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異世界リサイクル生活! 〜人魚と兎とエルフのドタバタシェアハウス〜  作者: 月神世一


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EP 7

開戦! 激突するアナログ要塞 vs 死蟲の大軍

ズズ……ズズズ……ボロロロロロロロォォォォォォォッ!!!

朝日が差し込む廃採石場に、不気味な地響きが轟いた。

すり鉢状の地形の入り口から現れたのは、紫色に発光し、歪な金属の甲殻が這い出した『奪われたホイールローダー』。そして、その後ろに黒い雲のようにひしめく、数百体の死蟲機マシン・インセクトの軍勢だった。

「あははッ! 逃げ場のない窪地に陣取るなんて、正気ですかァ? 現場監督さん!」

軍勢の先頭、道化師ワイズが、宙に浮きながら仮面越しに嘲笑を飛ばす。

「さぁ、行けッ! 私のかわいい蟲(機械)たち! あの不格好な鉄屑の山(要塞)ごと、彼らをミンチにするのですヨ!!」

ワイズの号令と共に、数百の『死蟻型』がカチカチと金属音を鳴らして突撃を開始し、上空からは『死蜂型』が毒針の照準を定めた。

「……来たな。野郎ども、安全帯(命綱)を締めろ! 『作業開始』だッ!!」

断崖の上に立つ優也が、手に持った巨大なバールを、一本の『安全ピン』代わりの単管パイプに叩き込んだ。

ガキィィィィンッ!!

それが、巨大なアナログ連鎖ピタゴラスイッチの始動合図だった。

「まずは、ルナの特製『散弾』だ! 放てェェッ!!」

優也の合図で、崖っぷちに設置された巨大な『廃棄スプリング(バネ)』のロックが解除された。

強靭なバネが弾けると同時に、装填されていた大量の『ダイズラ豆のサヤ』が、猛スピードで死蟲機の群れへと射出された。

シュババババババババババッ!!!

「ギチィッ!?」「ジジッ!?」

高速で飛来した豆のサヤが、死蟻型の関節や複眼に突き刺さり、次々と爆発して中身の硬い豆を撒き散らす。先頭集団が派手に転倒し、陣形が乱れる。

「あははッ! そんな子供騙しの投石が――おや?」

ワイズが、不気味な粘液状の蟲『死寄生蟲型デス・パラサイト』を要塞の足場に向かって放った。

「さぁ、その足場をバラバラにしてしまいなさ――」

しかし、足場に飛び移った寄生蟲たちは、困惑したように触手を動かすだけだった。

そこにあるのは、ただの錆びた鉄パイプと、ルナが魔法で生やした毒のツタ。

電子基板も、魔力回路も、駆動モーターすら存在しない。

「残念だったな、ワイズ! こいつらには『脳(CPU)』も『神経(魔力経路)』もねぇんだよ! 寄生する隙間なんか、分子レベルで探しても見つからねぇぞ!」

優也が叫ぶ。

「次だ! 重力による『ローラー作戦』ッ!!」

キャルルが、断崖の上に積み上げられていた数百本の『廃タイヤ』と、鋼鉄の『H鋼(鉄骨)』の束を固定していたワイヤーを、ナックルダスターで叩き切った。

ガラガラガラガラガラガラッ!!!

坂道を猛スピードで転がり落ちる、巨大な鉄骨とタイヤの雪崩。

「無駄ですよォ! 『死甲虫型』、前へ!」

ワイズが重装甲の甲虫型を盾にしようとしたが、転がってきたのはただのタイヤではなかった。

タイヤの中には、リーザが気合で詰め込んだ『数トンの巨大野菜』と『岩石』が詰まっており、その重量は一発で1トンを超える。

ドゴォォォォォォォォォンッ!!!

「グモォォォッ!?」

最強の装甲を誇る死甲虫型が、物理的な『重量×速度』の暴力によって、紙クズのように押し潰され、後続を巻き込んで圧殺されていく。

「な……ッ!? 魔法も使わずに、私の精鋭をこれほどまでに……ッ!」

「魔法? そんな高尚なもんは使ってねぇよ! これはただの『物理学おしおき』だ!」

優也が次々と指示を飛ばす。

巨大な歯車が回り、滑車が悲鳴を上げ、崖の上から吊り下げられた巨大な『人参マンドラ(数トンクラス)』が、振り子のように振られて、空中の死蜂型をハエ叩きのように叩き落としていく。

「そして……真打ち登場だ。戻ってこい、俺の相棒ッ!!」

採石場の底。突進してくる『奪われたホイールローダー』の足元の地面が、突如として崩落した。

優也が狂信者たちに掘らせた、特大の落とし穴だ。

「あははッ! 穴を掘って待ち伏せですか? 私の重機おもちゃなら、この程度の段差、アームを使って這い出せ――」

ガコンッ!!

ホイールローダーがアームを地面に突き立てようとした瞬間。

穴の底に敷き詰められていた『廃油入りのドラム缶』と『巨大な鉄の板』が、ホイールローダーの自重によって跳ね上がり――テコの原理で、ホイールローダーの車体そのものを、さらに深い奈落へと押し込んだ。

「ウィ、ウィィィィィン……ッ!?(電子的な悲鳴)」

死寄生蟲型が必死にエンジンを吹かすが、空転する巨大タイヤは泥と油で滑り、脱出不能な状態に陥る。

「ヨォ、ワイズ。手品が上手くいかなくて、顔色が悪いぜ?」

優也が崖の上から、新品のタクティカル鉄パイプを肩に担ぎ、ワイズを指差した。

採石場を埋め尽くしていた数百の死蟲軍は、今や半分以上がアナログトラップによってスクラップと化し、無惨に転がっている。

「……おのれ、おのれぇぇぇ……ッ! よくも私のショーを台無しにしてくれましたネェ……ッ!!」

ワイズの仮面が、怒りで赤黒く発光し始める。

彼は身の丈ほどもある大鎌を構え、その手から見えない強靭な『死糸』を何万本も噴出させた。

「こうなれば、貴方たち自身を『操り人形マリオネット』にして、互いに殺し合わせるまでですヨォォッ!!」

「キャルル! リーザ! ルナ! 最終工程の仕上げだ!」

優也が吠える。

「アナログ要塞の、一番『汚い』トラップをお見舞いしてやれッ!!」

絶望した道化師の逆襲。だが、優也の口元には、勝利を確信した現場監督の不敵な笑みが浮かんでいた。

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