第58話:【悲報】天使様(非公認)の公開羞恥プレイと、溢れ出すスピンオフの暴走
すべての光を平坦に吸い込む、無機質な白の空間。 そこには、鼻をすする下品な湿音と、ティッシュペーパーが乱暴に引き抜かれるカサカサという音だけが響いていた。
輝夜:「うぅっ、サリちゃぁぁん……! なんて健気なんだ……! そしてリナちゃん! 銀髪の天使様! 尊い……尊すぎて作者の網膜が焼き切れそうだよぉぉ……!」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を覆いながら、輝夜は印刷されたばかりの原稿の束に顔を擦り付けていた。
その背後から、氷点下の冷気を纏った小さな影が音もなく近づく。
リナ:「……作者。その気色悪い鳴き声を今すぐやめなさい。私の背筋を、見たこともないサイズの毛虫が這い上がっていくような錯覚に陥っています」
輝夜がビクッと肩を震わせて振り向くと、そこには顔を耳の先まで真っ赤に染め上げ、ギリッと奥歯を噛み鳴らす軍師の姿があった。
彼女の切れ長の瞳は、輝夜の握りしめる原稿――『サリの見た夢』――を射殺さんばかりに睨みつけている。
輝夜:「ひゃ、ひゃい! 最高顧問殿! いや、北壁編も無事に終わって中休みに入ったからね。あの荒野で出会った小さな少女の視点から、リナちゃんの雄姿をどうしても描きたくなってしまって……!」
リナ:「雄姿? これがですか?」
リナは震える指先で、原稿の一文を指し示した。
リナ:「『冬の朝に降る新雪のような肌』? 『花が咲くようににこりと微笑む』? 極めつけは『天使様』ですと……っ! ? 軍師の潜伏行動を、ここまで少女趣味全開のファンタジーポエムに変換して世界に発信するとは……! 私の羞恥心に対する、新種の拷問ですか!」
輝夜:「い、いや! サリちゃんの純粋な目を通せば、リナちゃんは間違いなく舞い降りた天使だったんだよ! 最後に泣きながら抱き合うシーンなんて、作者も書きながらキーボードが涙でショートするかと……!」
リナ:「……ッ!」
リナの顔がさらに限界まで沸騰する。
仮面の下で大粒の涙をこぼしたあの夜の記憶。あの温かく、小さな腕の感触。それは彼女にとって、胸の奥底に大切にしまっておきたい個人的な宝物だった。それを神の視点で覗き見られ、あまつさえ文字に起こされるなど、全身の毛穴から火を噴くほどの辱めだ。
リナ:「……もういいです。この原稿は私が灰にします」
輝夜:「ああっ、待って! まだ半分なんだ! 全10話構成のうちの、まだ5話分しか書けていないんだよぉぉ!」
リナの動きが、ピタリと止まる。
リナ:「……10話、ですか。本編の小休止と称して、私の赤面エピソードをあと5話分も垂れ流すおつもりで?」
輝夜:「だ、だって仕方ないじゃないか! いよいよ、書籍の発売まであと半月なんだよ! ? もうソワソワして、ワクワクして、ドキドキが止まらなくて! 何か書いていないと、心臓が爆発しそうなんだ!」
輝夜は机をバンバンと叩きながら、落ち着きなく足踏みを繰り返す。 リナは指先でこめかみを強く揉みほぐし、深く、ひどく重い溜息を吐き出した。
リナ:「……書籍発売前のプレッシャーによる奇行ですか。相変わらず、貴方の精神の耐久値は紙っぺら以下ですね。……はぁ。分かりました。貴方がそれで落ち着くというのなら、あと5話、私の胃粘膜と羞恥心を犠牲にして耐え抜いてみせましょう」
輝夜:「リナちゃん……! ありがとう、本当の天使様だぁぁ!」
リナ:「……次に『天使』と呼んだら、その原稿ごと貴方の頭蓋を叩き割ります。……それに、あの村に平和の風が吹いたのも、サリが再び兄と笑い合えるようになったのも事実ですから」
リナはふいと視線を逸らし、自身の小さな掌を見つめた。 あの夜、極寒の荒野で抱きしめてくれた小さな身体の熱が、今も指先に微かに残っている気がした。
静かに伏せられた銀の睫毛の奥で、冷徹な軍師の瞳が、ほんの一瞬だけ柔らかく解ける。 白光に満ちた空間を、乾いた秋の風が通り抜けていくような音がした。
皆様、こんにちは! こんばんは! 作者の 輝夜 です。 いつも物語にお付き合いいただき、心から感謝申し上げます!
苛烈を極めた『北壁編』が無事に幕を下ろし、現在は束の間の中休みとして、閑話やスピンオフをお届けしております。
今回は、荒野で出会ったバラク部族の少女・サリの視点から描かれたショートストーリー(SS)を投下させていただいています。
冷徹な軍師リナちゃんが、純粋な少女の目を通して「天使様」として見つめられるという、作者の趣味(とリナちゃんへの羞恥プレイ)を限界まで詰め込んだ全10話の構成となっております!
現在は前半の5話分まで公開中ですが、後半もどうぞお楽しみに!
そして……皆様! ついに、ついに……! !
【書籍版の発売まで、あと約半月】となりました! !!
作者は現在、緊張と興奮で夜も眠れず、こうしてSSを書き殴ることで精神の均衡を保っております(笑)。
これもすべて、ここまでリナたちの物語を応援し続けてくださった読者の皆様のおかげです。
書籍化に関する最新情報や、店舗特典、キャンペーンの告知などは、引き続き【活動報告】および公式Xにて全力で発信してまいります。
発売日に向けて、一緒にお祭りを盛り上げていただけると最高に幸せです!
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▼ 軍師リナ
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血と泥と、ほんの少しの甘いお菓子が詰まった『ようこそ最前線の地獄(職場)へ』。 これからも、リナたちの軌跡をどうぞよろしくお願いいたします!
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!




