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虹倉姉妹  作者: 加藤無理
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武の大きな挑戦

暫くは武視点の描写が続きますが、虹倉姉妹はあとで必ず出てきます。皆様も忘れずにお願いします。

 年が明けて三月になった。武はスッカリ振り切れて単独に慣れていった。その間に新曲を創って発表した。爽快な曲調だ。稲島とはたまに共演していた。


 そんな中、以前に連絡先を交換していた韓国のアイドルであるからコメントが届いていた。新曲を褒めているだけでなく、韓国での前座の誘いだった。武が半信半疑ながらも興味を示すと、李のマネージャーと事務所から詳しい話が更に送られてきた。


 李は他のメンバーにも仕事仲間にもファンにも武の楽曲をSNSでそれとなく紹介していた。その影響で武には韓国人のファンが増えた。武も李を周囲の者達やファンに紹介して絶賛したが、既に皆、知っていた。


 李が率いるグループ名はグランドオリエント。三人で活動している。三人は武より二歳歳下だ。特に李は日本語が堪能で武に遠慮して敬語を使おうとするが、武は恐縮して少しくだけた表現を求めた。三人は年上に気を遣うが、三人の実力は世界標準だ。


 事務所とマネージャーに対して最初はSNSと電子メールで連絡を取り合っていたが、半月後には具体的な契約を交渉する為に李が彼等を連れて来日した。


 夏に韓国の江原道で一万人規模の観客を集めて生演奏会を開く。その冒頭で武が演奏する。異国でしかも今までの百倍の規模での演奏。武には初めての試みだ。武には自信が無かったし、何処か絵空事の様に感じた。


 しかし李が真面目に熱弁し、マネージャーも事務所の職員も真顔で説明しているので、本気で武を前座に据えるつもりなのだろう。武は自信無い事を白状した。李は困った顔をして、

「断るの?」

「引き受けたいけれど、失敗した時の損害を俺は賠償できません」

 武は皆を見渡しながら答えた。マネージャーは、

「随分と弱腰だね。こちらは貴方に訴訟も賠償金も要求しないよ」

「それならば頑張ります」

 李は安堵の笑みを浮かべた。


 六月初めには韓国に行って練習を積み重ねていく。演奏会は八月だ。その前に出国の準備と入念な打ち合わせをする。武は旅券パスポートを持っているが、査証ビザの取得や留守にする家の管理に少し戸惑った。自分で調べもしたが、事務所の職員達が手伝ったりもした。国の壁は高い。


 歴史問題や外交問題でいつも日韓対立が有る。日本製品不買運動も何度も行われている。それに演奏会は八月だ。武は心配したが、李と職員達は対策案を出していく。念の為に武が江原道の慰霊碑に黙礼する事を職員達は提案した。李は韓国が一応戦勝国なのだからそこまで武に負担させる必要はないと感じているようだ。


 それ以外にも語学の壁。武は韓国語どころか英語も苦手だ。李はいとこの李淑彬イスビンを紹介した。彼女は武よりも七歳歳下だ。李の叔父の娘。現在では細々と父親の経営している喫茶店に来た女学生に語学を教えている。淑彬は母国語の成績が良いだけではなく、英語と中国語も堪能だ。


 武は仕事の準備の他に英語と韓国語の勉強を始めた。


 事情を聴いた稲島は、

「気をつけて無事に戻って来いよ」

 と、案じた。白崎もSNSで、

「達者でな」

 と、応援した。

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