表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/20

第十一話 焔

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称・事件等は架空であり、実在のものとは関係ありません

海鳴島の波止場。蓮は、父から受け取った古い地図を見つめていた。


「……九州、阿蘇」

九州の心臓部に位置する阿蘇は、水が溜まった巨大な湖だったが、ある神が外輪山を蹴り破ったことで水が流れ出し、人々が住める豊かな農地が生まれたといわれ、今も煙を上げる中岳を御神体とする焔厳神社ほむらげんじんじゃがそこにはあった。


蓮は迷いなく、西へと向かう高速艇に乗り込んだ。高速艇の中から眺める海が瀬戸内海の穏やかな流れから、激しい流れに変化するにつれ、里の港町を思い出し、寂しさ、未知の世界への不安、そこにワクワクとしたような、胸騒ぎのような、複雑に感情が入り混じっていた。


 九州に降り立った蓮を待っていたのは、都会の喧騒ではなく、生命の鼓動を揺さぶるような大地の震動だった。阿蘇の広大なカルデラ。その中心に鎮座する中岳から上がる噴煙は、まるで大地の怒りのように見えた。

 蓮は、地図に記された焔厳神社を目指し、急な坂道、獣道を歩く、やがて、火口付近の荒涼とした岩場に、黒焦げになった鳥居が現れ、その横に、一振りの巨大な大太刀を背負った、火傷の痕だらけの老人が立っていた。


「……神代の小僧か。遅かったな。凪という娘は、奴らとどっかに行ったぞ。」

「あなたは誰です?なぜ私を知っているんですか?」

「かっかっかっ、そうか知らんかわしは雷火らいかという、ここの神主じゃ、わしを覚えとらんか?」

 雷火の体は、年老いてはいたが、溶岩が凝固する時のように重く、鋭いものがった。

「雷火・・・」

蓮の頭の中に小さい記憶が蘇ってきた。昔、父と演舞を舞った人がいた。それが、雷火さんだった。その時の雷火さんは強く、激しく、ただただかっこよかった。


「あの雷火さんですか、失礼しました。」

「よい、よい、しかしデカくなったな、」

なんだが恥ずかしくなったがそう和んでもいられなかった。

「凪のことをご存知なのですか?」

「おう、わけもわからん輩がきてな、いきなり火を放ちやがったから追い払ってやったわ、その中に凪ちゃんもいたような気がしてな。」

「何が目的だったんでしょうか?」

「知らんなあ、おおかたこの刀の力を知りたかったのかもしれんが、」

 雷火は、背中の大太刀を抜き放った。その刀身は、陽炎のように揺らめいていた。

「それは何なんですか?」

「不知火といってな、代々この神社に伝わる神器じゃよ」

「すごいですね、」

刀の美しさ、迫力に言葉を失った。

「なにただの刀だ。だが不知火は、不純物を焼き払い、浄化する力、焔の理が詰まっておってな、これで神社に無礼を働いたやつらを追い払ってやったわ。」

あいつらを追い払ったのか、

「でしたら僕に、不知火を……焔の理を教えてください。凪を救い出すために、力が、今、必要なんです」

蓮の瞳には火が宿っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ