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ゴブリンガールはガチャを引く!  作者: 仲良しおじさん
シーズンクエスト【不思議の国に行く!】編
256/257

第255話 ゴブリンガールは不思議の国に行く!

挿絵(By みてみん)



 メルヘン魔法のせいで体が縮んでしまったジョニーと、逆に巨大化したスラモン。

 互いにポーションとケーキを交換して、ちょうど良いサイズになるまで食べて飲んでを繰り返した。

 だが微調整が難しく、最終的にジョニーはアタイの胸元くらいの背丈、スラモンは一回りでかいくらいの不自然なサイズ感に収まった。


「なんか落ち着かねえな……」

「いつもと景色が違って見えるンだわ」


 そんなこんなでアタイたちはアリスネットと共に花畑を抜け、薄暗い森の中へと分け入った。

 その目的は不思議の国へ迷い込む原因となった野ウサギを見つけるためだ。


「不思議な魔力の影響か、この国は時空がねじれていて、元の世界と自由に行き来することができないの」


 そこで必要となるのがあのウサギのぶら下げてた懐中時計だ。

 詳しい仕組みはわからないが、一時的にゆがみを解消する力があり、元の世界への帰り道を開いてくれるキーアイテムになるのだという。

 かく言うアリスネットもしばらく前にアタイらと同様にこの国に流れ着いたのだそうだ。


「4つ葉のクローバーを知ってる? 私はいつも独りぼっちだったから、友達ができますようにと願掛けをしたくて幸運のクローバーを探していたの」


 そうして雑草探しに夢中になっている内にウサギと出会い、それを追ってここに着いた。


「でも今ではここでの暮らしに満足してるの。毎日が面白おかしなことばかりで退屈しないもの。ただし、変人しかいないから相変わらず友達はできないままだけどね」


 アタイたちはアリスネットの話を聞いて不憫な気持ちになった。

 友達欲しさにクローバー探しに没頭してたというくだりからして既にキツイが、この珍妙な世界に居心地の良さを感じちまってるってのはもうほぼほぼ末期症状だろう。

 アタイらと出会うまでも孤独にお茶会やトランプ並べでヒマ潰しをしてたのかと想像すれば、思わず背筋がうすら寒くなる。


 そのあいだにもアリスネットは足元に生えている花を一輪摘んで、花びらを順にむしっていった。


「友達ができる、できない、できる……。ああ、やっぱり今度も()()()()!」


 最後の花びらをむしり終えて裸になった茎を握りしめ、涙目でうつむくアリスネット。

 そんな彼女の肩に手を置いて、アタイは同情の視線を向けた。


「今のあんたに必要なのはメルヘンな世界でも、クローバーでも花占いでもない。カウンセリングの受診予約だよ」


 そんなこんなで道中を進んでいると、ふいにアリスネットが思い出したように言った。


「そうそう。ここの住民は変人ばかりと言ったけど、特にこの先にあるハートのお城の女王様には気を付けてね。とってもヘンテコで意地悪だから」

「どんなふうに?」

「たとえばね、間違って赤ではなく白いバラを植えてしまったというだけで、罰として庭師を打ち首にしようとしたの」


 傍若無人にもほどがあるだろ。

 グリム系時代の童話シリーズはやることがえげつないね。


「あまりにも理不尽だったから、私が白バラを赤く塗るのを手伝ってあげたの」

「赤く塗るだって? どんだけの時間と手間が掛かるんだい」

「でもそのときはあっという間に終わっちゃったの。とある手違いが起こったせいで……」


 手違いだあ?

 アリスネットは言いにくそうにしながらもその先の言葉を続けた。


「赤くなったのは花びらだけじゃなくて……。葉も土も、庭中のなにもかも。女王様のお顔もね」


 はあ!?

 いやそれ絶対よからぬ事態が生じて赤く染まってんだろ!

 一体どんな手違いが起きたらその規模で一帯を血濡れにさせられるんだよ!


 ――――などとツッコんでいると、ふいにどこからともなく野太い笑い声が聞こえてきた。

 それは森の中を不気味に反響して巡り、思わずアタイたちはお喋りの手を止めた。


 辺りを見回すと、声の主と思しき影が高木の枝の上に寝そべっているのに気付いた。

 縞模様の入った紫毛のデブ猫だ!

 それが耳まで裂けたような大口を開いてアタイたちを見下ろしている。



~チェシャ猫(討伐推奨レベル32)~

 煙のように体の一部を消したり現わしたりする神出鬼没の猫の魔獣。

 宙に浮いてあざ笑い、催眠術で相手の正気を失わせる。



 はたして目の錯覚だろうか?

 笑う猫が体をくねらせるたび、縞模様が波打つようにグルグルと動く。

 やがてその動きが渦巻き状に変化して、猫の本体から離れて宙に浮き始めた。

 実態の無い縞模様はとぐろを巻いて空間をさまよい、怪しげな点滅を繰り返す。


「あれを見つめてはだめ! 催眠術よ!」

「ひえ~!」


 アタイたちは恐怖のあまり、目を閉じ耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ。

 だが奇妙なことに、それでもなお不気味な笑い声は頭の中に響いてくる。


「やいアリスネット! あんたはこれまで独りでこの国を散策してたんだろ! だったらあのデブ猫の黙らせ方くらい知らないのかい!」


 アタイの怒号を聞いているのかいないのか、彼女は一心不乱に懐から1枚ずつトランプカードを捲っている。

 そうして泣き顔になりながらカードに描かれたマークや数字をブツブツと読み上げているのだ。


「ハートのジャックにスペードのエース……。ああ、私の欲しい手が出る確率は何パーセント?」


 知らねえよ!

 一体何やってんだいこいつは!

 この非常時に、呑気にトランプ遊びをやるバカがどこにいるんだい!




 つ・づ・く


★★★★★★★★


 次回予告!


 アリスネットの奇行に怒りと絶望を覚えるアタイ!

 言っとくけどアタイらレベル2のザコモンスターなんだかんね!?

 ゲストキャラのあんたがしっかりしないでどうクエストを攻略するってんだい!

 わかったらなんでも良いから武器を拾って戦いな!


【第256話 ゴブリンガールはポーカーする!】

 ぜってぇ見てくれよな!




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