意外とでかいんですね
登場人物が基本男性キャラクターばかりのため、読まれる方によっては、若干のボーイズラブ要素を感じてしまうかも知れません。
ご注意のほどよろしくお願いします。
夜、不審火が多く出る時間帯、俺達、青龍、白虎、朱雀、玄武の五人は朱雀が前もって当たりを付けておいた場所へと向かう。確かに、この辺りは他に比べて不審火が多い。
「火鼠は本来木の中に住む妖怪だ。しかし、この辺りは木が少ないからな。木の多いところを探し歩いているうちに小火を起こしているんだろう。火鼠が方向音痴で助かったな」
朱雀が辺りを見回す。確かに、ほんの少し見回すだけでも森や山がそこら辺にある。
「もし、山に火鼠が住み着いたらどうなるんだ?」
何となく予想は付くが、恐る恐る尋ねてみると、案の定な答えが返ってきた。
「山火事だな」
被害に遭った人達には本当に申し訳ないが、不審火や小火で済んでて良かったのかもしれない。俺は火鼠の方向音痴に感謝した。
その時、ふわりと温かい風が吹いて来る。そして、やはり俺の携帯のアプリが自動的に起動し、熱を放ち光り出す。
「火鼠が来たみたいだな」
緊張をする俺の前に朱雀が冷静に庇う様に立ちはだかる。携帯の画面には味方陣営に朱雀、そして敵陣営には火鼠の文字が浮かび上がる。来る、そう思った瞬間。
「ちゅっ?」
なんとも可愛らしいネズミの鳴き声がした。そして、その鳴き声につられ、鳴き声のした方を見ると赤い炎の燃え盛るネズミが既に朱雀に尻尾を捕まえられている状態だった。これが火鼠なんだろう。見た目は意外とでかい。きっと、自分がどういった状態なのか理解出来ていないのだろう、体を思い切りばたつかせ、朱雀の手から逃れようと必死にもがいている。そんな火鼠に朱雀が静かに話しかける。
「こんな所にいてもお前の住みやすい場所は無いぞ。大人しく俺達と一緒に主の元へ来い。どうせ崑崙には戻れないんだからな」
「ぢゅぅ・・・」
とうとう諦めたのか、火鼠は大人しくなり、俺の携帯にも九字を切る画面が表示される。俺は画面で九字を切り、火鼠を封印した。すると、火鼠の萌えキャラの姿が画面に現われる。
「これで不審火は無くなるな」
ほっ、と一息を吐き、俺達五人は家路へと着いた。
「ところで、火鼠って召喚するとどんな姿で出てくるんだ?」
家に帰り、青龍の淹れたお茶でひと心地着いた俺はアプリを開き何気なく召喚してみる。すると案の定、背後からぼたりと重さを感じさせる音が。そっと振り返って見ると、そこには少し間抜けな顔のげっ歯類最大の生き物、カピバラがいた。
「火鼠ってカピバラになれるんだ・・・」
なんだか少しがっかりしてしまったのは、俺だけの秘密である。
最後まで読んでいただきありがとうございます。これからも続けていきますのでよろしくお願いします。
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*登場するキャラクターの性格等は全てフィクションであり、作者の書きやすいように作られたものです。




