表情は豊かだよな
登場人物が基本男性キャラクターばかりのため、読まれる方によっては、若干のボーイズラブ要素を感じてしまうかも知れません。
ご注意下のほどよろしくお願いします。
「ところで、主」
白虎が真面目な声音で俺を呼ぶ。
「なんだ?」
俺は膝の上でゴロゴロとくつろぎ、撫でられるがままの猫に返事する。
「この間、商店街へ行った時に感じたんだが・・・」
するりと俺の手元から抜け出し、俺の正面へと座る。尻尾がゆらゆらと床を撫でるように動いている。
「この街には妖や鬼の類がちょっと多すぎないか?」
「は?妖や鬼?そんなもん、俺がわかる訳無いだろ」
そもそも、俺には陰陽師としての素質がこれっぽっちもありはしないんだからな。
白虎の言葉にそばで日光浴していたイグアナと亀がのそのそと近寄って来る。
「そんなことはありませんよ。我々を召喚できるんですから、主にも感じられるはずです」
青龍は俺の膝に手を乗せる。最近、イグアナが見上げてくるのが可愛く見える様になってきた。
「我々にも何か感じるだろ?」
玄武が甲羅から首を思い切り伸ばし俺を見る。
「何かって、何だよ?」
要領を得ない俺にしびれを切らしたように朱雀が鳥のくせに吠え立てるように喋る。
「全然違うだろうが。存在感とか、オーラとか!」
バサバサと飛べない翼を羽ばたかせ亀の背中に鶏が跳び乗った。
「喋ったり、人の姿になったり、スマホから出て来る所か?」
それ以外、普通の動物と違う所が解らん。
至極真面目な様子の俺に、四匹が呆れたような、淋しいような、悲しいような表情になる。
「そういやお前ら、普通の動物より・・・」
じぃっと四匹を見つめると、四匹がぱぁっと明るい顔になる。
「何ですか、主?」
青龍が表情通り明るい声を上げる。
「表情豊かだな」
わしわしと四匹を撫で回す。表情が解ると余計可愛く感じてきた。
「どうした、お前ら?」
撫で回す俺の手の下で、四匹がまた残念そうな表情になった。
「そ、そんなことより主」
残念な空気を振り払うように青龍が話し始めた。
「やはり、この街には妖や鬼なんかが多すぎです。このままでは何が起こるか・・・」
「事故や事件が多い場所とか無いか?」
青龍に続き、白虎が尋ねる。
「そういや、見通しが悪い訳でも、車通りが多い訳でもないのに事故が多い交差点が・・・」
どうだっただろうかと、考えながら話す俺に朱雀が跳び掛かってくる。
「それだ!」
「さっそく向かいましょう」
青龍が言うや否や、四匹は次々に動き出す。
と、その時
「弥勒ー、ご飯作りすぎたんだけど食べに来ない~?」
母が縁側から暢気な声で話し掛けてきた。
「あら?今、誰か居なかった?それに、いつの間に動物飼ってたの?」
にこにこと笑顔で白虎を抱き上げる。
なんと説明したものか、考えていると
「主の母上か?」
白虎が突然喋り出した。
固まる俺をよそに、四匹は次々に話し始める。
「白虎、母上殿に失礼だぞ。きちんと挨拶しろ。オレは玄武という者だ」
「私は青龍と申します。主にはいつもお世話になっております」
「先程は失礼したな。オレは白虎だ」
「オレは朱雀だ。よろしくな、母上殿」
四匹の自己紹介を聞き、固まったままの母に恐る恐る話し掛ける。
「母さん、大丈夫?」
驚きのあまり倒れるか、悲鳴を上げるか、警戒しながら様子を見る。
「かわいい」
ぎゅっと、白虎を抱き締めついでに残りの三匹も撫で回す母。
「驚かないの?」
母の様子に、逆に俺が驚いていた。
「驚いてるわよ?」
至極のんびりとした様子で四匹を可愛がりながら答える母に、とてもそうは思えない。
が、どう説明するかという悩みは解決しそうな気がする・・・かなぁ?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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まだまだ続く予定なので、これからもよろしくお願いします。
*登場するキャラクターの性格等は全てフィクションであり、作者の書きやすいように作られたものです。




