57 ケノス・エルフと謎の指輪
セルマさんから40階層の階層主の話を聞いた。名前は『アナリティア・マギア』フードを被った魔導士が待ち構えているようで、攻撃は魔導士なの主に魔法で攻撃をしてくるのだそうだ。
物理攻撃をすると怒涛の魔法攻撃で返されるようなので気を付けないといけない。さらに1つの属性魔法以外には強い耐性を持っているようなので、まずは弱点の魔法を見つけることが重要なのだそうだ。
「魔法って言ったって、俺っち達が使える魔法属性は青と黒しかないのにどうするんだ?」
「セルマさんが言っていたけど時間経過で弱点属性が変わるようだから、弱点が来たら天清さん、お願いするよ」
「おっけー!じゃあ弱点は部長が鑑定で見るって事ね。重要じゃん」
「その大役!!しかと引き受けた!!だがスキルを使っている間は無防備になるから守ってくれい」
「涼宮は大盾でマサヨシを守ってくれ。僕は攻撃して魔法の敵視を出来るだけ取るよ」
「私は何が出来るかな?……」
黒川さんには重要な役割がある。黒や白はどの属性にも当たらないので、アナリティア・マギアには効くらしい。だが黒の魔法には直接相手を攻撃できる魔法が無い。
グラビティ・アトモスフィアで自重で倒す方法も考えたのだが、倒しきれなかった時の魔力消費が激し過ぎるのが怖い、それならば弱点が青になった時に動きを止める方にこの魔法を使う方が有効だろう、動きを止めた後に天清さんの全力攻撃で畳みかける作戦で行くことにする。
「セルマさん達も居ないから、次の階層から魔物の出現率が上がると思うから気を付けていこう」
「マサやん頼んだぜ!!罠も増えるから責任重大だぜ!落とし穴とか魔物が沢山やって来る罠とか………思い出しただけでも寒気がするわ」
「全部あんたが踏んだ罠じゃない。だから階層主の部屋まで行けなくて。探知スキルを持つ人を探していたのよ」
「任せてくれたまえ!!私もここに来てからレベルがぐんぐん上がっているのでな!!大船に乗った気分でいたまえよ!!わぁーはっはっはははははは!!」
「部長の船が泥船じゃないと良いけど………」
31階層からは霧が薄く掛かっている森のダンジョンのようだ。まるでホイロス城砦の近くの魔の森と言われていた所と雰囲気が良く似ている。この霧の中だと魔物がどこから出て来るのか分からないし、罠も見つけにくいだろう。
出て来る魔物は……魔物と言うか魔族のように見える。耳が長くて肌が青い……生気はまるで感じられないが森精人の様な見た目をしている。弓や槍で攻撃して来るのと杖を持っているものは風魔法を使って攻撃をしてきた。詠唱をしているのだろうが聞こえる言葉は分からない。
「最初は何か人っぽくてさ……抵抗あったけど相手も容赦してくれないしな」
「安心したまえ!!『ケノス・エルフ』は他のダンジョンの魔物と同じく魂は入っておらん」
「マサやん魂まで見えるのかよ!!凄いな!!それもスキルなのか?」
ダンジョンの魔物には魂が入っていないのか。あの赤いゴブリンの下卑た笑みも魔物の人族を舐めたような態度も全部、女神ディアスが作り出したこのダンジョンの幻想なのか?魔族に対抗するために作り出したと言われていたが魔物まで作り出したものだとは思わなかった。魔族や魔物との戦いの訓練にはこれ程のものは無いかもしれない。
「鑑定のスキルの副産物のようなものだ!!試しにカナタ氏も見てやろう………心の清いものは綺麗な光で見えるものよ!アナラアアアイィイイイズ」
「次は俺っちを見てくれよな!!さぞかし光り輝いているのだろうぜ!!」
「なんだ………魂がぶれて見える……??痛っう……痛たたたた目にゴミが入ったようだ」
「榎本君……大丈夫?早くこの水で目を洗った方が良いかもしれない」
「ありがとう。黒川氏…ほうほう………さすが黒川氏!!魂が輝いている…もっと私に見せてごらん…はぁはぁはぁ」
「何しているのよ変態!!」
「ぎゃあああああああ目があああああああ!!!」
天清さんに両目を指で突かれたマサヨシは地面を転げ回っている。魂以外の情報も見ようとしていたのだろうから自業自得だ、黒川さんは胸のあたりに手を置いて顔を赤く染めていた。後でマサヨシに黒川さんの情報をこっそり教えてもらうとして。探索を続けることにした。
「……縺ゅ縺 ヱ繧ソ繝シ繧ィ繝ゥ繝シ………」
「また来たぜ!相変わらず何言っているのか分からないけどな」
「魔法を使うやつは黒川さんと天清さんが倒して!!僕達は他のやつを相手する!!」
ケノス・エルフを相手に戦っていく。下層に進んでいけばもしかしたら獣人のような魔物が現れるかもしれない、その時は僕はまともに戦えるのだろうか?今は目の前のケノス・エルフを倒すために黒剣を振るわなくてはいけない。黒剣で切り付けると他の魔物とは違い血液などは出なくて切り口から空洞が見えるだけだった。
「よっしゃー!最後の1人だぜ!!緑色の魔石が出ることがあるから回収しようぜ!!属性付きは換金率が高いからな」
「やっぱり凄いね四葉君のスキルは倒したエルフさんから全部魔石が出て来ているよ」
「相変わらずこのスキル以外は何も出てこないけどね。でもこのスキルがあればきっと40階層の階層主のアイテムだって出て来てくれると思うよ」
「相棒期待しているぜ!!階層主は基本的にはドロップ率が高いけど稀にスカがあるみたいだからな………時間が無い今は相棒のスキル様の力に少しでもあやからないと………」
「皆の者!!注目せよ!!今しがた倒した魔法を使うエルフから指輪が出て来たぞ!!」
「この感じ久しぶりだな!!前回はアマちんが犬耳っ娘になるアイテムだったけど今回はもしかすると」
マサヨシは犬耳に反応を示して、土下座をする勢いで天清さんにそのアイテムを使うようにお願いしているが冷ややかな目で断られていた。今回のこのアイテムは黒川さんに着けてもらう事にした。
指輪には色々思う事や思い出があるが、少しでも強くなる可能性があるのなら着けてもらうに越したことは無い。前回の事もあって指輪を渡す時は嫌がられるのかと思ったが、すんなりと受け入れてくれた。寧ろかなり喜んでいるのか?
「別に何も起こらないな?……ちょっと俺っちにも貸し……いや大丈夫だから取らないから!!」
「アイリもそんな目をしないの。そうだ部長この指輪を鑑定してあげてよ」
「それなら条件がある!!犬耳を触らせなさい!!今あああ!!ここでえええ!!!!」
「分かった。分かったから、早く鑑定しなよ!!」
マサヨシの鑑定スキルで分かったことは、この指輪があれば風系の下位魔法を使えるらしい。試しに使ってみると強い風が出て来た、軽い敵なら吹き飛ばしたりできそう。この指輪は黒川さんの魔法とも相性が良さそうだ。
マサヨシは交換条件の犬耳を見せてもらおうと天清さんに詰め寄っているが、天清さんは腕輪を取り出してマサヨシに着けてあげる。マサヨシの頭には犬耳が付き尻尾も生えている。
「話が違うぞ桔梗女史!!男の犬耳なんて需要があるわけあるまいか!!!」
「嘘は言ってないよ。部長は犬耳を触らせてほしいって言ったでしょ、自分の犬耳を触ればいいじゃん」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ………」
言い負かされたマサヨシは悔しそうな顔をしつつも、天清さんの言葉通り自分の耳を触っている。案外気に入ったのか効果が切れるまで触り続けていた。天清さんがそのまま着けていて良いよと言っていたが、マサヨシは強く固辞して腕輪を押し付けるように返していた。
マサヨシの目は天清さんの犬耳っ娘を諦めていないようだった。そして遂に僕たちは40階の階層主の部屋の前にまで来ることが出来た。目の前にはフード付きのローブを被った階層主が待ち構えていた。
チム子です。
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