表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルラウネと魔王様  作者: 化猫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/17

2、アルラウネと魔族の町


「・・・着いたけど、どうしよう」


 アルーナは町がすぐ見える木の影からそっと町を見ていた。

 町の門には鎧を来た兵隊が立っている。

 いかにも怖そうな強面にアルーナは完全に腰が引けてしまった。


 視線がこちらを向こうとしているのに気づいて、パッと頭を引っ込める。

 樹を背にズルズルと地面に座り込んだ。

 小さく三角座りをする。


 森に帰りたいよ・・・。

 ウジウジとした気持ちが湧いてくる。

 はは様に言われて、奮い立てた気持ちもすっかり萎んでしまった。

 今日は到底、町の中に入るのは無理だ。


 明日になったら勇気が出るかもしれない。

 今日じゃなくても良いよね。


 しっかりしなさいと、叱責する自分の声に聞こえない振りをして、森の奥に視線を向ける。


 風に葉っぱが擦れる音がする。

 目を閉じて息を吸い込むと、魔素に満ちた深緑の香りがする。


 そっと目を開けた。やっぱり落ち着く。

 この森は、はは様の森と似ていて、アルーナにはとても過ごしやすい場所になっている。


 アルラウネという種族にとって、草木が生い茂る場所は自分の半身のようなものだ。

 自分の手足のような場所。


 樹木はこんなに町に近くても生き生きとしているのが感じられる。


 前に、はは様が領主様がしっかりしているところは、森も元気なことが多いって言ってたなぁ。


 こんなに快適なら、ここに住んでしまいたいぐらい。

 でも、アルラウネは一度は森以外に住まなくてはいけない。

 アルラウネの性質上、必要なことなのだ。


 数十年前、それを初めて知った時、アルーナは森を出るのが嫌でたまらなくて、何とか回避できないかと調べていた。

 そのせいで他のアルラウネが本能的分かっていることも、頭でしっかりと理解している。


 うう、行きたくないよぉ。

 アルーナは憂鬱な気持ちを吹き飛ばすためにも、吸い込まれるように癒しを求めて森に入っていく。

 町に入る時はあんなに重たかった足も、森の中では軽々と進んでいく。


「ここは?」


 しばらく進むと、少し拓けた場所に湖があった。

 太陽の光に照らされて、水面がキラキラと光っている。


 その近くに、ふわふわと白い毛の塊のような花が咲いていた。

 近くにしゃがんで、ジッと見つめる。

 指でつついてみると、毛がふわふわとこぼれ落ちていく。


「すごいふわふわだ。なんて種類だろ」

『アルラウネだ。ボクはじめて見るよ』


 つついていた花から、思念が届いてきた。これがアルラウネの種族の力。

 植物はみんなアルラウネと意思疎通ができるのだ。


「こんにちは。アルーナって言うの」

『アルーナはこの森はじめてだよね。ボクはフワメリーだよ』

「可愛い名前だね」


 楽しそうに一斉に語り掛けてくるのに耳を傾ける。


「今日はここで寝泊まりしても良い?出来れば擬態をしたいんだけど」


 アルラウネは、日常生活は女体型の魔物。はは様からは、人間の男のおぞましさを沢山聞いていた。

 その時のはは様まるで、地獄の門番みたいな顔をしていた。


 一人で守ってもらう者が居ない場合は、草木に成り済まして過ごしなさい。それがはは様に、耳にたこができるくらい言われた言葉だ。


 アルーナは自分が狙われるなんて思ってもいないが、はは様の言いつけを破ろうとも思わない。

 基本的に内向的なこと以外は、聞き分けの良いアルーナはしっかりとはは様の言葉を守ったのだ。


『良いよ~。じゃあ、ここで寝なよ。真ん中の特等席だよ!夜はお星様が綺麗でとっても見応えがあるんだ!』

「夜が楽しみだね」


 楽しげに話すフワメリー達にアルーナは、はは様の森を出てから初めて、心が弾んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ