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無職でも英雄や勇者になれますか?  作者: チム子


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55 セーフティ・ポイント



魔物が出ない階層(セーフティ・ポイント)に入ると、きれいな湖があり空には大きな魔光石なのだろうか光っているので明るかった。セルマさんは先に湖に行って騎士団の方たちと野営の準備を始めるようなので分かれて行動することにした。


武器屋に宿屋とさらに屋台まで出店している。だがダンジョン価格なのか、何もかもが外で買う5倍くらいしていた。僕達も消費したアイテムを買おうとしたがどれも高くて手が出せない諦めて帰ろうとしたが、ここであの涼宮の値下げ交渉テクニックがさく裂した。


ごり押しで5割増しの価格で消費したアイテムを購入することが出来た。店主は最後に両手を上げて降参した時には周りでこの値下げ交渉に注目していた冒険者達が拍手をしていた。



「やっぱり宿屋もすごく高いね。最初来た時なんて騙されているのかと思って魔法をぶっ放しちゃったよ」


「あそこの地面のデコボコって天清さんがやったやつなの……」


「ここの宿屋に泊まるなら湖の近くに野営をする方が快適だぜ。うちには何を隠そう、ラブリちゃんが居るから、食料やテントに調理できる魔道具まで持ってこられるからな」


「私も手伝うぞ!!食料調達なら私のアナライズとサーチを使えば、より取り見取り!!」


「さすがだぜマサやん!!じゃあ俺っち達は食料を取りに行こうぜ」


「だったら僕達は湖の近くにテントを立てて来るよ。」


僕と女性陣は湖に向かって、涼宮とマサヨシはこの階層で何か食べられるものが無いかを探してくることになった。湖に付くとセルマさん達が野営の準備をしていた。僕達に気が付くと手を振り近づいてくる。



「カナタさんもここで野営をするのですか?宿屋で休むのかと思っていましたわ。」


「そうですね。今日はお隣で僕達も野営をさせていただきます」


「カナタ~アイリが大きめのテントを立てるからさ。そこを開けてくれない?」


「大きめの……ここに来るまでのテントも十分大きかったけど……分かったよ」


「もうちょっと下がって…………そうそうその辺で大丈夫、アイリお願い」


「今日はいつもより人が沢山いるから大きい家にするね『インベントリ』!!」


「大きい…………家?……」


紫色のいつもアイテムを取り出すときに出て来る亀裂が地面に地割れのように出て来る。その亀裂から生えて来るように立派な家が生えて来た。余りの光景にセルマさんと騎士団員達、そして僕も家っていうより豪邸が地面から生えて来ると言う衝撃の光景に開いた口がふさがらなかった。



「何なんですわ!!お家が地面から生えてきましたわ!!」


「アイリのインベントリで家を回収して建てただけだよ。最初思いついた時は天才かと思ったよ。ダヴラス・ホーンの魔石や素材が凄く高く売れたから奮発しちゃった」


家の中に入ると台所や寝室や大浴場まで完備されていた。水は天清さんの魔法や湖や川があれば黒川さんの魔法でも確保できるようだ。設備されている最新の魔道具でその水を温めることも可能らしい。


かなりの金額が掛かりそうだがダヴラス・ホーンの素材ってそんなに高く売れたのって天清さんに聞いてみると、残りはカナタを虐めたアンドラス宰相に請求するようにしたのだと言う。何それカッコイイ………



「黒の魔法は色々謎が多いと聞きましたけど、これ程の魔法があるとは凄いですわ……」


「セルマさん達もここで泊まっていけば?部屋も沢山あるしどう?」


「わたくし達は訓練をかねて………」


「大浴場もありますよ」


「ぜひ泊まりますわああああああああ!!!」


「四葉君、セルマさんには私たちの為にここまで来てくれてるからいいよね?」


セルマさんには助けていただいているのでもちろん了承した。セルマさんの部隊の方々も主に女性の騎士団員の方が喜んでいる。そうこうしているうちにマサヨシ達が帰ってきたようだ、手には色々食材を持っている。



「なんじゃあこれはあああああ!!テントばかりと思って居たが家が建っているではないか!!」


「分かるよマサやん…俺っちも最初見た時は驚いたぜ……」


「大量じゃん!!でもキノコや野菜系ばっかりだね。待ってて『ウォータ・ボール』!!」


湖に手を伸ばすと魔法陣が展開されて、巨大な水球が作られていく。その中には魚が大量に泳いでいる、天清さんは水だけを器用に取り除いて大量の魚を捕獲している。青の勇者と黒の勇者が居れば衣食住には苦労しなさそうだ。



「よ~し私の仕事はこれで終わりっと。後はカナタお願いするね!!何気にカナタの料理を食べるの久しぶりだよね!」


「私も楽しみだな。四葉君、料理上手だもんね」


今持っている料理のスキルを駆使して魚料理を振舞う事にしよう。調味料などはこの家に揃っている。この世界にも味噌や醤油があることに驚いたが、恐らく過去の召喚者たちが故郷の味を忘れられず再現したのだろう。



「完成したよ!!今日は和風な感じでどうかな?みんなを呼んできて!!」


「おっすおっす!!懐かしの良い匂いがしてきた!!」


「これは……ソウル・フードの数々ではないか!!最高だぞカナタ氏!!」


「良い匂いですわ。これが皆さんの故郷の料理ですか?見たことが無いものばかりですわ」


セルマさんや騎士団の方々の口に合うか心配だったが杞憂だった。中にはレシピを教えてほしいと言う騎士団員の方も居てので和食を気に入ってくれて良かった。皆も特にマサヨシは久々のお米に涙を流しながら食べている。



「やっぱカナタの作るご飯って最高よね!どうお嫁に来ない?」


「えっ……天清さん何を言って………」


「………………………………」


「冗談だって!!アイリも美味しかったでしょ」


「そうね!!美味しかったよ!ごちそうさま四葉君」


「それじゃあ、お風呂に入ってこようかな。女子チームが先に入るね。部長…覗いたら殺すからね」


「何をおっしゃっている天清女史!!紳士である私がそのような愚かな行為をするわけないではないか!!失礼しちゃいますわ」


「わたくしの真似ですわ!!わたくしもお風呂を使わせていただきますわ」


セルマさん達を連れて黒川さんと天清さんが行ってしまった。残された男性騎士団と僕達で使った食器を片付け始めると、やはりあの男が動き出した……



「そろそろかな漢たちよ……私はこの厳しい戦いで新たな力を授かったよ………その名も『ミラゾノ・ヴィジョン』その効果は視覚の共有……これにさらに授かった私のスキル『テオス・アイ』半径100メートルを障害物を無視して見る事の出来るスキルも手に入れた!!それを掛け合わせるとどうなると思う………そこの騎士団兵A!!」


「ぼ………僕ですか?それは他の人も遠くを障害物を無視し………はっ!!」


「気づいたようだな!!ご明察通り、皆がノーリスクで覗き放題って事だ!!」


「「「マッサヨシ!!マッサヨシ!!マッサヨシ!!マッサヨシ!!」」」


残りの騎士団の方もマサヨシコールをしている。涼宮もこういうノリは好きなので参加するのかと思いきや興味が無いのか意外と紳士なのか、僕が作った料理が気に入ったのかお代わりをしている。



「カナタ氏……君もあの楽園《パラダイス》をその眼で見たいとは思わんかね!!」


「僕は遠慮しておくよ……だって…………」


「このバカちんがあああ!!それでも漢か!!後で後悔しても知らないからな!他の者ども刮目せよ!!うおおおおおお!!テオス・アイ&ミラゾノ・ヴィジョオオオオオン!!!」


マサヨシにこれまでに無いほどの虹色の光を放っている。目にその光が集まり、騎士団兵たちにもその光が共有されているようだ。だがマサヨシと騎士団兵達の反応は良くはない。



「誰も………居ない……だと………」


「そりゃあそうだろ。だってここにさっきから天清さん達が居るからね」


「部長………さっき私が何を言ってたか覚えている?」


「わたくしの隊員に愚か者が居るとは訓練が足りないようですわね………罰が必要ですわ……大丈夫腕や足の1本や2本や3本無くしても治療してあげますわ………」


「榎本君………あれだけ大声を出してピカピカ光っていたら分かるよ………」


「「「「「ひぃいいいいいいいい!!!ごめんなさああああああああいいい!!!」」」」


主犯の榎本昌義《えのもとまさよし》は天清さんの魔法で氷漬けにされて宣言通り仮死状態にさせられていた、騎士団員たちは黒川さんの魔法で徐々に体が重くなっていく中、湖の周りを100周するまで休むことを許されなかった。この件でマサヨシと男性騎士団員の絆が強くなったようで、マサヨシはアニキと呼ばれるようになっていた。



チム子です。

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