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無職でも英雄や勇者になれますか?  作者: チム子


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41 ホイロス城砦での初仕事



目が覚めると隣には何故かランカさんが僕の用意されたベットに潜り込んでいた。ランカさんは色々際どい服装なので視線が誘導されるのを必死で逸らす。今の状況が分からないが慌ててベットから飛び降りた。昨日はランカさんに会った後にここに来た経緯などを少し話をしたら結構時間がたってしまったので、ホイロス城砦の仕事については明日の朝に一緒に仕事をしながら説明をするという事になっていた。その後は案内された自分の部屋で寝たはず…



「カナタ…もう起きたの?まだ仕事には早いけど…ふぁ~」


大きな欠伸をして眠そうな目を擦っている。ランカさんはまだ睡眠が足りていないのか再び布団の中に潜り込もうとする。寝起きだったので頭が回っていなかったのだが驚きと戸惑いで目が覚めた。心を落ち着かせて部屋をを見渡すと僕が案内された部屋で間違いなかったのでランカさんが僕の部屋に侵入してきたようだ。



「ランカさん起きてくださいよ!!なんで僕のベットで寝ているんですか?!」


「うるさいな……もう少し寝かせてよ…仕事なら後で教えるから…カナタももう少し寝たら?」


ランカさんは布団を少し開けて入るように促している。その光景を見た瞬間に僕の悪しき心が「入れは入れ入れえええ!!」と叫んでいる。吸い込まれるようにランカさんの下に向かう…僕の意思では止まることは出来ない。脳裏に黒川さんが思い浮かび血涙を流しながら幸か不幸か何とか踏みとどまることが出来た。



「寝られるわけないでしょうがあああ!!ええええええいい!!」


ランカさんを無理やりベットから引きずり出すとランカさんは不機嫌そうに頬を膨らませている。この光景は目に毒いや猛毒すぎる。いつまた僕の悪しき心が叫びだすかわからないので、少し早いかもしれないがここでの仕事を教えてもらうことにする。



「仕事って真面目だね。カナタはやっぱりあたいの弟に似ているよ」


「弟さんもこのホイロス城砦に居るんですか?それより人族の城砦になぜランカさんは働いているんですか?」


「あたいはここのパラミデスに売られたんだよ…」


ランカさんは早くに両親を亡くして弟のシンラさんと一緒に親戚の所で暮らしていたのだが、ある年に大飢饉が起きて村の食料の食料が尽きてしまったらしい。同じ魔族に口減らしと食料調達の為に売られてパラミデスの所に来たらしい。王国は奴隷と魔族の雇用は禁止されているが特例でここで働いているみたいだ。


その役目ももうすぐ終わるようでパラミデスが姉弟の買った金額の3倍払えば弟と共にここを出ることを許してくれるらしく、姉弟で頑張ってやっと貯められたので後任の教育が終わり次第ここを発つそうだ。


この部屋は元々シンラさんが使っていたが、力が認められてホイロス城砦周辺の魔物の討伐に遠方まで駆り出されているので最近は会えていないようだ。ランカさんは弟の事をとても大切にしているようで不用意の聞いた僕も悪かったのだが弟の話になると止まらなかった。気が付くと仕事が始めないといけない時間になっていたようで慌てて支度をする。



「弟の話はまた今度にするとして、まずは集光石を集めないとね!!」


「集光石って何ですか?」


「この部屋にもある部屋を明るくする石だよ。触れると光ってもう一度触れたらと消える」


電気が通ってなさそうなのに部屋に明かりがあるのはこの石のおかげらしい。ヴェルタニア城にあるものはまた違う石らしくてあれは魔光石で魔力を与えると光を放つ。明るさも調節できる高価なものらしい。集光石は明るいうちに外に出しておいて吸収した光で部屋を照らすどこでも取れる安価な石の様だ。



「大変だけどホイロス城砦にある、すべての集光石を集めるのが最初の仕事だよ、夜になったら元に戻さないといけないから取るときにどこにあった石か覚えておくように」


「分かりましたランカさん。まずはこの部屋にあるこの石でいいですか?ちょっと取りにくいな……ああ!!」


「気を付けてね。落としたら……」


部屋に取り付けてあった集光石を落としてしまう、落とした瞬間に眩い光が辺りを覆いつくした。



「目がああああ!!目がああああああああ!!」


「カナタ……ちょっと抜けているところまで弟に似ているのね…集光石を割ってしまうと取り込んでいた光が一気に開放するから気を付けてねって言おうとしたのに……」


「ごめんなさいランカさん……まだ目がチカチカする…」


僕とランカさんは手分けをしてホイロス城砦にあるす全ての集光石を集めに行く、ランカさんから集光石のある部屋を記されている地図を貰って見てみるとヴェルタニア城にまではとは行かないがホイロス城砦も中々大きい。右往左往しながら兵舎や食糧庫などにある集光石を回収していく。


パラミデスの自室と地下室の集光石は回収しなくていいみたいだ、入り口で守っている騎士団の方が代わりに回収して新しい集光石をつけてくれるようだ。休憩していたのか騎士団の方が居なかったので間違って入りかけた時の騎士団の方々は表情は恐ろし過ぎた、地下室へのドアノブに手を掛けただけ首筋に剣を突き付けられたのでもし入っていたらと思うと背筋が凍り付く。



「ちゃんと地図には入ったらダメのマーク書いていたんだけどね。あたいもあの中に入ったこと無いけど、あのパラミデスの事だから碌なもの入れてないでしょうけど」


「マークってこの犬みたいなやつですか?分かりにくいですよ危うく死にかけました!!」



ランカさんは犬じゃなく狐だと言っていて怒っていた。あの狐なんかと間違われるなんて心外だと言っていたので、もしかしたらランカさんはキツネとの間に何かあるのだろうか?不機嫌になったランカさんを集光石を集めに行った時に少し拝借した干し肉を上げると上機嫌になった。食べ物で機嫌が直ぐに治るのを見ると涼宮の家で飼っている犬を思い出す。



「何か失礼なこと考えているんじゃないでしょうね…カナタ…」


「そ……そんな事ないですよ次の仕事に行きましょうランカさん」


次の仕事は魔獣『プアア』の世話だそうだ。ヴェルタニアの城下町で食べたあの串の肉は美味しかったな。プアアは魔獣なので丈夫で繁殖もしやすく成長も早い。最悪何か月か水や食べ物を与えなくても痩せてはしまうが死にはしないという事で船や戦場などに連れていかれて食べられているらしい。飼育部屋に連れられて中に入ると5、6匹のプアアが餌を食べたり寝ていたりした。見た目は僕たちの世界の豚に似ているが、豚に比べてかなり大きくて可愛くないし匂いが酷い。



「匂いはすぐになれると思う、問題なのはプアアに舐められないって事!!」


後ろを振り返るとプアアが僕に向かって突進してきていたようだ。ランカさんが気づいてくれてプアアに攻撃をしてくれたようなので襲われずにすんだようだった。プアアは魔獣の中では知能が高いようなので勝てない相手には襲い掛からないが弱いと判断した相手にはプアアは捕食するために襲い掛かって来るそうなのだ。



「カナタは弟と違ってよわよわだからね。しょうがないな!ここでお姉さんが鍛えてあげよう!!」


「鍛えるって何を?こんな所で何かできるんですか?」


「プアアを1人で相手できるようにあたいがサードニクス流剣術を叩き込んであげるわって言っても、あたいは二刀流の方しか出来ないけれどね。カナタも強くなれるしプアアにも舐められなくなる一石二鳥よ!!」


ランカさんが足に携えていた2本の剣を抜き構える。プアアは僕の存在に興奮していてランカさんが居ても襲い掛かろうとしてくる。構え方から攻撃の仕方まで実践方式で教えてくれる。容赦なく倒されてしまうプアアだが大丈夫なのだろうか?食料なので殺してしまったらパラミデスになんて言われるか分かったもんじゃない。



「カナタ分かった?サードニクス流剣術はとにかく手数とスピードが重要よ、相手の攻撃を防がなくていいの!それより強力な攻撃で捻じ伏せるのよ!!こんな感じで!!」


「ランカさんプアアが倒れて動かなくなっていますけど大丈夫ですか?殺しでもしたらパラミデスさんになんて言われるか…」


「大丈夫よカナタ。倒れたプアアをよく見て」


倒れたプアアを見ると傷口が徐々に塞がっていく。ランカさんが言うにはプアアには自動回復のスキルが有るらしく多少の傷は放っておくと治ってしまうらしい。回復に追いつかないくらいの攻撃を与えたりするともちろん死んでしまうらしいが、カナタぐらいの弱い攻撃ならいくら攻撃しても次の日には治っているとの事だ。


ランカさんやられてプアア達は大人しくなったので僕達は飼育部屋の仕事をする。まずは敷かれた糞尿で汚れた草を回収して新しい草を敷いていく。後はプアア達の餌を補充すればこの仕事は終わる。次の仕事は日が暮れる前に集光石を元に戻す事、それが終わればホイロス城砦での1日の仕事はすべて終了になる。部屋に戻ると弟自慢の話の続きを聞かされていたのだが途中から意識を失ってしまった。



チム子です。

初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。

少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。

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