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無職でも英雄や勇者になれますか?  作者: チム子


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38 牢獄



この風景は知っている。元の世界の教室前だ、最後に聞いた爆発音は本当に爆発が起きていたんだ。爆発の余波は教室だけではなく教室周りまで広がっている。幸か不幸か教室周りだけなので他には影響はなさそうだ。女神さまも世界の危機だからって言って迷惑なことをする。


どうして僕はここにいるんだろう、みんなと一緒に向こうの世界に行ったはずなのに爆発後の元の世界の風景を見ている。隣には珍しく真剣で焦っているような表情の涼宮と目の前には真っ白な少女が立っている。「世界を……救って………………終わらせ………」



夢を見ていたあの白い少女は誰なんだ?世界を救ってと言っていた。あれは女神ディアス様なのかもしれない。僕達もあっていたのか?……それよりもどれくらい眠っていたのだろう、身体がまだ睡眠を欲しているのか瞼が重く開けられない。確かダヴラス・ホーンを倒した後に騎士団の人達が来て、国家反逆罪って言われたところまで覚えているけれど……その後はどうなった?それよりも頭の中に響いてくるこの通知音みたいのは何だ?鬱陶しいな……



「四葉殿…ダメだ全然起きないですね。身体の方は治ったはずなのに3日も目を覚まさないなんて……私がもっと早くに助けを呼べていれば……」


「うぅ…………」


「おおおおお!!四葉殿やっと目が覚めましたか!!なかなか目が覚めないので心配していましたよ」


重い身体を起こし目を開けると部屋は薄暗いどこに居るのだろうか?窓から最低限の日の光が差し込んでるので眠りから覚めたばかりの目には優しいが嫌な予感がする。あたりを見渡すと床や壁は石造りで狭い部屋で扉は鉄格子になっている。絵にかいたような牢屋に入れられていた。最後に聞いた国家反逆罪の罪でこの牢屋に入れられたのか?あんなに頑張ったのにひどすぎるよ…後この通知音どうやって止めればいいんだ頭に響ていく。



「さっきからうるさいな……」


「申し訳ない四葉殿!!私も3日間閉じ込められて、寂しくてやっと四葉殿が目覚めたからつい嬉しくなってしまった故に……」


「違うんですよシキさん。ここに目覚めてから頭に何か通知音みたいなのが鳴り響いていて……」


「そういうことでしたか!安心しましたぞ!!それなら腕輪ではないですか?ほら見てください、腕が淡く光って点滅していますぞ」


腕輪の付けた方の腕を見てみると確かに淡く光っていた。軽く手だ触れてみるとファンファーレと共に声が聞こえてきた。階層主を倒したんだ、遂に僕もレベルアップしたのかと思ったが違う答えが返ってきた。


「『階層主を討伐せし者』レベルが階層主以下かつ階層主に半数以上ダメージを与えた者に与えられる称号、階層主に与えられるダメージが微上昇する」と声が頭の中で響いてくる。みんなもレベルが上がった時すぐに分かったのは腕輪の効果だったのかな。シキさんに原因を伝えると自分の事のように喜んでくれた。



「またもや称号ですか?!やはり凄いですな四葉殿は!!」


「そういえばシキさんにお礼を言ってなかったですよね。狛井君を呼んできてくれてありがとうございます!!あの助けが無かったら今頃ダヴラス・ホーンにミンチにされていましたよ」


「照れますなぁ、クイナ列伝最終章の36ページ目の仲間を助けるのを諦めるって選択肢を捨てろっす!!」


この世界に本屋とかあるのだろうか?クイナ列伝を見かけたら本気で購入を検討してみよう。目が覚めた時から気になっていたのだが僕の首とシキさんの首には金属製の首輪が付けられている。囚人と言えば足枷に手枷のイメージがあったけど付けられているのはこの首輪だけだった。



「シキさんこの首輪はなんですか?これ外したら不味いことになりますよね?」


「その首輪は奴隷錠ですねこの国は今は奴隷は禁止されていますが、昔は奴隷が逃げないように使われていたというのがこの奴隷錠です。無理やり外そうとしたり逃げようとすると死にはしないけどかなりの痛みが伴うみたいですよ…だからあまり触れない方が良いかと、今は囚人などに使われているようですね。」


「僕はともかく何故シキさんがこの牢屋に入れられているんですか?」


「私も四葉殿と同じく国家反逆罪で入れられました……」


シキさんによると僕達に助けられた気絶していたと思われていた雪待が、階層主戦の最中に予め持たされていた魔道具でダンジョンを脱出していて、階層主戦での失態を隠すために僕とシキさんが階層主戦で妨害したと王国側に伝えていたみたいだ。それを真に受けた宰相が第6騎士団をダンジョンに向かわせ僕達を捕らえたそうだ。



「あの野郎、勇者のはずなのにやることが姑息すぎるだろ……」


「ミゲルさんも面会に来てくれて私たちを解放するように働きかけてはくれているのですが、2人の勇者も雪待殿の発言を支持してあるのでかなり厳しい状況みたいです……」


「勇者なら僕達だって狛井君や黒川さんに天清さんも居るし……廣瀬も変わったやつだが力になってくれるはず!!」


「狛井殿はあの後すぐに聖女様を連れて遠い地に行ってしまったようです……廣瀬殿はあの場に居なかった勇者ですし、宰相は黒の勇者をあまりよく思っていないらしいので他の勇者の方々を頼っても我々の発言の信憑性を高めるが難しいのが現状ですね……」


「どう足掻いても僕たちはこの牢屋に入れられ続けるって事?」


「入れられ続ける方がまだましですね。下手すると死刑って事も……」


シキさんも自分で言ってこの不味い状況を再確認したのだろうか、表情が硬くなっていった。異世界召喚で断罪イベントなんて、悪役令嬢じゃあるまいし勘弁してほしい。この状況を何とか打開するために頭をフル回転させるが、脱獄するにもこの首輪が厄介すぎる。とにかく今は時間が欲しい。



「僕達の刑罰が確定するにはあと何日くらいかかる感じですかね?」


「ここに入れられて今日で3日目だから……明日ですかね……母さぁ~ん!!妹おおおおおおおおお!!!」


「シキさん!!落ち着いて…………誰かああああああああああ!!!!助け…」


「アヴリオ・ブレイブソーーーードおおおおおおお!!」


牢屋の入口の方から轟音が響き鉄格子諸共この部屋の大半が吹き飛んでいった。この技名を僕は知っている、奥から豪快に笑いながら騎士団の方々をズルズル引きずりながら廣瀬菊次郎《ひろせきくじろう》が僕達を助けに来てくれたようだ。



「だぁ~はっははは~!!呼んだかね心友《しんゆう》よ!!」


「ここに来てはいけません!!王国の許可した者でないと入室は禁止されていますので勇者様どうかここはお引き取りおおおおぉぉぉ皆も勇者殿を止めるのだあああ!!」


「騎士団の方も面白いことを言う!!心友《しんゆう》に会いに行くのに許可など必要あるわけないだろう!!ははははははは」



廣瀬を止めるべく全力で向かってくる騎士団の方々をものとはせずに僕たちの下まで向かってくる。この時ほど廣瀬が心強く思ったことは無かった。だが騒ぎを聞きつけ駆けつけたのであろう第6騎士団長リオンとその隣には騎士団の人ではない煌びやかな装飾品を身に着けている男がふんぞり返っている。


「なんだこの騒ぎは説明したまえ……」


「申し訳ございません!アンドラス宰相!!許可なく囚人と面会できないと伝えたところ……無理やり……」


「全くこれだから低級の職業の奴は使えない……アンドラス様を煩わせるな!!」


「勇者とは言えども、この蛮行は決して許されるものではないと理解しておるのか?」



青筋を立てて今にも怒り出しそうなこの偉そうなやつが、雪待の言葉を全て信じて僕達を牢屋へ閉じ込めたアンドラス宰相らしいが廣瀬は何か策があるのだろうか?無理やり連れだしたとしてもこの首輪がある限り僕達に自由が無いように思える。もう頼るのは廣瀬しかいない、頼む何か作戦があっててくれ。



「だから許すも許されないも、ただ心友《しんゆう》に会いに来ただけなのだが……困ったなぁ」



チム子です。

初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。

少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。

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