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無職でも英雄や勇者になれますか?  作者: チム子


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7 オークとの戦い


兵士達が懸命に応戦しているがオークの強靭な肉体から繰り出される攻撃を受け、劣勢に追い込まれている。やがて兵士がまた一人膝をつく。オークはまだ3体、その内の1体が兵士たちの猛攻でかなりのダメージがあるように見える。早く馬車の皆の所に行きたいのだが1体でも倒しておきたい。涼宮と視線を合わせたその1体に向かって背後から持っていた剣を振り下ろした。オークの肉に刃が入っていく感覚が手に伝い顔を顰めてしまうが、1体の動きを完全に止めることに成功した。



「よっしゃーまずは1体、次はどうする?」


「皆のいる馬車に1体向かっている。こちらには気づいてないから気づく前に攻撃しよう」


オークが馬車に向かっている兵士たちが抵抗していて進行を妨害しているが、着実に歩みを進めている、馬車まであと50メートル位か…最初の1体は瀕死だったから倒せたけれど…



「カナちゃん、自分より大きな相手にはアレだろ?」


涼宮が歯を見せて笑う、幼少期に勇者や英雄になる為にした訓練や修行、黒歴史になっていたけれど…そうか、アレならば確実に倒せなくても動きは止めれる。そうすれば皆の所へ向かえる。



「涼宮は左側、僕は右側から行くよ、気づかれたら直ぐに逃げて」


「おっけー、でもまさか修行の成果を試せるとはさすがにマジでビビるわ!!」


僕たちは左右に分かれて走り出すオークにはまだ気づかれてはいない、背後から強襲するなんて憧れた勇者あるまじき姿だが誰かを助けるためなら手段なんか選んではいけないし、選んだ結果助けられなかったら目も当てられない。



兵士たちが懸命に抵抗しているお陰でまだ僕たちの存在に気づかれては無い、涼宮と二人で距離を詰めていく、オークが剣が届く距離になった時、涼宮と僕で挟撃する狙うのは足の健、そこを断ち切ればどんな未知の生物だって動きを止める事が出来るはず。



「「はああああああああああ」」

涼宮と一緒に柄にもなく声を上げる、オークの足の健は左右両方、断ち切ることに成功した、膝をつくオークは口角に泡を出しながら耳を劈く砲声をする、耳が痛くなるがその場にいた兵士たちは怖気ることなく兵士たちはこのチャンスを見逃さなかった、動けなくなったオークに多方向から剣を振り下ろす、やがて動かなくなった。



「作戦成功だな、次が最後だなこのままやりきるぜ~」


「馬車に向かっているオークはもう居ないし後は兵士たちに任せよう。さっきの戦いで体力がもう無いよ…このオークと戦っていた人が救援に向かってくれれ…」



次の瞬間、オークの砲声が再び響かせた。砲声が響いた方向を見ると、鎧を身に纏っている一回り身体の大きいオークと対峙している兵士が、棍棒で吹き飛ばしているのが見えた。鎧のオークが馬車に向かって真っすぐ向かってくる、クラスの皆は蜂の巣を突いたかのように逃げ惑うがその中で一人、腰が抜けて立てなくなっている少女が居た、黒川さんが蹲り動けなくなっている。兵士たちの方を見ると負傷者の対応に追われていた、他に動ける人は…



「ラブリちゃんが危ない、早く行くぞ」

一足先に黒川さんに向かって走り出す、遅れて僕も足を縺れさせながら走り出す。自身の体力のなさを恨みながらも急いで向かって行く、鎧のオークは己の持っている棍棒を振りかざし、蹲る少女の頭を叩き割ろうと距離を縮めた。最初に対峙したのは先に走り出した涼宮だった黒川さんの目の前に立つと振り下ろされた棍棒を剣で両手で受け止めた。


「うおおおお痛ってぇぇぇラブリちゃん今のうちに早く!!」


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


泣き崩れる少女は、目の前に現れた自身の命を刈り取ろうとしている鎧のオークに心を砕かれて涼宮の言葉は届いてなかった。再びオークは棍棒を振り上げ、渾身の力で振り下ろすが、剣筋の残像だけが視界に残った。オークは獰猛な笑みで口角を上げる。次の瞬間、振り下ろされていたはずの棍棒が今度は横薙ぎの形で涼宮に襲い掛かる。とっさに剣で防御するために体の横に構える。この初見殺しの技に奇跡的に棍棒を受け止める事が出来たが、奇跡は続かずミシミシと剣が悲鳴を上げ砕け散る。振り払われた棍棒の衝撃をもろに受けて涼宮はそのまま吹き飛ばされてしまった。


「涼宮ああああああああ!!!!!」

涼宮はピクリとも動かなくなり最悪な想像をしてしまう、しかし鎧のオークはお構いなしに今度は目の前にいる少女を殺戮するために棍棒を振り上げた。



「やめろおおおお!!!!」


鎧を纏っているオークと蹲る少女、黒川さんの間に体をねじ込ませて強烈な一撃を何とか防ぐが涼宮みたいには旨くいかず剣で受けた衝撃が腕力では受け止めきれずに額から血が滴り落ちてくる、鎧を纏ったオークは、またしても獰猛な笑みを浮かべて棍棒を振りかざし渾身の力で振り下ろす。



「それは1度見ている、だからぁぁああああ!!」

振り下ろしの残像には反応せずに次の横薙ぎの棍棒に対応する。しゃがんで棍棒を回避し、地面の石礫を拾いそのままの勢いで鎧のオークの目に向けて投げ込んだ、目つぶしされたオークはよろめき怯んだ、尽かさず剣を逆手に持ち替えてオークの頭に振り下ろした、オークは頭に受けた衝撃でバランスを崩しその勢いのまま仰向けの形で倒れた。



「グルゥゥゥアアアア」


叫び声を上げ僕を手で払いのけようとする、致命的な一撃を受けて威力は下がったとはいえ、オークに跨る僕にオークの手が当たるたびに痛みで気が失いそうになるが何度も何度も剣を目の前の敵を息絶えるまで振り下ろした。


払い落そうと抵抗していた手もやがて力を失い地面へ落ちていく。最後にオークの頭に渾身の力で剣を突き立てた、オークの体の上から崩れ落ちていく。何とか立ち上がり辺りを見ると黒川さんが蹲り動けなくなっているが無事なようで安心した。他の兵士たちもこちらの方へ向かってくる、どうやらこのオークが最後の1体のようだオークが力尽きているのを確認すると兵士は勝鬨を上げた。


「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

兵士が声を上げる呼応するように他の兵士たちも声を上げた、勝利した喜びよりも涼宮の方が心配になる、吹き飛ばされた方を見ると満身創痍ではあるがこちらに手を振り笑みを浮かべていた、案外平気そうで安心した、そのまま涼宮の方へ向かう途中に空から強大な何かが落ちて来た。



轟音があたりに響き、勝鬨の声も一瞬にして収まり辺りは静寂に包まれた、目の前に落ちて来たものは砂埃が舞い確認することが出来ないが、全身の毛が逆立つのが分かる、ここから直ぐ逃げるように危険信号を脳から全身に伝わる。



「グルルルルオオオオオオオオオ!!」


叫び声の衝撃で砂埃が強制的に取り除かれ目の前に落ちて来た者の全貌が明らかになる、オークに似てはいるが相対して分かる絶対に立ち向かってはいけないものだった、全長はオークの2倍以上あり、体つきは普通のオークに比べてかなり筋肉質であった、何よりも体の色が血に濡れたかのような赤色をしていた逃げようとするが足が竦んで動けない。



「あ、あれは『二つ名持ち』のレッドオークだ…なんでこんな所に…」


兵士達は目の前に現れた者に恐怖して逃げ出すものが居れば、同じく足が竦んで動けなくなる者や失禁するものまでもいた、ある一人の兵士が余りの恐怖に気がおかしくなったのか単身でレッドオークに向かって行くが虫でも払うかのような軽い腕の一振りで吹き飛ばされ動かなくなってしまった。



「オ、俺ノ仲間タチ…殺シタ…イッパイ」


今度は僕に向かって拳を振り上げる、先程の兵士と違って明確な殺意を持って振り下ろす、オークに突き立てていた剣を慌てて引き抜き防御に徹するが、圧倒的な暴力によって剣ごと体が吹き飛ばされる。



「うわああああああああああああああああ」


何とか防ぐ事は出来たが吹き飛ばされる時に恐らく両腕の骨が折られた、特に右腕がひどい赤黒く腫れあがり感覚が無くなってしまっている、余りの痛みに気が遠のきそうになる、先程から頭の中でノイズが鳴っている、死の恐怖で可笑しくなってしまっているのかノイズがどんどん大きくなっていく。



(俺の…名前を)…ノイズはその言葉を繰り返し流している、その間にもレッドオークは止めを刺すために僕に向かって歩みを進める、目の前に立つと歯を見せて笑いその強大な腕を振り下ろした。死を覚悟をして目を閉じたが痛みもなく、意識も恐怖で気絶しそうになったが辛うじてあった。何も起こらなかったので閉じていた眼をうっすら開けると、レッドオークの攻撃を狛井霞《こまいかすみ》が受け止めていた。



「四葉君ごめん、遅くなったそれとこの剣借りてるよ」


凶悪な攻撃を剣一振りで受け止めて、力を入れて押し返すと自分の何倍も大きい相手が力負けしてたたらを踏んだ。レッドオークは負けじと狛井君に向かって拳を振り下ろす、剣でその拳を弾き落とすと今度は狛井君がレッドオークの首目掛けて剣を振り下ろした、頭と胴体が切り離され落ちてゆく



「なんだよ…一瞬かよ…」

今度こそ僕は意識を完全に手放した。



チム子です。

初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。

少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。

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