第十四話 焔の足跡
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称・事件等は架空であり、実在のものとは関係ありません
蓮の旅は、阿蘇から北上し、山陰の険しい海岸線へと向かっていた。
今の蓮は、単に強いだけではなく、歩くたびに周囲の熱を吸収し、それを「静かなる闘志」へと変換し続けていた。
しかし、道中組織の追撃は苛烈を極めていた。
なんとしても不知火を手に入れようと、姿を見せないスナイパーや、音速で飛来するドローンが蓮に襲いかかった。
「……不知火、『風塵』」
蓮は、阿蘇で得た熱量を、足裏から不知火に伝え、放出する。
それは「清流」の滑らかさと、「焔」の瞬発力を融合させた、三理一体の高速移動だった。
飛来する弾丸よりも早く動き、弾丸が空気を切り裂く「熱の筋」を読み取って、その間をすり抜け、ドローンを切り裂いていった。
荒波と険しい山道を越えると、断崖絶壁に建つ古社が見えてきたとき、蓮は自らの身体が変化しているのを感じた。
「水」のように形を変え、
「火」のように熱を放ち、
「山」のように揺るがない。
その全てを「風」が運び、一つのタチカキとして完成させていく。
「……凪、そこにいるんだな」
切り立った崖の上、海風が吹き荒れる社。
そこには、これまで出会ったどの兵士とも違う、異様な殺気を放つ男が立ちふさがっていた。
それは最後の刺客。かつて蓮と共に修行したこともある、神代の門下生たちの成れの果てだった。
「神代蓮。君の『不知火』をもらうぞ」
蓮は静かに不知火を正眼に構えました。
もはや言葉は不要でした。一歩踏み出すたびに、砂浜の砂が熱でガラス化し、空気がプラズマのように青白く発光していた。




