22・私のカンパネラ2-2
その日の部活は、いつもと同じなようで、でもどこか違った。
それは、私が部活の後に告白するから緊張して・・だけでは無くて・・
「ねえ、今日どうしたんだろう・・」
「うん、おかしいよ・・目も合わせないし・・」
先輩たちが先輩を見て言った。
(確かに・・そうかも・・)
いつも涼平先輩と先輩は一緒にいるし、二人で練習しているのに
涼平先輩は窓際にいて外を見ながら発声練習しているし、先輩はピアノの椅子に座り音を確認しながら歌っている。
「ええ?あの二人が喧嘩?初めてじゃない?」
「何があったの?」
女子部員が二人をチラチラ見ながら不安そうにしていた。
私も、何があったのか気になるけど・・でも、二人の距離が離れているのは好都合だと思った。
本当に私の気持を受け入れてくれるかもしれない。
二人が喧嘩をしているなら、きっと落ち込んでいるだろうし
私が慰めて距離を一気に縮めるチャンスだ。
「先輩、ここのメロディー教えてください」
先輩のもとへ駆け寄ると、ゆっくりと顔を上げて
「・・良いよ・・どこ?」
目を細めながら言ってくれた。
「あの、ここなんですけど・・」
楽譜を指さすと、鍵盤の上に指を乗せた。
ポロンっと音が鳴りだし、旋律が音楽室に響く。
(綺麗だな~・・)
音を奏でる先輩の指を見て、そう思っていると
「涼平~どうしたのよ~」
後ろの方から声が聞こえた。
振り返ると、涼平先輩と同じ三年先輩の矢中いつみ先輩だった。
(あの二人・・前に噂になったって聞いたことあるな~・・)
勿論、いつも一緒にいるのは拓海先輩だけど・・でも、私が入学する前に二人が噂になった事があると聞いた事がある。
「どうもしないよ・・何だよ~」
涼平先輩は、彼女を見て眉を下げながら笑った。
その笑顔もどこか寂し気に見えた。
「梅森さん、歌わないの?」
「あっ!すみません!」
拓海先輩の声にハッとして前に向き直った。
その時・・・
(あ・・・)
先輩の表情を見て、ドキッとした。
笑みを浮かべているのに、でも眉は顰められていて、どこか悲しそうに見えた。
「先輩、もう一度お願いします」
でも、私は気づかないふりをした。
気付いてはいけない
私は・・私の恋の為に頑張るんだ
・
そして、練習が終わった後、他の部員が片付けを終えて帰っていくのを見送った。
最後の鍵閉めはいつも拓海先輩と涼平先輩がしていたけど、今日は・・
「涼平、鍵閉めは俺がやるから・・」
「・・ああ・・そう?」
気まずそうに頭を掻きながらチラッと私を見た
何か言わないと・・と思っていると、ニコッと笑みを浮かべ
「お疲れ」
そう言って音楽室を出て行った。
バタンっとドアが閉まった時
「はあ・・」
拓海先輩が小さく息を吐いた
「あの・・先輩・・・」
「ああ・・うん、話しがあるんだよね?」
そう言ってニコッと笑ってくれた。
「はい・・あの・・」
心臓が飛び出しちゃいそうなくらい緊張して
手も足も震えるし・・
声も震えそうになるけど
「先輩・・あの・・」
「うん・・」
私を見る先輩の顔が夕焼けに赤く染まって・・
それが凄く綺麗で、カッコ良くて・・
溢れ出した好きは、もう抑えることができない
「・・・先輩・・好きです・・」
お願いです
私の好きを受け取ってください




