何でも食べさせてあげますよ
登場人物が基本男性キャラクターばかりのため、読まれる方によっては、若干のボーイズラブ要素を感じてしまうかも知れません。
ご注意のほどよろしくお願いします。
「主、あの不穏な場がどういった場所かはご存じですか?」
商店街を越えた駅向こう、現在は土地開発が中途半端に進められたまま放置されている場所。
「うーん、詳しくは知らないけど・・・。小さい頃は何かの研究所みたいな物の跡地だって聞いた事はある。危ないから近寄るなって」
青龍の質問に、俺はあやふやな答しか持っておらず、更に四人を考え込ませてしまう。
「祖父ちゃんなら何か知ってるかも」
そうだ、昔の事なら古くからここに住む人間に聞く方が早いはずだ。その思い付きで五人で母屋へ向かった。
「という訳で、祖父ちゃん何か知らないかな?」
事の経緯を全て話し、何か心当たりでもないだろうかと聞いてみる。
「そう言えば、父さんが、お前の曾祖父にあたる人だが、戦時中にあの研究所に招集されたんだよ。たしか、終戦間際の頃だったか、戦争に勝つために魔術や呪い何かを研究していたって聞いたな。家は一応陰陽道系の神社だからね、何かやらされてはいたんだろうね。その時の何かが今もまだ残っているのか」
祖父が当時を思い出したのか、少し辛そうに顔を顰める。
「弥勒たちなら、その何かを浄化することが出来るのかい?」
祖父が心配そうに俺達を見る。
「うん。みんな凄い力を持ってるから、必ず浄化するよ」
俺たちはそれぞれに力強く頷いた。それを見た祖父が安心した様に頷き、そして頭を下げた。
「この街に住む人たちのためにも、そして、父のためにも、よろしく頼みます」
深夜、人通りも無く、街灯だけがぽつりぽつりと照らす商店街を五人並んで歩く。少し妙な気分だ。今までの妖怪捕縛とは気分が違う。今まではただ四人について行って見ていただけだった。でも今回は、自分も何かしたい、いや、三善家の跡取りとして、曾祖父の関わったかも知れない、何かを解決したい。そう、珍しく気分が高揚していた。
「主、あまり気張るな。バテるぞ」
玄武が声を掛けてくれる。
「そーそー、そういう時こそ失敗しちゃうしねー」
白虎が少しからかい口調で俺を茶化す。
「主は居てくれるだけで、オレ達に力くれるんだから」
朱雀がにかっと笑って俺の無駄な力を抜こうとしてくれる。
「ですが、主のやる気が我々に力を与えてくれるのも本当です。今我々は力が漲ってますよ」
そして、青龍が俺の気持ちを受け止めてくれた。俺は四人の言葉を聞いて改めて心が決まった。そして、歩みを止めて四人に頼む。
「うん。あのさ、直接なにか出来るわけじゃない俺が言うのは変なのかもしれないけど、みんな、俺に力を貸してくれ」
急に立ち止まって頭を下げる俺に四人は振り返り、俺の言葉を聞いてくれる。
「あたり前だろー?」
「当然だ」
「もちろんです」
「任せろ!!」
白虎、玄武、青龍、朱雀が胸を張る。そして、俺に力を貸す、そのために存在しているのだと言ってくれた。
「ありがとな・・・」
四人に礼を言うと、朱雀に手を引かれ再び歩み始める。
「礼なんて後々。それにどうせお礼されるなら、俺はトウモロコシが良いかな」
白虎も俺の背を押し前えと進ませる。
「俺はツナ缶だなー」
「では私はほうれん草で」
青龍が横を歩きながら続く。そして最後に玄武も横を歩きながら続ける。
「俺は鳥ササミを頼む」
失敗する事など誰一人考えていない。それがこんなに心強いとは。
「何でも美味いもの食わせてやるよ」
四人と共に歩くこの先に何があるのかは分からない。だけど、きっと大丈夫だ。こいつらとなら何があっても大丈夫だろう。
「いざとなれば、蛇も呼べばいい」
その玄武の言葉に、いきなり呼んだら怒られそうだな、なんて思って俺は笑った。
最後まで読んでいただきありがとうございます。これからも続けていきますのでよろしくお願いします。
感想、レビューなどお待ちしております。
*登場するキャラクターの性格等は全てフィクションであり、作者の書きやすいように作られたものです。




