58 アナリティア・マギアとの戦い
アナリティア・マギアの相貌はフードの奥に隠れているので分からない。階層主の部屋の内部は神殿の様なつくりになっていて、真ん中には大きな魔法陣が描かれている。周りに置かれている本は奴が呼んでいるのだろうか?今は階層主の部屋の外なので襲い掛かってくることは無いので改めて今回の階層主戦の作戦を皆に伝える。
「ここからが本番だよ。この階層主を倒して何としてでもセラフィ・リングを手に入れなければいけない」
「そうだな!!クルミちゃんも待っているぜ」
「私はヤツの弱点が青になるのを見続ければよいのだな!!」
スキルや魔法は階層主の部屋の内部に入らないと階層主に干渉できない。マサヨシの鑑定スキルも例外ではなかった。その為に涼宮にはマサヨシの盾になってもらって。僕がアナリティア・マギアに攻撃を加えて敵視を取ることになっていたのだが、魔法から逃げきれなかった時の最悪の場合を想定して黒川さんにある作戦を伝えておいた。
「あのマギアが青が弱点になったらアイリが動きを止めて、私が魔法で止めを刺せばいいって事でしょ」
「そうだね。弱点属性が変わる時間がどれだけあるのか分からないのが怖いけどね……」
「それは相棒の逃げ足に期待だな!!セルマさんも言ってたぜ!体力自体は少ないから弱点を突く事が出来たらそんなに難しい敵ではないってな!!」
「怖いけど私も頑張るよ。四葉君もあまり無理はしないでね」
僕達は階層主の部屋に入るフードの奥から緑色の双眼が煌々と輝く。戦闘開始の合図だ、僕達の目の前に黄色の魔法陣が展開される。地面の魔法陣から鋭利な土の柱が生えて来る。魔法陣の展開から攻撃するまでの時間が極端に少ない、魔法を主力とする敵と戦った経験のなさがここに来て響いてくる。
「あっぶねぇ~開幕早々、危ない魔法使うなよな!!直撃だったらお陀仏だったぜ」
「そのままマサヨシを守っていてくれ!!マサヨシも弱点が青になったら教えて!!」
「アナリティア何某よ!!私のスキルで全てを曝け出しなさい!!………何か私を見ている気がするんだが…魔法陣?……ぎゃあああああああ!!助けて!!」
マサヨシのスキルを使おうとすると出る虹色の光に反応して、アナリティア・マギアも魔法を放ってくる。マサヨシの目の前に赤色の魔法陣を展開されて火炎の槍が飛んでくる。
天清さんが咄嗟に青の魔法で撃ち落とすが、魔法陣を展開してマサヨシを執拗に狙おうとする、1度魔法を使うと次に魔法陣を展開するのに少し時間が掛っているようなので、攻撃するのはこのタイミングしかない。
「ここだあああああああああああ!!」
「キルキルキル………ギルギルギィイイイイ!!」
物理攻撃を与えた瞬間に緑色だった双眼の光が紫色に代わる、セルマさんが言っていた怒涛の魔法が来るはず、魔法陣の色と位置を把握すれば避けられるはず……と思っていた僕が甘すぎたようだ。魔法陣が1つだけではなく幾つも展開される。
同時展開された魔法陣の全てが僕を狙ってくる。炎の槍が降り注いだり、地面から土の柱が出てきたりして上下どちらにも逃げ場がない状態になった。全力で逃げ回り何とか凌ぎ切ることが出来た。攻撃を終えると次の魔法陣を展開するのに時間が掛るはずその隙に……息をつく暇もなく炎の槍が頭上から降り注いでいる、天清さんの魔法で難を逃れたがこのままではまずい…
「ぎゃああああああああ!!無理無理無理ぃいいいいい!!助けてええええ!!」
「今助けるよ四葉君!!『エオーリシ』!!後はこの四葉君から貰った指輪で!!」
黒川さんの対象の物を浮かすことが出来る魔法と下位の風魔法を使う事の出来る魔道具と組み合わせることによって僕の身体は浮き上がり、風の魔法で高速移動することが可能になる。だが僕の意思とは関係ない方向にぐるぐる飛ばされるので目が回りそうだ。
「ごめんね!四葉君!!魔法がすごくて当たらないようにするのが精いっぱいなの」
「だあああああ!!いいいじょうがぶうううう気にいいいいオロオロオロォ………」
「全然大丈夫じゃないように見えるぜ相棒……キラキラが見える…」
「まあこれでアナリティア何某はカナタに首ったけよ!!私はこのまま弱点が青になるまで見ればいいのだな!!カナタよ~~今は赤だあああああ!!」
アナリティア・マギアの狂乱は相手に魔法が当たるまで終わらないようだ。それまでは僕に敵視を向いているので皆が狙われることは無いだろう。振り回されること数十分後にようやく待ち望んでいたマサヨシの青の報告が来た。
「カナタ!!帰ってきなさい!!『アクア・ジェット』!!」
「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!」
天清さんの青の魔法の推進力で急速に入口まで戻される。安全圏に入ったところで黒川さんのグラビティ・アトモスフィアでアナリティア・マギアの動きを止めた。
その後は天清さんが青の魔法を止めを刺すだけだ。2度目は嫌なので何とか1回で終わらせてほしい。氷の柱や水のハンマーなどで一方で気に攻撃を加えると重力に逆らっていた身体も力なく倒れて起き上がる気配は無かった。
「よっしゃああああああ!!やったな相棒!!」
「危うく僕の方が先に倒れそうだったよ……もう二度とごめんだなこの相手は」
「むむむむむ!!!おかしいぞ!!私の目にはもう一つの敵のステータスが見える」
「部長!!何が起こっているの?」
「分からんが!!アナリティア何某が倒れた今………新たな敵……『ゴルゴーン・マゴス』……」
倒れた身体が脈動しているかのように動き出す。アナリティア・マギアが空中に浮きあがり、逆さまになるとローブが地面に落ちていく。下半身は蛇の様な尻尾が生えており先端にはアナリティア・マギアだった者なのか緑の双眼の老婆がある。
まだ目覚めたばかりなのか反応は少ないが上半身は緑色の肌の爬虫類のような眼をした化け物だ。髪は別の生き物なのか、うねうね動いている……
「私に任せなさ~い!!弱点を見せなさい!!アナライズウウ!!」
マサヨシが虹色に光り出すが完全に目覚めた、ゴルゴーン・マゴスがマサヨシの方向を見た瞬間にマサヨシに何が起きたのか動かなくなってしまった。マサヨシに集まりかけていた虹色の光は霧散してしまった。慌てて涼宮も盾を構えてマサヨシを守ろうとする。
「マサやん大丈夫か?!!なんだ盾がおかしい………分かったぞ相棒!!奴の視界に入っちゃダメだ!!石にされてしまう!!」
「アイス・ウォーーーール!!余り持たないかもしれないけど、これで私たちの姿は見えないよね?」
氷の壁で視界を防ぐことは出来たが氷の壁を攻撃する音が聞こえてくる。頭に蠢いていたのは蛇だったようでその蛇が氷の壁を攻撃しているようだ。ひび割れの隙間から蛇が何匹か侵入して来た。蛇自体はそんなに強くはないが数が多い。氷の壁もいつまで持つのかが心配になる。
「これ以上は持たないよ!!こうなったらやられる前にやってやる!!氷の壁が崩れた瞬間に私の魔力尽きるまで攻撃するよ」
蛇の猛攻に耐えられなくなってしまった氷の壁は崩れてしまう。天清さんの氷の柱の魔法でゴルゴーン・マゴスを攻撃する。相手の姿が見えなくなるほどの何千もの氷の柱を討ち続けると魔力が切れたのか天清さんは倒れてしまった。
「やったのか?天清さんを早く安全なところへ!!」
「分かった!!ちょっと石になっちまったけどこの盾の中なら石にされることもないだろ」
「そんな…四葉君これって…」
天清さんの魔法によって見えなくなっていた敵が徐々に姿を現す。所々傷を負っているが、自身の蛇の髪の毛を目の前に垂らして盾のようにして身を守っていたようだ。蛇の髪の隙間から見える口元は卑しく弧を引いていた。
チム子です。
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