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アルラウネと魔王様  作者: 化猫


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3/17

3、アルラウネ町へ強制連行!?


『アルーナ!アルーナ!大変だよ起きて!』

「ん~?うん、うん。分かったからもう少しだけ寝かせてー」

『アルーナってば寝ちゃダメだよ!あっ!』


 まだ眠いよ~。目が開かない~。

 昨日夜空を堪能していたせいで、まだ眠くてたまらない。


 焦るフワメリー達の声が小さくなり、アルーナはその意味に気づけないまま、もう一度眠ってしまった。


 遠くでゴトゴトと音がする。


 身体が不規則に揺れるのを感じた。地面で寝ていたアルーナがそんなものを感じる筈がない。

 眠たいと訴える頭を何とか覚ましながら、目を開けた。

 すると目の前一面にはフワメリー達の白い綿毛が広がっていた。


「えっ!?何事?」

「あ?何か声が聞こえたか?」


 アルーナが困惑から出した声に、ダミ声の男の声が返ってくる。


 知らない男の声に、叫びそうになる。

 この何処かに向かっている振動。

 良く考えれば、何処かに連れて行かれる最中のようだ。

 アルーナの顔色が悪くなる。


『しぃーーーー!』

「・・・!?」


 フワメリー達の声が聞こえてきた。それに首を必死で縦に降る。

 手は口の上だ。開かないように抑えた。


「お前はビビリだな!んなもん聞こえねぇよ!」

「そうか?確かに女の声だと思うんだが」

「そんな奴がどこに居るって言うんだよ。

森ン中なら隠れててもおかしくねぇが。ここ草原だぞ、隠れるとこねぇだろ」

「だよなぁ」


 男達の声に森から出てしまったことを知る。アルーナの顔から血の気が下がる。


 まだ心の準備してないよ!?

 後1ヶ月ぐらい森で生活しようと思っていたのに!?


 まるでアルーナの心の中を悟った大いなる存在に、強制的に町に連れ出されそうだと思った。

 動揺から擬態が解けそうになるが、フワメリー達が一生懸命宥めてくれる。


『アルーナ今擬態を解いたらダメだよ。ボクたちと離れ離れにされちゃうかもしれない』

「ひ、一人は嫌だ」

『うん、分かってるよ。だから頑張るんだよ!』

「うん・・・」


 心が折れそうになりながらも、道中息を殺して擬態を保っていた。

 外の声に耳を傾けると、町に入ってしまったようだ。


 ガヤガヤと森の中とは違うざわめきに完全に慄く。

 外に意識をやれば、他の植物達の声も聞こえてきた。しかも、町の中の植物はお喋りだ。

 アルーナが返事を返す前に、次から次へと話し掛けてくる。


 お陰で自分は今、商業地区といわれる場所を過ぎたらしい。職人街だと言っていた。

 教えてくれた植物はやたらと自慢気に語っていた。


「おーい、じいさん。生きてるかぁ?今日の納品物はここに置くぞ」

「うるさいぞ、小僧!生きておるわい!」

「おー、おー。元気そうで何よりだ。これがフワメリーの白綿毛。しかも、取れたてホヤホヤだ」

「フーム。確かに色は悪くない」


 色って何、一体何をしてるの!?

 アルーナはできる限り目立たないようにと、体を小さくさせる。


「ほれ、これが今回の報酬だ」

「おお。色つきか!今夜は酒場で飲むぞ!」

「じいさん、サンキューな!」

「騒ぎすぎるなよ」


 何かの取引が行われると、また持ち上げられる。家の中に入れられているようだ。


「さてと始めるか」


 何がですか!とアルーナは心の中で叫んだ。



 あれやこれやとおじいさんが作業をしていると、上下も分からない位グルグルと回される。


 目が回るとアルーナがぐったりしていると、フワメリー達と布の中にぎゅうぎゅうと詰められたと思うと、何処かの棚のような場所に置かれた。


 それでも大人しくしていると、おじいさんが何処かに行く音がした。

 良い香りも漂ってくる。


 辺りの気配をたどっても誰かいる気配は無さそうだ。

 擬態を解かずに、意識だけ囚われている場所から飛ばす。アルラウネの得意な分身だ。


 久しぶりの術に目線が違いすぎてたたらを踏む。

 普段は大人の形を取っているのに、この姿だと、急に身長が縮んで幼女になるのだ。

 棚の丁度届かない位置に、本体ともいえるアルラウネの種が入ったものが置かれていた。

 アルラウネは基本的に植物の魔物。動いたり話したり、ヒト型植物型と色々な形へ変化させられるが、基本は一つの種子だ。

 大切な種子から離れて遠くには行けない。


「これって・・・」


 アルーナは驚いた。

 ポカンと口を開けて固まっている。

 目の前に置かれていたのは、可愛らしいウサギのぬいぐるみだった。


 目がとても綺麗。ルビーの宝石があしらわれていた。

 服もシルクが使われていて、光沢がある。


 森に住んでいたアルーナにとっては、具体的な金額は分からないが、人間が着ていた服よりも上等な布でできているのは分かる。


 いつの間にかアルーナは、とんでもなく高級な人形の中に入っていた。


 


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