。


 「あんたの言う『確率』がどれだけ高くても、そこに『ベクトル(進む方向)』がなけりゃ意味がないだろ」


インネイトスカイ――『星還』。

逆流する星の輝きが僕の体を包み込む、体の重さが軽くなった。


 「自己治癒……いや、事象の巻き戻しか。面白い、実に興味深いイレギュラーだ」


 エルはすぐに落ち着きを取り戻し、再びΔ-ARの照準を僕に合わせた。


 「だが、一度防いだところで何が変わる? この領域内では、君のあらゆる行動に致命的な『誤差』が生じ続けるんだ」


 エルが指を鳴らすと、領域の圧力がさらに増し、僕の全身を押し潰そうとする。


 「誤差、ね。……だったら、その『領域』ごとぶっ壊すまでだ」


 僕は妖刀『空殺』を構え直し、一歩、エルの懐へと踏み込んだ。


 《誤差増幅領域》の影響で足がもつれそうになるが、僕はそれを無視して刀を一閃させる。


 スカイ3――『空壊し』。


 「……ッ!? 私のフィールドに、亀裂が入っただと……?」


 エルの確率支配を物理的に切り裂く、理不尽なまでの破壊。

刀での攻撃にのみ付与される「スカイ無効化」の効果が、完璧だったはずの計算式を粉砕していく。


 「ここからはあんたの計算外だ。――『双次元』」


 僕の姿が陽炎のように揺れ、次の瞬間、エルの視界から完全に消失した。

現実であるα世界線から、次元の狭間であるβ世界線への転移。


 「消えた!? 空間転移の予兆すらなかったぞ……!」


 「――遅いよ」


 エルの真後ろ。

β世界線からα世界線へ、因果を無視して出現した僕の刃が、彼の肩を切り裂いた。

 この世界の人々はそう簡単には死ぬことは無い、今の斬りでも少し出血する程度の怪我だ。


 「ぐっ……!!」


 初めて学園4位の体が大きくよろめき、その端正な顔が驚愕に染まる。


「そこまでだ!」


 体育館の扉がでかい音を鳴らし開く。


「学園都市総合生徒連盟公安部だ!天命演算会リーダー目黒エル、第二級都市条例違反の容疑で拘束させてもらう。」


 胸元には、円形の金属製バッジ。

中央に刻まれているのは、交差する二本の線と、その上に配された小さな紋章。

意味を知らなくても、それが“公安部”の印であることは直感的に分かった。


「……ふ、私としたことがこんな御破算をしてしまうとはな……」


「2級以上の条例違反は無条件で拘束スカイを使わせてもらう」


 そういい公安部の部長らしき人物は背中に背負っていたから特殊な形をしたライフルを構え、躊躇なくエルに撃った。

 するとエルは意識を失いビクともしなくなった。


「い、生きてるのか?」


「問題ない、ただ意識を失ってるだけだ少しすれば戻る、それにしても災難だったな、少し手間だが君はあの子を保健室に連れてもらえるか?」


 公安部長はシラデラを指さし、シラデラの事を任せた、幸いにもシラデラが人造人間だと言うことを知らず言及されることがなかった。


「カナメ、お疲れさんとりあえず保健室に連れていこうぜ。」


 僕はシラデラを背負い、ショウマと共に保健室に向かった。

 背負うと感じる人が持つ体温の暖かみを、本当にこの子が人造人間なのかと疑うレベルだ。


「なぁ、ショウマなんか複雑だわ。」


「まぁ確かにな、こうなるからタブー視されてるんじゃないか」


 僕らは少しこの一件のこのことを思い返してみた、シラデラの正体の事を。


 保健室につきシラデラを保健室の先生に委ねた、保健室を出ようとした瞬間僕は戦いが終わったあとの気の緩みと疲労で僕は意識を失ってしまった。


「……カ……くん……」


 微かに声が聞こえた、ショウマ……ではない、女子の声だ。


「……カナメくん」


 次はハッキリと聞こえ僕は目を覚ました。


「シラ…デラ……!?」


 目を開けるそこには横で座って見守っていたシラデラがいた。


「おやおや〜、お目覚めかな鶯谷くん」


 保健室の先生『入間 ナツキ』先生が意識を取り戻した僕に気づいたようだ。


「まぁ、あとは青春な生徒達で楽しんでねぇ〜」


 勝手に空気を読んだのかナツキ先生は退出した。


「あ、せんせッ…」


「カナメくん、その…」


 シラデラはなにか言おうとしたがその後の言葉が出てこず沈黙の空気が流れた。


「ま、まぁシラデラが無事で良かったよ」


「それは私のセリフよ……ありがとうね、あとね知っちゃった、私の事」


 エルが言ってた事を知ってしまった僕に、少し震えた声で聞いてきた。


「う、うん」


「そうなの……」


 シラデラは俯きまた無言になってしまった。


「でも僕はシラデラが人造人間だとしても、一人の人間として見てる、この霜華学園都市の生徒の中の女の子だって」


 そういい僕はシラデラの顔を見た、シラデラは涙を浮かべていた。


「今まで、誰にも気にされず、いつ正体がバレてどうなるか分からない生活だったの、でも今日カナメくんが私に手を差し伸べてくれて、私……嬉しかった」


 恥ずかしそうに涙を流しながらシラデラは想いを伝えた、そしてシラデラは涙を流しながら保健室を後にした、


「シラデラ…」


「おや〜、レディを泣かせるとは罪ですぞ鶯谷くん」


 多分盗み聞きをしていたナツキ先生が戻ってきた。


「もしかして聞いてましたか?」


「どうだろうね、でも生徒の青春を守るのが先生、秘密は厳守するからね、"シラデラちゃんの事"もね」


 そんな先生の言葉を聞きホッとし、『この先生かっこいいな』て思ってしまった。


 僕も保健室を後にし教室に向かった、意識がない内に5限の授業は終わっていて6限にはちゃんと出席した。


過去に書いてたヤツをそのまま持ってきたやつです、誤字脱字確認しておりません。

展開も結構あやふやで変な伏線ばっか貼ってます笑

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