30・待ち合わせ
夏祭り当日、先輩二人とはお祭り会場の神社近くのコンビニで待ち合わせをした。
待ち合わせ時間の15分前に到着してしまい、コンビニの入り口の横にゴミ箱の隣にソワソワしながら立っていた。
「はあ・・やべー・・緊張する・・」
コンビニには、浴衣を着た若い男女や子供連れの家族が出入りしていて、その人混みの中に港希先輩の姿がないか、ジロジロ見てしまう。
俺の視線に気づいた相手が、不審そうな顔でこっちを見返し慌てて視線を逸らした。
「はあ・・あと10分か」
さっき時計を見てから、まだ5分も経っていなかった。
昨日、面白そうだと言っていたし必ず来る・・とは思うのだけど
でも、まだ心の片隅に不安が残る。
心変わりして、やっぱり来ない・・何てことも有り得るかも知れない。
(ああ・・もう早く来てくれ~)
落ち着かない気持ちに体を揺らしながら周りに見渡していると
「おおい!お待たせ~~」
「あ!!」
涼平先輩の声が聞こえ振り返った。
すると、Tシャツにハーフパンツ姿の涼平先輩が両手を上げながら走ってくる。
「先輩!」
俺も手を振りながら先輩の方へ向かった。
「いやあ、凄い人だね!」
「そうですね!でも、毎年こんな感じですよ」
「へえ・・俺、どっかの屋上で花火だけ見ていたからな~」
笑いながら言う先輩の辺りを見渡したが、港希先輩の姿はない。
「あの・・港希先輩は・・」
恐る恐る聞くと「あれ?」と目を見開いて、くるっと後ろを向くと
「ちょっと!港希!!こっちだよ!」
叫びながら手を上げた。
涼平先輩が見ている方向に目を凝らしてみると、人混みに見え隠れする先輩の姿
「先輩・・」
淡い水色のシャツに細身の黒いデニムを履いている
ただ歩いているだけなのに、明らかに周りとはオーラが違って見えて・・いや、これは自分の惚れた欲目もあるのかもしれないけど・・
(カッコいい・・)
彼の周りだけ、夏の暑さを感じない涼やかさがあった。
「はあ・・この人混み・・暑苦しい・・」
俺達の所まで来ると、眉を顰めながら溜息をついた。
「もう!ダラダラ歩くなよ~迷子になるよ?」
「先輩、こんばんわ!」
涼平先輩の横から顔を出して言うと、俺をチラッと見た
「はあ・・お前らも暑苦しい」
「ええ!?」
「はいはい、いちいち文句言わない!ほら、行くぞ!」
不機嫌そうな港希先輩の背中を押しながら歩き始めた。
港希先輩は、嫌そうな顔しているけど、押されるままに歩き出し
俺は二人の後ろを付いて行った。
(幼馴染か・・)
二人の関係が羨ましい・・
俺も先輩の背中を押したい
って言うか手を・・手を繋ぎたい・・
歩くたびにプラプラと揺れる先輩の手を見た
「・・・・・」
触ったら、怒るんだろうな・・
でも、夏祭りのテンションで繋げないかな
「佳弥君、どうした?」
不意に涼平先輩が振り返りドキッとして顔を上げた。
「あ・・いえ、何でもないです!それより、拓海がどこにいるか分かっているんですか?」
「え?知らない」
俺の質問にキョトンとした顔で言った。
「は!?」
それに港希先輩が眉を顰めながら振り返った。
「いや・・だって、二人で何時にどこ行くの~なんて聞けないじゃん」
(確かにそうだけど・・)
「お前・・適当に歩いていて見つかる分けないだろ!この人混みだぞ!」
「でも、ほら!佳弥君なら拓海の行動パターンとか分かるかなってさ」
アハハっと笑いながら言った。
「いや・・仲良いけど二人で出掛けることは無いし・・」
俺も拓海も日曜日も部活だから休み自体ない。
「お前・・まさか無計画で俺を巻き込んだのか」
港希先輩の顔が険しくなっていく。
「無計画じゃないよ!だって佳弥君誘ったもん!」
「ええ!?」
俺にどうしろと!?




