↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴニックプラネット  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/33

第26話 正攻法は使えない

 どうやらアーツたちは横穴の中に閉じ込められてしまったらしい。


「ブラン。ノワールとヴェールに外の正確な数を聞いてくれ」


「分かったわ。二人とも、外にいるっていうその恐竜たちの数が分かるかしら」


『心得た』


 ノワールが触角を垂らして、外へと意識を向けている。

 その状態でしばらくじっとしていたノワールだったが、ふと顔を上げてブランへと報告を始めた。


「おい、ブラン。ノワールはどう言ってるんだ?」


 気になるので、アーツは急かすように尋ねている。


「八体だそうよ。全部巨大なトカゲって言ってるから、多分今までにここまでで遭遇してきたタイプの恐竜だと思われるわ」


「八体……。こないだどうにか引き分けにした相手が八体もいるのかよ。はっきり言って勝てる気がしねえ」


 すっかりアーツは青ざめていた。

 姿は見えなくとも、先日のやつだとすぐにピンと来たからだ。

 一体相手にしただけで死にかけたわけだから、アーツの足が震え始めていた。


「困ったな。アーツがこれじゃどうしたものか……」


 レンクスも険しい表情をしている。

 なんといっても、戦えるのはアーツ、レンクスの二人だけだ。ブランの配下になったノワールとヴェールも戦えるだろうが、相手は超巨大な恐竜。象とノミくらいに大きさのある状態では、勝つどころかまともに戦えるような状況ではないのだ。

 だというのに、肝心の戦力の一人であるアーツが、先日のしっぽの一撃でトラウマを負ってしまっている。一体ならまだしも八体では相手になるとは思えなかった。

 ……まったくどうしたものだろうか。


 その時だった。


 ノワールが突然、地面に穴を開け始めた。


「わわっ、一体どうしたんだよ」


 トラウマに震えていたアーツが驚いている。


「なになに? ここにいても戻れないのなら、我の力で外へつながる穴を掘ってやる、だそうよ」


「すげぇ、そんなことができるのかよ!」


 ノワールの言葉をブランが伝えると、アーツたち三人はものすごく驚いていた。

 その驚きも落ち着かぬ間に、ノワールは一度頭を思い切り持ち上げると、地面へと向かって一気に穴を掘り始めていた。

 そういえばそうなのである。

 アリというのは、地面の中に穴を掘って住む種類が多い。ノワールもそういったアリの一種であるので、地面を掘るのは得意というわけなのだ。

 本来ならばどの程度のスピードで掘るのかは分からないが、今のノワールは主たちのためと非常に張り切っている。

 ノワールの体より一回り大きい程度の穴が、どんどんと地面に開けられていく。

 アーツたちは現状どこにも動くことはできないので、ノワールが戻って来るまでゆっくり横穴の中で座って待つことにした。


 ノワールがどんどんと穴を掘り進めていく間も、残ったヴェールはずっと穴の外の様子を窺っている。

 時折ブランに向けて報告をしており、それをブランがみんなへと伝えている。

 その内容によれば、まったくもって状況は好転しておらず、むしろ悪くなっているようだった。


「マジか……。この穴の周辺に完全に居座っているのかよ」


「やめてくれよ。俺は戦いたくねえぞ。いくら怪力を持っているからとはいっても、火を吐かれちゃ意味がねえってんだよ」


 男連中はすっかり参っているようだった。


「まったく、そんなことでどうするのよ。これから先も遭遇する可能性が高いんだから、どうにか対策できるようにならないと」


「あのな、クロノ。簡単に言ってくれるなよな。あの火を俺たちは防ぐ手立てを持ってないんだぜ?」


「それは……。う~ん、せめて火の温度が分かればなぁ……」


「少なくとも、別の恐竜が黒焦げになるような火だ。温度はそこそこ高いだろうぜ」


 クロノが呟けば、レンクスがヒントになりそうなことを口にする。


「それなら、ニックなら分かりそうね」


「そのニックに会えねえっての……」


「そうだったわ……」


 一瞬希望を持つも、レンクスに言われてクロノは黙り込んでしまう。

 ニックだけは航宙船に残っているために、この窮状を脱出しないことにはアーツたちはニックと合流できないのである。

 完全に行き詰っていた。


 さらにどのくらい時間が経っただろうか。


「ノワールはまだ戻らないのか?」


「遠くと結び付けようとしているから、時間がかかっているみたい。なんとなくどのくらい離れているか分かるわ」


 焦るアーツ。

 ところが、ブランは眷属としたノワールと感覚の一部が共有されているのか、どの辺りにいるのかほんのりではあるものの分かるようだった。

 ヴェールによれば、外は相変わらず恐竜が至近距離で闊歩しているらしく、横穴をまともに脱出できる状態ではなかった。

 いよいよアーツたちの精神状態が本格的に悲鳴を上げ始めた頃だった。

 ノワールが開けた穴から、ノワールが顔を出したのだ。


「おかえり、ノワール。無事に遠くに行けそう?」


 ブランが尋ねれば、こくこくと頷いている。

 かなり遠くまで頑張ってくれたようだった。

 ノワールが戻ってきたことで、アーツたちはその穴を通って脱出を試みることとなる。

 先頭へノワール、最後尾にヴェールが陣取り、いざノワールが掘った穴へと潜り込んだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。