60 青と黒の勇者
まず1つ目は、あの出目金の生命線の湖の青色の球を壊さなければならない。2つ目はここの町を守るために戦っている人たちに援護をして出目金と周りの魔物を討伐する。最後の3つ目はセラフィ・リングを櫛枝さんの下へ届けに行く人を決める。僕達は3手に分かれなければいけない。
「セラフィ・リングを櫛枝さんの下へ届けに行くのはマサヨシと涼宮で行って!!マサヨシのスキルで涼宮をサポートしてくれ」
「任せたまえ!!必ずやこの指輪を櫛枝氏に持っていこうぞ!!」
「おっしゃ~マサやん気張って行こうぜ!!クルミちゃんも待っているしな!!」
マサヨシと涼宮に回復アイテムと食料を持たせて、先にこの階層から出てもらう事にする。櫛枝さんを優先させてこの階層の人達に悪いが見捨てるっていう選択肢もあったが、その気にはどうしてもなれなくて、皆もここの人達を見捨てる気はさらさらなさそうだった。
「次は湖の青色の球だけど………」
「それは私がやるよ、水があるなら私の領域だからね!任せて!!」
「僕も行くよ湖には千体どころじゃない魔物が集まっている。1人じゃ危ないからね」
「だったら私は………ここの人達とあの魔物を?……出来るかな?…」
「大丈夫!!黒川さんなら出来るって信じてる!!黒川さんは他の人達のサポートをしてほしいんだ。とにかくあの出目金と周りの魔物の動きを止めれば、かなり助かると思うよ。僕達もあの青色の球を壊したら直ぐに向かうから」
「分かった………頑張るよ!」
僕と天清さんは湖の方へ行き、黒川さんは町の方へ行った。湖に行くまでにはケノス・エルフだけでなく上下の階層から魔物のが集まってきているようだ。こちらへ向かって来ている上層の魔物と鉢合わせになっていないか先に向かったマサヨシと涼宮が心配になる。
「カナタ!!来るよ!下がって湖までの道は私が作る!!『タイダル・ヘイル』!!」
魔法を唱えると目の前に大波が現れて目の前の魔物たちが流されていく。湖までの魔物や障害物が無くなり言葉通りに湖までの道が出来たので青色の球の所まで一直線に向かって行った。
「天清さん!!大丈夫?顔色が少し悪いけど」
「大技使っちゃったからね……魔力で水を作り出すと、どうしても魔力がかなり削られるんだ…湖まで行けばあの水を利用すれば何とかなると思う」
湖に近づけば近づくほど魔物の数が当たり前だが多くなっていく。アンデットや昆虫系の魔物もあの青色の球を守るために近づいてくる僕達を執拗に狙ってきた。魔物の群れを掻い潜り決死の思いでようやく湖の所まで来ることが出来た。
「この球を破壊すればああああああああああ!!」
「カナタ!!この青色の球、周りの魔物の力を吸っている」
青色の球に黒剣で傷をつけることが出来たが魔物から力を貰い修復していく。力を吸われた魔物は干からびて魔石だけを残して消えていった。この数千以上の魔物を何とかしない限りはこの青色の球を破壊することが出来ないのか?
「カナタ!!時間を稼いで私が何とかするから……」
「天清さん何を……」
天清さんの周りに青色の魔力の渦が現れて色濃くなっていく、天清さんが詠唱をしている。今まではスキル名だけで魔法やスキルは発動していたが、歌うように唱えるその魔法に見惚れそうになるが、今は詠唱の為に無防備になっている天清さんに魔物を近づかせる訳には行かない。
「うおおおおおおお!!まだまだああああ!!」
「キュイキュオオオオオオ!!」
昆虫の魔物やアンデットまるで僕には目もくれずに天清さんを求めているかのように近づいていく。僕は近づけさせないために何度も何度も黒剣を振り続けた。それでも天清さんの周りの魔物たちの数は減るどころか増えていく一方に見える。
「『アクア・アルソフィア』」
天清さんの魔法が発動すると、湖から次々と水の柱が出て来て魔物を穿っていく。雨のように降り注ぐその魔法に魔物たちは次々と撃たれて数を減らしていった。数千以上いた魔物もその強大な魔法の前には成すすべも無くやられてしまった。
「これで………大丈夫………でしょ…後は頼むね…」
「分かったよ天清さん!!うおおおおお!!」
黒剣で青色の球を切ると再生はされずにドロドロと消えていった。後はあのオルクス・クリポスサロを残すだけだ。早く黒川さんの下へ向かわないと行けない天清さんを安全なところまで連れて行って、僕は町まで走って行った。
「「「「「うおおおおお!!よっしゃああああああ!!勇者様!!!!バンザーイ!!」」」」」
町に戻ると街を守っていた冒険者や商人の勝鬨の声が聞こえて来る。町の前には出目金が力なく倒れていた。勝鬨の中心に顔を真っ赤に染めている、黒川さんが居た。次々と感謝の言葉を伝えられている姿は紛れもなく勇者に違いなかった。
「私は………何も………皆さんのおかげで……」
「謙遜するなよ!!あんたが来てくれなかったら俺たちはあの魔物にやられていたよ」
「諦めかけていた時にかけてくれたあの言葉………勇気が湧いたよ!!」
「あんたも大丈夫だったかい!!魔物だらけだったろ!!勇者様がな………………」
討伐出来た興奮なのか町は祭り騒ぎになっている。町の方は意外と中は無事なようで、この町の方もたくましいのか何というのか直ぐに商売に戻って行った。
オルクス・クリポスサロから出て来た魔石やアイテムは黒川さんにと町の人達が言っていたが、黒川さんはこの町の復興の為に使ってほしいと言うと感動して涙まで流す人も現れた。
「四葉君!!勝手に渡しちゃったけど大丈夫かな?」
「この町に助けられている冒険者や騎士団の方も居るだろうから大丈夫だよ!!それよりも天清さんを休ませなきゃ」
「そんな事ならここを使ってくれ!!勇者様のお連れさんならタダで良いよ!!」
湖の前は戦闘の跡で家を建てられそうにも無かったので、お言葉に甘えてこの町の宿屋で休ませてもらう事にした。ダンジョンの破壊された部分は時間が経てば修復されるようなので、湖も今は水が無くなってしまっているが何とかなるだろう。
「榎本君や涼宮君は大丈夫かな?」
「大丈夫だよきっと!!涼宮は何だかんだ強いしマサヨシもやる時はやると思うよ!」
次の日、僕達は涼宮たちの後を追うために上層への入り口まで来たのだが、昨日の戦闘の影響か入口がふさがってしまう。町の人達に聞いてみるとダンジョンの修復には1週間以上掛かってしまうという事だ。食料には余裕があるからここで滞在していかないかと言われたが、僕達は30階層まで戻ってホイロスダンジョンから地上に向かう事にする。
「また来た道を戻るのか…まあクルミが心配だしね」
「魔物が少なくなっている今のうちに30階層まで向かおう」
予想通り30階層までの魔物は少なくなっていたので、思ったよりも早くに転移装置のある所まで来ることが出来た。壁に手を触れてみると仕掛けは問題なく作動してくれたので安堵した。目の前の石柱も淡く光っている。
僕達はホイロスダンジョンに転送してダンジョンの外まで出るとセルマさんが手配してくれたのだろう馬車の業者が居たので乗り込みヴェルタニアに向けて出発した。
チム子です。
前の話ちょいと付け加えたり、変更したりしています。すみません…
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