いぬがみきょうぶたぬきって言うらしいです
登場人物が基本男性キャラクターばかりのため、読まれる方によっては、若干のボーイズラブ要素を感じてしまうかも知れません。
ご注意のほどよろしくお願いします。
「主ー、狸ってどんな奴なのー?」
蛇と青龍と共に狸を捕まえて家に戻ると、夜中にも関わらず起きていた白虎が眠そうに目を擦りながら狸を見せろとねだる。同じく眠そうな朱雀と、俺達のためにお茶を淹れる玄武が同じく興味あり、といった様子でこちらを見る。俺と蛇と青龍は、玄武が淹れてくれたお茶を有り難く頂きながら一息吐いた。
「朱雀も白虎も眠そうだし、明日で良いんじゃないか?」
俺がそう言うと、朱雀と白虎は不服そうにしながらも、半分寝ている様な状態で頷き、部屋へと向かう。私も帰るわ、と蛇がお茶を飲み干してからそう言うので、蛇をアプリへ帰した。そして、残された俺達も、湯呑みと急須を片付け早々に眠りについた。
翌日、朝食も食べ終わり、食後のお茶を飲んでいると朱雀と白虎がわくわくとした様子で俺を見る。どうやら昨夜の狸が早く見たいのだろう。
「じゃあ、今から呼び出すか」
俺の言葉に朱雀と白虎が嬉しそうに俺の側へとやって来る。
「主、早く!」
「早く、早くー」
無邪気に騒ぐ二人とは違うが、俺の前で玄武も早く見たいのだろう、俺をじっと見つめている。それじゃあ呼び出すかと、縁側の方を向き、狸以外を召喚しない様にアプリを開き、狸を召喚する。携帯の画面が光り縁側にどう見ても普通のサイズではない狸が現れる。
「貴様、儂を誰だと思っておる!?八百八の眷属を持つ隠神刑部狸じゃぞ!!貴様のような小童に従ったりはせんぞ!!」
召喚と同時に怒鳴りつけられ、驚きで身がすくむ。
「そうは言っても捕まってるじゃん」
朱雀が狸に向かって言い放つ。
「神通力を持ってはいる様だが、我々神には遠く及ばないな」
玄武も容赦無く言い放つ。その言葉にがっくりと頭を垂れてしまった狸がなんだか可哀想に思えてしまい、ついつい撫でてしまう。
「お前らあんまり意地悪いうなよ」
そもそも俺のせいでこの町まで来ちゃったのかもしれないし。申し訳ない様な気がしながら撫でていると二方向から声が聞こえる。
「その通り、隠神刑部狸って愛媛の化け狸だから、主の力に呼ばれたんだよー」
「貴様が元凶か!?」
白虎と狸が同時に喋り出す。神通力って人の心も読めるのかよ。
「わざとじゃないんだ。俺も呼び寄せたくて呼んでる訳じゃないしな」
そう弁解の言葉を口にするも、狸の怒りは治まらないようで、それまで黙って撫でられていたのを振り払い、牙を剥き俺に向かって威嚇する。そして、俺が驚いている隙に勝手に庭を走り抜け、塀を飛び越え行ってしまった。
「ど、どうしよう!?逃げちゃったよ。早く捕まえないと騒ぎになる!!」
一人慌てふためく俺に、青龍が冷静に教えてくれる。
「あの狸は主が封印した狸です。一度封印した妖怪達は主からどれだけ離れようと、主が返還すれば必ずアプリに戻ります」
そう言うと、ちゃぶ台の上に置いてあった携帯を手渡してくれる。俺はアプリを使い恐る恐る狸を返還した。すると、携帯が光り熱を放ち、画面に隠神刑部狸の文字が浮かび上がる。狸には悪い事をしたな、とは思うものの、放っておいて何かあっても困る。俺は隠神刑部狸の画面に向かって黙って手を合わせた。そして、心の中で、今度何か美味いもの食わせてやるからなと念じた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。これからも続けていきますのでよろしくお願いします。
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*登場するキャラクターの性格等は全てフィクションであり、作者の書きやすいように作られたものです。




