5 国王
「我が名はオルキア=ヴェンドラゴである、我らが神の信託を聞き此処へ参った」
白金の鎧に包まれた巨躯の男がこちらへ向かってくる、あれがこの国の王なのだろうか?クラスの人々も不安をより大きくさせ、その男の次の言葉を固唾を飲み待った。
「神の呼びかけに答えてくれた召喚者達よ感謝する。我が国は魔族により危機に瀕しておる、今より200年前同じく信託があり勇者が召喚され、魔族から人々を救ったと記録にある。再びその力を貸していただきたい我々人族に光を希望を照らしていただきたい」
オルキア王が頭を下げる、周りの配下は慌てて頭を上げるように促していたが暫くはその頭が上がる事は無かった、表情から察するとこちらに少し恐怖を抱いているみたいだその証拠に王の周りの配下たちは剣を抜いて王を守るように陣形を敷いている。
そこでクラスの一人が王に向かい語り掛ける、この皆が不安で動けなくなっている状況で人の為に動ける人間は一人しかいなかった。狛井霞は文武両道で、おまけに性格も誰にも分け隔てなく接してクラスで孤立している人が居たり困っている人が居ると手を差し伸べる完璧超人。昔僕が憧れた勇者やヒーローの様な人だった。だから僕は彼に対しては少し苦手意識があった情けない話、彼の生き方に嫉妬していた。
「僕たちも女神様から話を伺っています。まずはその剣を収めてほしい、皆が怖がってしまっています」
配下たちは王に目配せを送り王はそれに承諾した配下が剣を収めると今度は王が狛井君に語り掛ける。
「200年前の召喚者たちの中に人類に仇名すものが居た故、警戒してしまった申し訳ない」
「そのような事情があったのですか、しかし僕たちはあなた達に敵対する意思はありません」
狛井君は後ろを振り返り、僕達にも意思確認する、皆はそれぞれ肯定の意思を伝えるとオルキス王は小さく息を吐き、そこで初めて警戒を解いた。
「申し訳ないが我々に付いてきてもらう、王都ヴェルタニアにて采配の儀式を神殿にて受けてもらう」
王は身を翻し、円形闘技場を出て行った。後の事は配下の支持を仰ぐとの事だ、配下によると外には馬車が止まっていてそれに僕たちは乗り王都まで連れて行くという予定らしい。不安だが僕たちに選択権は無かった。知らない世界で生きてはいけないし、おとなしく王都の馬車に乗り込んだ。
1時間ほど馬車に揺られながら見た道中の景色は僕たちが異世界に来たことを改めて認識させられた、アスファルトで舗装されていない道や僕たちの世界に比べて、建物が余りにも少なくて配下の人に他の街とか村は無いのですか?と聞いていた人もいた、兵士の人が言うには有るには有るが近年魔物が増えてきて小さな村などは襲われて無くなって来ているみたいだった。冒険者ギルドやあるいは村の中に戦闘スキルがある人がいるなら存続している所も有るらしい。
「魔物が出るってよどうする?異世界から来た俺達なら倒せるかな?」
涼宮が能天気に話しかけてくる。さっきまでクラスの女子に話していたけど飽きて僕の所に来たのだろう、しかし魔物が出るのか…でも僕たちが馬車に乗って数時間経つけど魔物に襲われる気配はない
「どうするって、兵士の人達に任せるしかないよって言っても襲われる気配がないけど」
「確かになホントなら、もうそろそろエンカウントして魔物をバッタバッタ倒してる頃なのにな」
今は見ぬ敵を想像しながら拳を叩き込む涼宮が話していると僕達と年齢が変わらないくらいの兵士がにこやかに会話に入ってくる、兵士の方の名前はエルクさんと言うらしいエルクさん曰く、かなり遠回りになるが余り魔物が少ないルートで来ているのと、この馬車には加護が掛かっているみたいで弱い魔物は恐れて近づかないみたいだ。強力な魔物や魔族に関しても王国周辺の地域はエルクさんや兵士の方々が、出現情報があれば討伐隊を組んで狩っているので安心してくださいと胸を張って言われた。なんかフラグっぽいけど。
エルクさんが胸を張ったタイミングで馬車は急停止したクラスメイト達は小さな悲鳴を上げたりざわめいているエルクさんは状況を把握しようと馬車から降りていき暫くすると顔を青ざめながら戻ってきた
「先行部隊の馬車でオークの群れが現れて戦闘が始まったみたいです。なんで奴がこの地域に居るはずが…」
やはりフラグは回収された、乗り合わせた人たちは顔を青ざめさせている、一人を除いて
「よっしゃー!俺たちの出番だな相棒すぐに行こう!今行こう!!」
僕の肩に手を置き馬車の外に促すがそれを聞いていた兵士のエルクさんが血相を変えた、いくら勇者候補といえどもまだ采配の儀式を受けて無いのであればスキルが使えないし、あなた達を無事王都へ連れて行くのが私の仕事だと守る相手を危険な所へは行ってはいけないと力説された。
「エルクさんの言うとおりにしよう、ここで俺たちが出ても返って足手まといになるかもしれないよ」
勇者に憧れていた昔の僕だったら直ぐに駆けつけただろう、でもこの答えは今の自分の本心だと思う、采配の儀式が終わってからでも遅くないと思う。昔を取り戻すのは憧れた勇者や英雄になるのは。
「そうかよ、分かった、でもこの選択に後悔はしないよな?」
いつになく真剣な表情の涼宮に一瞬のまれる、もしクラスの誰かが魔物に殺されてしまったら、兵士の人たちが僕たちを守るために死んでしまったらきっと僕は…
チム子です。
初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。
少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。




