56 アンデット達の巣窟
僕達は次の階層を目指すために降りると、そこにはダンジョンの中なのに墓や、崩れ去ってしまった廃墟などが点在している。骨の剣士や身体が腐り落ちかけているゴブリンやコボルトなどが徘徊していた。どれもスピードが遅い。反応が鈍いのか近くまで行かないと襲ってはこないので避ける事は簡単だった。
「ホントに不気味だよなここって暗いし何か肌寒いし………」
「初めて来たときはクルミが腰を抜かして大変だったよね」
「急に現れるレイスっていう魔物には気を付けてね四葉君。武器で攻撃しても効かないからね、櫛枝さんが居てくれたらいいのだけれど。今は天清さんの魔法か買ってきた聖水を使うしか倒せないよ」
「聖水か…結構値段がするよな。私もクイナ様には実は悪魔か何か憑いていると思って、聖水をディアス教会で買おうとしたら思ったより高くて、手が出せなった記憶があるな」
「クイナ先輩にバレたらお仕置きじゃすまなそうだな」
「はははははは…………涼宮氏、絶対に言うなよ…約束だよ…」
僕達の話し声に誘われたのか土から骨だけの魔獣が3匹這い出てきた。中央にいる骨の魔獣はリーダーなのか骨が赤かった。徘徊しているアンデット達とは違い、骨だけしかないので身体が軽いのか素早い。
攻撃を避けるだけでも至難の業だった。避けきれずに噛まれてしまう、咄嗟に黒剣の柄の方で魔物の頭を殴ると骨は砕けてそのまま動かなくなった。
「攻撃は鋭いけど身体は脆いみたいだな。相棒とダンジョンを潜っていると見た事のない魔物が出て来るから面白いな!!」
「ふむふむ、なるほど……あの魔物たちはコカロスって魔獣だな……赤いのがレッドコカロス進化した姿のようだ!!弱点は聖なる属性と打撃みたいだぞ」
「じゃあ久しぶりにやりますか!!『飛翔剣』!!!」
「カタァタカタ…………カ……タ………」
涼宮の放った飛翔斬がコカロスの頭に当たり粉砕していく。残りはレッドコカロスだけなのだが、進化しただけあってコカロスとは違い、一撃を与えただけでは倒れてはくれなかった。
「四葉君気を付けて!!何かしようとしているよ!!」
「ガタガタ……………ガタガタ…」
レッドコカロスが身体を振るわると背骨の辺りから羽のように鋭利な骨の刃が生えて来る。広げると自身の素早さを用いてその刃で切り受けに来た。僕は必死で黒剣で受け止めるが、レッドコカロスは身体を翻して反対側の刃で攻撃しようとする。万事休すかと思ったが背後で鈍い音が聞こえた。背負っていた銀色の甲虫の羽でレッドホイロスの刃を受けとめることが出来たようだ。
「絶対に許さない!!『グラビティ・アトモスフィア』」
黒川さんの魔法がレッドコカロスに当たると自重で骨が軋みだし、やがて崩壊していった。ダイナモス・アラクネ戦の時にも感じていたが黒川さんは魔法の扱いがかなり上手くなっていた。
「大丈夫?!四葉君!!このポーションを飲んで」
「ありがとう、黒川さん助かったよ」
「甲虫のドロップ品がこんなに役に立つとは思わなかったな相棒!!」
今の装備でもあの攻撃を受け止める事は出来たとは思うが無傷とは行かなかっただろう。この気まぐれに持ってきた銀色の甲虫の羽に物凄く愛着が湧いてくる。レッドコカロスによって少し傷がついてしまったようなのでダンジョンの移動中に武器を研磨する物で磨いていくと、傷は無くなりさらに鏡面のようになってしまった。
「皆の者!!待たれよ前方からレイスが4体現れるぞ!!そして私は隠れる………」
「私の出番ね!!『ウォータ・ボール」ここに聖水を加えれば…………」
マサヨシの探索スキルによってレイス達には僕達はまだ気づかれてはいない。身を隠して目の前を通るのを待った。現れた時にレイス達の頭上に聖水入りのウォータ・ボールを落とすとレイス達の身体から煙が立ち込めて消えていく。
「作戦大成功だね!!クルミが居ればもっと楽なんだけどね」
「櫛枝さんが居れば何があるの?職業も物理攻撃がメインだったような」
「それはな相棒……クルミちゃんには『スラウオ・ソウル』ってスキルで魂に直接攻撃できるみたいなんだぜ!!アンデットには触れるだけで崩壊させて、生きているものは回復不可能攻撃の恐ろし過ぎる能力よ!!」
「もっともクルミは魔物と戦う事なんて出来ないけど、触るだけならってこの階層は凄く頑張っていたからね…」
「櫛枝さんの為にも早く40階層に行かないとね。」
道中のアンデットを倒しながら先に進んでいく、途中で気が付いたのだがアンデット系のモンスターはドロップ品を落とさないようだ。マサヨシによるとアンデットは人や魔物が大量に死んでしまった所や穢れている所があると魔素が発生してしまうらしい。
その魔素が死んでしまった魔物や人に悪さをしてアンデット化してしまうようだ。魔物なら体内の魔石で体を動かしていく。人族や魔族は生前の魔力によって体を動かしているから、魔石も消費されて出ないし身体も朽ちているから素材も出ないようだ。ダンジョンでもその特徴が反映されているのだろう。
2日間かけて30階層にようやく到着することが出来た。セルアさん達が骸骨の騎士と戦闘しているようだ。だが違和感を覚える。僕とランカさんで階層主に挑んだ時はあの骸骨の騎士は馬に乗っていたはずなのに馬がどこにも居ない。セルマさん達は聖水を用いて慎重に戦っているようだ。
「聖水でだいぶ弱っていますわ!!このまま押し切りますわ!!」
「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」
骸骨の騎士に騎士団の兵たちは魔法やスキルを放っている。骸骨の騎士は項垂れて動かなくなった。ここからが本番だこの後に黒い繭になって。巨大な骸骨の化け物になったはずだ。セルマさん達はそのまま勝利を確信したのか僕達の方へ歩いてくる。
「カナタさん!!いま階層主の討伐が終わったとこ…………」
「セルマさん!!まだ終わってない!!!」
「えっ?!総員戦闘配置ですわ!!」
セルマさんが骸骨の騎士に向かい剣を構えるが、骸骨の騎士は項垂れたまま地面に倒れこみ、何も残さずに霧のように消えていく。何かがおかしい…ヴェルタニアからも調査が来ていたので僕が戦ったのは間違いなく30階層の階層主だったはず、セルマさんに僕が戦った時の事を話すことにした。
「ここの階層主が変化するなんて聞いた事がありませんわ。わたくしも何回か戦ったことがありますが、カナタさんがお話ししたような事は1度も……何か条件があるかもしれませんわね…」
「そういう時は私の出番ではないか!!カナタ氏よ『ギガ・サーチ』!!むむむむ!!見つけたぞ!あの壁に何かありそうだ!!」
「あの壁にはホイロスダンジョンへ繋がる転送装置みたいなものがあったはず」
「これがそうなのか!!他にはこの階層には怪しいものは無いように見える」
壁に触れてみると仕掛けが作動して、石柱が見えて来た。淡く光っているようなので作動しそうだ。涼宮とマサヨシは目を輝かせてこの仕掛けを見ていた。セルマさん達はこの石柱を使って調査も兼ねてホイロスダンジョン経由でヴェルタニアに戻ることにしたようだ。
確かにその方が来た道を戻るよりは安全だし早く帰ることが出来そうだ。僕達の帰りの馬車なども手配してくれると言う事なので、帰りはホイロスダンジョンを経由して帰ることにする。出来ればホイロス城砦には近づきたくなかったが今はそんなことを考えてる暇は無いだろう。僕達はこの30階層で身体を休めていよいよ40階層まであと一歩だ。
チム子です。
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