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片思いカンパネラ  作者: 小説/赤月 イラスト/かくりね
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29・夏祭りに行こう!

 夏祭り前日、涼平先輩から、待ち合わせの場所と時間のメールが来た。

 港希先輩は無事に誘えたのだろうか・・

 でも、こうやってメールが来たって事は、大丈夫だろうと思う事にした。

 (それに、二人は幼馴染なわけだし・・)

 そうだ・・涼平先輩の頼みだったら断らないだろう。

 俺と一緒は面白くないかもしれないけど・・

 「でも・・夏祭りだし、きっと楽しんでくれる・・」

 先輩と夏祭りって・・なんかミスマッチな気もしなくもないけど

 思わず苦笑した時、遠くの方から後輩が俺を呼んだ

 「せんぱーい!今日は天気良いから校庭5週だそうでーす!」

 「えええ!?マジかよ」

 怠いな・・と思いながら、スマホを鞄に仕舞った。





 外履きに履き替え、校庭に向かっていると、前の方から歩いてくる人影が見えた。

 「あれ?」

 夏休みなのに、制服の白シャツにネクタイを締めていて歩いてくるその人は

 「あ!港希先輩!!」

 歩いてくる先輩は、涼しい顔をしていた。

 「先輩、どうしたんですか!?生徒会の仕事ですか?」

 駆け寄ると、俺を見て微かに眉を顰めた。

 「はあ・・まあ、それもあるが、ついでにお前に会いに来たんだよ」

 そう言ってスラックスのポケットに手を入れて肩を落とした。

 「え?お・・俺に会いに来てくれたんですか!」

 「喜ぶな・・面倒くさい」

 さらに眉を顰めた。

 「あ!でも明日の夏祭りで会えますよ?」

 「はあ・・夏祭り・・」

 溜息をつくと、空を仰ぎ見た。

 「とりあえず、生徒会室に行こう・・ここは暑い」

 「え?いや・・でも、俺部活が・・」

 校庭を見ると、他の部員はもう走り始めていた。

 「部長には俺から言っとくよ」

 そう言って、昇降口に向かって歩き始めた。

 「え?あ・・待ってください!」

 ドキドキしながら慌てて後を追った。



 ・



 生徒会室はカーテンが締まっていて薄暗かった。

 中に入った先輩はカーテンを開けると、直ぐにエアコンのスイッチを入れた。

 ヴオンっと機械音が鳴り天井に取り付けられたエアコンが動き出した

 「暑いな・・」

 全然暑そうじゃない顔で言うとネクタイを緩め生徒会長の椅子に座った。

 俺は、近くにあった折りたたまれたパイプ椅子を出して先輩の前に座った。

 「先輩・・あの・・」

 何か言わないと・・と口を開いた時

 「明日の夏祭り、何かあるのか?」

 デスクに肘をつきながら言った。

 「あ・・はい。涼平先輩に言われませんでしたか?」

 「あいつには、一生のお願いだから明日の夏祭りに付き合ってくれと言われた。お前も来るからと言われたが、訳が分からない・・」

 「一生のお願い使っちゃうんだ・・」

 そこまで・・

 「あいつの一生のお願いなんか聞き飽きているよ」

 そう言って、また大きなため息をついた。

 「兎に角、俺の一大事なんだと言って聞かないし・・お前なら、何か知ってるだろ?」

 「はい・・知ってますけど・・」

 俺から説明して良いのだろうか?

 (先輩は・・涼平先輩が拓海の事が好きな事を知っているのかな?)

 二人は仲が良いし・・知らないって事はないとは思うんだけど・・

 「まあ、どうせあいつの一大事なんて拓海絡みなんだろ」

 「!!」

 あ、やっぱり知っていた!

 俺の顔を見て「やっぱりか・・」と呟いた。

 「ったく・・面倒くさい男だ。もうフラれているんだから諦めればいいものを・・」

 「うん?」

 フラれている?

 「え?涼平先輩ってフラれているんですか?って、それって・・」

 フラれるって事は告白したって事だよね?

 でも、そんなの拓海から聞いたことないし・・

 「夏祭り・・あいつも来るって事か?」

 先輩の言葉に、ハッと顔を上げた。

 「違います!拓海は彼女と行くので、涼平先輩が二人の様子を見たいって・・」

 「・・・・・・」

 これ、言っちゃって大丈夫だよね?

 別に内緒にしておかなくて良い事だよね?

 「ふ~ん・・彼女か・・」

 目を細めて微笑を浮かべた。

 「面白い・・」

 「面白くないですよ・・拓海、多分そんなに好きじゃないと思うんですよね・・」

 だって、全然楽しそうじゃない

 逆に辛そうな顔しているし・・

 「益々面白いじゃないか・・そういう事なら、明日の夏祭り行ってやる」

 そう言って立ち上がった。

 「え!?マジすか?」

 「ああ・・茶番に付き合ってやる」

 そう言って楽しそうに笑った。

 「茶番って・・涼平先輩、マジで悩んでますよ?」

 「これで、あいつも諦められるなら良いじゃないか」

 「・・・・・」

 冷ややかな笑みを浮かべて言っているけど、でもそれって・・

 (涼平先輩の事を思っての事だよね?)

 「先輩は・・やっぱり優しいんですね」

 俺の言葉に、心外そうに驚いた顔をしていた。


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