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虹倉姉妹  作者: 加藤無理
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家業を継ぐ準備

 年末年始に虹倉姉妹は再会した。両親も姉妹も年々スマホに苦手意識を持っている祖父母には写真を添えて手紙を書いている。祖父母も返事を送ってくる。老人ホームの庭で入居者と職員が小さな畑を手入れして祖父母が教えている。それが程良い刺激になっている。


 母親の政江と父親の始がパソコン画面を見せながら姉妹に何人か婿候補を紹介してきた。四十歳以下の新規就農希望者の男性達八人。政江と始は全員に会って人となりを確かめている。姉妹は両親に呆れるほど驚いた。両親だけではなく母方の叔父叔母も協力している。


 姉妹は両親の説明を聴いた。候補は皆、勤勉で温和な男のようだ。実花も優花も美醜よりも性格、始は経歴と技能を重視している。政江は敢えて候補者達に酒を飲ませて本性を確かめたりもした。姉妹にとっては全員、及第点である。逆に誰が一番か決められなかった。


 実花が不安そうに、

「私達が外で仕事しているのを皆知ってるの?」

 政江は困った顔をして、

「一応話したけどさ、そろそろ考えてみてよ」

「私、こっちに戻ろうかな」

 優花が呟いた。始は、

「それじゃあ誰にする。今を逃さない方が良いぞ」

 優花は唸る。始は、

「実花もどうする?こっちに戻るか、今の仕事を続けるか」

「少なくとも後三年は続けたいな」

 実花が答えると政江は、

「大丈夫?入国管理局ってこっちよりキツイんでしょ」

「そうだけど、夢が有るし」

 実花は入国管理局にいる外国人とシッカリした意思疎通を図りたかった。難民認定の希望者・犯罪者に日本へ連行された被害者・移民したが日本に馴染めなかった者。被害者同然の者が多い。特に女性外国人は様々な暴力や搾取に晒されている。実花は無力を感じつつも仕事を続けようと考えている。


 始は、

「それじゃあ、ここを継ぐのは優花かな」

「そんなに早く決めなくても良いんじゃない。四十過ぎて実花が戻ってきても助かるし」

 優花が言った。政江は、

「そうね。でも取り敢えずこの人達について考えてくれる?」

「「うん」」

 姉妹が返事をした。政江は今度の夏休みにこの八人の青年達をこちらに集めて姉妹と一緒に農作業をさせて相性を確かめることにした。姉妹は承知した。


 それを知った武は嫌な予感がした。虹倉姉妹は婚約を期に音楽を完全に辞めるのではなかろうか。いくら武が下心の無い相棒だと説明しても姉妹の婚約者達にとっては武は煩わしい存在だ。婚約者達は姉妹を家業に専念させたい筈だ。


 その悩みを稲島に打ち明けると稲島は、

「勿体ないけど、仕方ない。二人が音楽とお前から離れたらお前はキッパリ諦めるしかないんだよ」

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