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死ねない少女は生き直したい~二百年生きた手品師、魔法少女に巻き込まれて平和を守る~  作者: 柚月由貴
一章

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幕間3 色々と申し訳なくても言えないことってあるよね

今回はちょっと趣向を変えて、前半がテレビ番組風のインタビュー形式になってます。

本編では触れなかった、とある事件に関係するお話です。

こういう形式は今回だけなので、気楽に読んでいただけると嬉しいです。

(――市街地のとある学校。校門の前に立つ、マイクをもったアナウンサー。ひとしきり状況を説明すると、関係者に対してインタビューを行う映像へと切り替わる)



(学校の敷地外。グラウンドが見えるフェンスの前の歩道上で、子供相手にマイクを構えるアナウンサー。『学校に通う子供の話』というテロップが左上に表示されている)


――お話、聞かせてくれる?

「いいよ! 何?」

――事件が起こった日のことを教えて欲しいんだ。

「あー、あれね。前の日までは普通だったんだよ。なのに、学校にきたらさー」

――二宮金次郎の姿勢が変わっていた?

「そうそう! 皆でびっくりしたよー」

――誰かのイタズラだったりするのかな?

「ありえないって。めちゃくちゃ硬いんだぜ? 俺も触ってみたけど、あれを動かすなんて無理だよ」

――動かすのは無理だけど、姿勢は変わっちゃっということだね。

「そうそう。きっとお化けの仕業だぜ! そんな映画、見たことあるもん」


(そう言って子供は両手を掲げると、手首から先をだらりと下げた。漫画等でよく見る、幽霊のポーズだ。アナウンサーは子供にお礼を伝えると、画面が暗転した)



(次に画面が映ると、校門前に場面が切り替わっていた。大人の女性にマイクを構えるアナウンサー。『最初に発見した先生の話』というテロップが左上に表示されている)


――気づいた時の状況を教えてください。

「学校に来るの、いつも私が一番なんです。その日も最初で、職員室に入って何気なく窓の外を見たら違和感があって――」

――その時に気づいたってことですね。

「はい。本当にびっくりして。一人で近づくのは怖かったんで、同僚が来るのを待ってから確認しに行きました」

――実は元からそういう姿勢だったってことは無いんですよね?

「もちろんですよ! えーと……あ、ありました。ほらこれ、普通の姿勢でしょ?」


(そう言って、先生はアルバムを見せてくれた。この学校の中庭で撮られた、クラスの集合写真。そこには確かに私達が良く知るようなポーズで佇む、二宮金次郎が写っていた)


――これが何年前ですか?

「去年になります」

――なるほど。以前は確実にその姿勢だったのに、それが変わってしまったということなんですね。

「はい、そうなんです」

――何か考えられる原因って分かりますか?

「いえ、そんなものは……もう、本当キツネに化かされたのかなって感じです」

――そうですか。ありがとうございました。


(その言葉を最後に、再び画面は暗転した)



(場面は更に切り替わる。どこかの室内。椅子に座る眼鏡をかけた初老の男が映し出される。『某識者の話』というテロップが左上に表示されている)


――銅像が一夜にしてその姿勢を変えたとのことですが、そういったことは有り得るんでしょうか。

「普通では有り得ない。そんなことが頻繫に起こったら、毎日ワイドショーを賑わせるでしょうな」

――原因として考えられることはありますか?

「自然現象では決してないです。起こったことが事実なら、何らかの人為的な要因があったと考えられます」

――人為的、ですか?

「はい。誰かが、何らかの目的をもって銅像に手を加えたと考えるのが自然でしょうね」

――なるほど。どう言った目的で、何者が手を加えたのでしょうか。

「これだけのことをやってのけたってことは相当な技術力がいります。某国の超兵器の実験。日本政府の差し金。秘密組織の介入……理屈をつければ幾らでも考えられますね」

――ふむ。特定することは困難であると。

「だが、私はそのどれもが違うと思っています」

――……と言いますと。

「技術力的には国家規模のものが必要。しかし、こんな片田舎の廃れた銅像を使う意味が無い。であれば答えは自ずと絞られる」

――その答えとは何でしょう?


(ここで、識者は暫しの間をおいた。眼鏡の位置を直した後、ややあってから目を見開いた)


「それはですな……宇宙人の陰謀です!」

――宇宙人?

「奴らはいつの間にか私達と入れ替わってる。気づいた時にはもう遅い。侵略されてしまってるのだ」

――はあ。

「我々は備えないといけない! 今こそ地球人の知識を結集し、奴らと戦わなければいけないのだ!」

――あーと、えー以上が田中教授の見解となります。

「ここで、この話をした以上、我々も無事では済まないかもしれない。あなたも奴らに狙われるかもしれんぞっ」

――ちょっ、マイク取らないで――。


(画面が暗転する。『暫くお待ちください』のテロップが流れたあと、映像はスタジオへと戻っていった)


「――以上、見て頂いたのが一ヶ月程前に撮影したインタビュー映像になります」


 スタジオでアナウンサーが告げる。

 それを受けてコメンテーター達が思い思いの言葉を発した。


「前回も見たんですけど、やっぱり不思議ですよね」

「銅像が動くなんて、普通有り得ないですもんね」

「某国の陰謀ってのは無きにしも非ずなんじゃないかと、僕は思うんですよねー」


 それぞれの言葉を受けて、アナウンサーが頷いた。


「色々な意見もあるかと思います。しかし、今朝になって更に摩訶不思議なことが発生しました」


 再び画面が切り替わる。

 インタビュー映像でも流れた件の学校、その中庭の様子が映し出される。

 そこに映ってたのは、昔ながらのポーズを取った二宮金次郎だった。


「――何と、変なポーズを取っていたはずの銅像が元に戻っていたのです」

「そんなことあるんですか?」

「先生の言葉じゃないけど、まさにキツネに化かされたと言っても良いですよ。これは」


 映像を見てリアクションを綺麗に取るコメンテーター達。

 最後にアナウンサーが締めくくった。


「私達が見たのは幻だったのか。映像の記録だけ残ってる摩訶不思議な現象。本当に陰謀なのでしょうか。真相は分からずじまいとなっています」


 そうして番組は次のニュースへと切り替わった。

 どこそこの水族館で、ペンギンの赤ちゃんが生まれたとか何とか言ってるのが目に映る。



 ――そのタイミングで僕はテレビを消した。


 ホテルのベッドに倒れ込んで、ため息をつく。

 例の二宮金次郎。あれが元の姿に戻ったことで、再びニュースとなってしまった。

 原因は、当然僕らにある。


 宝玉に自然のエネルギーを蓄積するため、全ての玉を元の場所に戻したのだけど、その際に何故か二宮金次郎が元のポーズに戻っちゃったんだ。

 結構な大騒ぎになってるみたいだね……申し訳ないや。

 でも今更どうしようもないので、心の中にしまっておくしかない。


 真っ暗なテレビを見て、またため息をついた。

 ……うん、本当にごめん。

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