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虹倉姉妹  作者: 加藤無理
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ぼんやりとした将来の不安

 優花は高校生になり、実花は中学生になった。姉妹はどちらとも帰宅部だった。結婚する前は情報技術業界で働いていた父親の始は優花に強く勉強を勧めた。既に「情報」が必修科目となっている上に、受験科目でもある。始は優花と実花に新しいパソコンとタブレット端末を買い与えた。母親の政江も始と同意見だ。両親は姉妹に家事や家業の手伝いよりも勉強が大事だと諭した。


 しかし、姉妹は家業を支えるバイト達と一緒に音楽を続けた。変わらず毎日一時間ほどだ。姉妹が生まれる前から働いていた高齢のバイト達は本格的に引退を考えるようになっていた。仕事量を減らして音楽で憩う割合が増えた。伴侶と一緒に養老施設に入ろうかと話題に上がる。姉妹の祖父母もその話題に熱心に応じる。


 姉妹は苦い顔をした。幼い頃から慕っていた人達と別れる。死別ではないが、それに近い。養老施設の面会は家族以外では難しいだろう。姉妹の祖父母は今後十年ほど耐えようと考えているようだ。が、近所や世話になったバイト仲間を考えると政江・始の手伝い以外の事もしなければならないとも考えている。老老介護をぼんやりと想定している。祖父母以外のバイト仲間達は少し恐縮している。


 祖母は姉妹に、

「今、暗い話して悪いけれど、あんた達は本当に若いから若い子同士で繋がりなさいよ」

 と、やんわりとさとした。姉の優花は渋い顔をしたが、妹の実花はゆっくりと頷いた。


 同級生達と一緒に勉強をしなければならないのだろうか。姉妹は面倒に感じた。家業や家事の手伝いも面倒ではあるが、家族やバイト達がしっかり褒めたり丁寧に教えたりするのでやり甲斐は有る。しかし、勉強は頭にひたすら知識を詰め込めて思考しないといけない。他人と比べるなと叱責されても成績が想定以下だと落ち込むし、嫉妬もする。教職員達や同級生達がいちいち褒める事も無い。


 姉妹は軽音楽部に何度も勧誘されるけれど、断っている。家事と家業をほのめかすだけでも同情されるし、両親から勉強を強制されていると嘆けば更に同情される。姉妹も軽音楽部に入りたかったが、学業に自信が無い上にバイト達と家族との時間を優先したかった。


 優花は体育と化学と数学の成績が良かった。物理学の成績も比較的良かった。一方、実花は美術と英語の成績が良かった。優花は積極的だ。授業では積極的に教師に質問したり班の作業では上手く班員をまとめたりしていた。それに対して実花は控えめだった。授業中も休み時間も大人しい。イジメられる事はなかったが、気まずい雰囲気を常に感じている。班行動を苦痛に感じて何度も教師に相談するほどだ。SNSで同級生や班員に謝る事すらある。


 二人には性格の違いは有ったが、相変わらず仲睦まじい。

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