4 異世界召喚
頭が痛い…誰かの声が聞こえてくる。聞き覚えのある声だった。
僕を呼ぶ声だ次第に意識は覚醒していく、目を開けるとそこには黒川さんが寝ている僕を心配そうに覗き込み声を掛けていた。後頭部には柔らかな感覚、その正体に気づくと僕は飛び起きる黒川さんの膝枕で寝ていたらしい。
その事実に気が付くと一気に意識が覚醒した、このままではまずいと思い跳び起きる、一瞬まだ寝たふりをしようかなとも思ったけれど…
跳び起きた先でニヤニヤ笑っていたのは気を失う直前まで一緒に居た涼宮檜人だった。
「どうだった?ラブリちゃんの安眠枕はあまりにも気持ち良さそうだったから永眠するんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたぜ」
「う、うるさいそんな事より、ここはどこなんだ?さっきまで学校にいたはずなんだけど」
照れて顔が熱くなっているのがわかる、それよりも周りを見渡すとクラスメイトたちが不安げな表情で佇んでいたり、中には泣き出している人たちもいた、僕たちのいる場所は明らかに異質だった、壁面が石で作られていて映画やアニメとかで見たことがある円形闘技場のようなところに僕たちが居る。
「いや…実は俺っちもさっき起きたばかりでここがどこだかわかってないんだな」
「四葉君たちは女神さまには会って無いの?」
黒川さんが不思議そうに僕たちを見ている女神様?そんないかにもファンタジーな人物と会った記憶はない。もし女神様が居るのだとしたら是非会ってみたいがあった記憶はない。
「女神様?少なくとも俺はお会いしてないな、カナちゃんは会った?」
能天気そうに頭を掻きながら涼宮が聞いてきた、と言うことは涼宮も会って無いのか…
「僕も会って無いよ本当に学校で気を失って気が付いたらここに居た」
「だよなぁ…俺もそんな感じ寝て覚めたらここに居たラブリちゃんは違うの?」
黒川さんはこの世界に来る前の出来事を話をしてくれた。学校であの魔法陣の光に包まれた後、気を失い気が付くとこの世界と元の世界の狭間で目を覚ましたらしい。
女神さまによると、この世界には7つの魔王が居て、人族を滅亡させて世界を魔族のものにしようと目論んでいるらしい。その為に異世界から勇者候補を召喚してこの世界の人々を救って欲しいとの事みたい。テンプレの異世界召喚の理由なのだが何故僕と涼宮だけ女神さまに会ってないんだ?
「そうかぁ勇者か昔の特訓を思い出すな、カナちゃん!」
「な…やめろよな、子供の頃の話は恥ずかしい」
黒歴史を思い出して恥ずかしくなるが、内心ワクワクしていた、昔思い描いていた英雄や勇者に僕もなれるかもしれない、この世界でまたあの頃のように、心が折れてしまう前に戻れるかもしれない、特別の何かになれる可能性に僕は喜んでいた。
「そんな事言うなって、俺は楽しくなってきたぜ!!何やっても面白くなくてさ、久々だぜこの感覚、小学生以来だ」
涼宮は手のひらを見つめ、開いたり閉じたりをしながら高揚している僕もその気持ちが分かると言いたかったけど言えなかった、あの時折れた心が立ち直っていなくて、まだ行動には移せなかった。
「喜んでいる所、申し訳ないのだけれどみんなが勇者になれるわけないみたいよ」
黒川さんが女神さまから聞いた話を僕たちに伝えてくれた。異世界から召喚された人は職業や成長に補正がかかって良い職業やスキルが手に入りやすい。だが勇者候補のほとんどは戦闘職ではなくて人族を豊かにする為に生産者職に選ばれることが多いみたいだ、魔族との戦いで消耗したものを回復する為だそうだ。その戦闘職に選ばれた者の中で稀に勇者の名前の付く職業があるという事だ。
「なるほど生産者職か…大事なのは分かるけど花形は戦闘職だよな、弱きを助けて悪をぶっ殺す」
物騒な事を涼宮が言っているがその気持ちもよくわかる。僕も出来る事なら戦闘職に就いてみたい。魔族と戦うのは怖くないのかって言われたらもちろん怖いのだが、今は高揚のせいかあまり恐怖を感じない。魔族を目の当りにすると考えが変わってしまうかもしれないけど。
「私は出来れば生産職の方がいいわ…誰かと戦うなんて怖くてできない」
普通に考えればそうだよな、前から不思議だったんだけれど、アニメとか漫画で召喚された人たちは容赦なく魔物とか殺しているけど、普通は躊躇するよな魔族とか意思疎通できる者だと尚更戦う事は出来ないはず。
「どうやったら勇者なのかって分かるのかな…」
体を調べてみるが分かりやすい紋章とかは勇者の証的なものは無かった。心の中で何か覚醒しろとか魔力の流れを感じるとかしてみるが何も感じない。黒川さんが不思議そうに見つめていたので恥ずかしくなり慌てて止めた。隣を見ると涼宮も同じことを試していたそうで手のひらに力を貯めるようと唸っていた。
「これから人族の王様が来て王都へ連れて行って、采配の儀式をするらしいわよ」
それも女神様が言っていたの?と質問すると黒川さんは肯定した、なぜ僕たちの目の前には現れなかったんだろう、もしかしたら勇者に選ばれなかったんじゃ…不安になる気持ちを抑えて待つことにした。暫くするとこの世界の人たちが現れた、身に纏うものが異世界の人たちの証拠であり、その中でも一番煌びやかな甲冑を纏った人が僕たちに語り掛けて来た。
チム子です。
初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。
少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。




