44 骸骨の騎士
僕とランカさんはこの危機的状況をどうするのかを考えた。石柱に何度も触れてみても反応を示さない、壁をくまなく調べても階層主の部屋に通じていたような怪しげな石板も見当たらなかった。
骸骨の騎士は自身の目の前の大きな扉から挑戦者を待ち続けているようだ。恐らくあの扉があの階層主と戦うための正規ルートなのだろう。恐らく僕たちは完全に裏ルートから来てしまったみたいだ。
「このまま飢え死にするか、あの骸骨の騎士と戦うしか手が無いね……」
「戦うとなっても僕達だけであの化け物に勝てるとは思えないですよ……骸骨の騎士の目の前の扉からなら出られるんじゃあ……」
「それは厳しいかな…ダンジョンの閉まっている扉は内側から開かないようになっているはず。そうじゃないと外にダンジョンの魔物が溢れかえってしまうからね。あの扉から入って来る冒険者を待てば出られるかもしれないけれど……残念だけど期待は薄いね」
このまま安全地帯で待ち続けても食料もないし体力は削られていくだけだ。ふと思い出したのだがサイロさんから貰った魔道具は対となる魔道具に映像が記録されていと言っていた。この状況を伝えることが出来たら助けに来てくれるかと思ったがその考えも自身で直ぐに否定する。
パラミデスは騎士団の損失を嫌がっていた。だから失ってしまっても構わない僕達がダンジョンの調査に派遣された。この状況はパラミデスにとっても好都合だろう。階層主と戦えばその情報も魔道具に記録されるので次の攻略に役立てることが出来る。なのでこの状況を知ったとしても助ける可能性は低い。
「カナタ!!覚悟を決めるよあたい達にできるのはあの骸骨を倒せば次に続く階層に行って生き残る道を探すしかない」
「分かりました。危なくなったら……助けてくださいね!!」
「そこはあたいを守るって言えよ!!行くよ!カナタ!!」
僕達は階層主の部屋に入っていく。石板によって開かれた壁の扉は音を立てて閉じていった、これでもう後戻りは出来なくなった。骸骨の騎士はゆっくりとこちらを向き、眼下に青白い火のようなものをともした。巨大な馬も階層主の部屋を駆け回る事もなく、ゆっくりとこちらへ歩みを進めた。
「来るよ…まずは相手の力量を見ないとね…カナタは見ていて」
骸骨の騎士の攻撃範囲のギリギリまで近づいていく。骸骨の騎士も馬上からランカさんを確認すると腰に携えている剣を抜き、馬上からそのまま振り下ろす。ランカさんは2本の短剣で受け止めるが馬上からなのか攻撃は重くのしかかり膝が沈んでいく。
「骸骨の野郎おおお!中々やるじゃないのあたいに膝を折らせてのはあんたで26人目よ」
「カタカタカタカタ……」
骸骨の騎士は不気味に骨を鳴らしている。26人は多いのか少ないのか分からないが。ランカさんは骸骨の剣を獣人由来の膂力で跳ね返し。馬もその衝撃でたたらを踏む、すごい力だやはり人族とは違いフィジカルは魔族に分がある。
「ブルゥウウウウウヒィヒーーーン」
馬は怒り出したのか主を乗せたままランカさんの周りを高速旋回する。主の骸骨の騎士もその旋回の流れに身を任せながらランカさんの頭上に何度も剣を振り降ろす。どんどん傷をつけられていくランカさんを僕は見ている事しかできないのか?骸骨の騎士はカタカタ骨を鳴らし続けている。
もしかして笑っているのか…気づいた時には高速旋回をしている骸骨の騎士の顔面に拳を叩きつけていた。何故叩き込むことが出来たのかは自分でも良く分からない。拳を叩きつけられた骸骨の騎士は航速旋回をしていた馬上から投げ出され地面に転がされる。
「カナタ……今何をしたの?それにその目……」
「ランカさん!!大丈夫ですか!火事場の馬鹿力ですかね??自分でも良くわからないけどあの骸骨に一発入れてやりましたよ!ヤバい膝が今になって震えてきやがる…」
「気のせいかな……ありがと!カナタ!!馬から降ろせたなら次はあたい達の番ね!!」
骸骨の騎士はカタカタとゆっくり身を起こし、明かりが消えてしまった眼窩で僕の方を見ている。拳のダメージも僕の力ではあまり効いてはいないようだった。骸骨の騎士は殴られた頬と首を気にするように骨の手でその個所を触れ、力なくその手を垂らす。
「倒した訳じゃないよね……」
「ランカさん僕…とても嫌な予感がします…」
巨大な馬は黒い靄に代わり消えていく。その靄は骸骨の騎士の周りに渦となって周り続けた。その靄が骸骨の騎士を包んでいく。その黒い繭のようになった靄を僕とランカさんは固唾を飲んで見ている事しかで出来なかった。
やがて黒い繭が割れて巨大な骸骨が現れる。下半身は無く地面から巨大な骸骨の上半身が生えた異様な感じだ。項垂れている骸骨の頭がビクンと動き眼下には赤い炎が灯った。ガタガタガタと骨が鳴る音がする。
「カナタ……あたい怖くて泣きそうだよ……」
「僕も同じ気持ちです……逃げろおおおおおおおお!!」
「「ぎゃああああああああああああああ!!!」」
目が覚めた巨大骸骨が腕を振るだけで地面から無数の骨が生えて来る。僕とランカさんは避けるだけで必死で近づけない。地面に骨が生えて来る時に予兆があるので辛うじて避けられているが。このままでは体力の方が先に尽きてしまいそうだ。
「カナタ!!あたいが奥の手を出すから骸骨の野郎の動きが止まったら、畳みかけるよ!!」
ランカさんの額に血管が浮かび上がり瞳は収縮している。犬歯を覗かせまるで獣のような状態になっていた。唸り声を上げながら骸骨に突貫していく。地面から近づけさせまいと無数の骨を生やしていくがまるで予知をしているのかすべて避けていく。
骸骨の胸元まで突き進み拳を叩きつけた。肋骨の何本かが折れて吹き飛んでいく、しかし倒すまでは至らない。しかし骸骨の動きは止まり顔が地面へ降りて来る。ランカさんは全ての力を出し切ったのであろうかそのまま地面に突っ伏した。
「グルルルルルルルルゥゥゥ……」
「今行きます!!ランカさあああん!!うぉおおおおおおお!!」
骸骨が気にしていた首の所に全力で短剣を一太刀浴びせる。狙い通りやはり効いては無いように見えたが少なからずダメージを負っていたようだ。首の骨にひびが入るが落とすまでにはいかなかった。反対側の手でもう一太刀浴びせるが骨の堅さに短剣の方が負けて折れてしまう。
その様子を見ていたであろう骸骨はカタカタ骨を鳴らしている。自身が絶望の表情に染まっていくのが分かる。骸骨の右手で僕の身体を掴み上げ握りしめ、血液を絞り出して飲み干そうと口を開けて待っている。身体にギリギリと痛みが走った。
「ま……待てよ……が……骸骨の野郎!!!!」
ランカさんが骸骨の右腕に飛びつきよじ登って来る。僕を握りしめている右手の骨に噛みつき順番にかみ砕いていく。骸骨の拘束から解かれた僕は骸骨の首元に飛び移り短剣を両手で持ちひびに突き立てた。
「ガタガタガタ……グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
骸骨が砂のように徐々に崩れていくが、骸骨も最後の力で僕達を道ずれにするために最期の力を振るう。地面から僕達を刺し殺すための骨が生えて来る。目の前まで骨の刃が迫るが体力の尽きた僕には避けられそうにない。
ランカさんは立ち上がり僕の方まで来ると僕を掴み上げて骨の刃の攻撃範囲外まで投げ出す。僕はランカさんに手を差し出すが届かない。ランカさんの顔見ると少し寂し気に微笑んでいた。
チム子です。
初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。
少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。




