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無職でも英雄や勇者になれますか?  作者: チム子


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34 探索系の本領発揮



ダンジョン攻略最終日はクラスメイト達と協力して階層主ダヴラス・ホーンの討伐が目標だ。前日と同じように第4層までは各パーティーのルートで各々レベルを上げつつ、階層主が待ち受けている第5層にて各パーティーが全員集合したらいよいよレイド戦を開始するとの事だ。


階層主が居る各層は他の階層と違い、他のモンスターは基本的には現れないので一応はセーフエリアになっているらしい。階層主は挑戦者の行く手を阻むべく待ち構えているそうだ。なので階層主の部屋にさえ入らなければ攻撃をされることもないので準備をしてから挑むようにとミゲルさんは言っていた。



「しかしクルミちゃん強かったよな~!!炭崎は嫌な奴だけど一応は勇者のはずなのに瞬殺されていたよな」


「スキルを使ってなかったと思うけれど前に追いかけられた時と同じ感じがしたよ……」


「クルミちゃんの破壊力に雪待と緑谷もビビって逃げちゃったのは笑えたよな!!」


「あんたたち無駄口叩いてないで前からゴブリン3体来るわよ」


「「了~解」」


慣れっていうものは恐ろしい。1階層の赤ゴブリンはいまだにレベルの上がっていない僕でも、天清さんの手助けが無しでも2人で撃退できるようになった。このまま順調に4階層まで行けると良いのだが……



「あんた達!!下がって何かいるよ『アイシクル・バインド』!!」


「うぎゃぁあああ!!待ってくださ~い!!俺ですよ!四葉殿ぉおおおおおおおお!!!」


「シキさん何をやっているんですか?天清さん今の新しい魔法?すごいね足が凍らされている」


「素早い魔物にはうってつけの魔法だな!!流石アマちん日々進化しているぜ」


「魔法の事より早く助けてくださいよ~」


天清さんが魔法を解くとシキさんはダンジョンの隅の方でシクシク泣き出した。黒川さんと天清さんはシキさんとは初対面だったので、騎士団寮の先輩だと軽く紹介をしてシキさんの元に向かった。シキさんはどうやらあの3バカ勇者のパーティに抜擢されたようだ。最初は喜んだのだが勇者たちはダンジョンに向かわないし、シキさんを奴隷のように雑用を押し付けられていて散々な目にあっていたようだ。


やっとダンジョンに向かったと思ったらシキさんを置いて行ってしまった。事の顛末をミゲルさんから聞いたそうだ。話を聞いて悪いのは3バカ勇者だと分かってはいたが、置き去りにされた原因を作った僕たちをちょっと驚かせようとしたところ天清さんに捕まってしまったとの事だ。



「あの3バカと同じパーティーってマジで同情するわ『アクア・ヒール』これで治ったはずよ」


「おお~書置きを見ていたので存じ上げていました。青の勇者の天清殿ですね。先程の魔法恐れ入りました探索者スキルを使って存在を隠していたのですが流石です!!」


「私は黒川愛梨《くろかわあいり》です。シキさん騎士団寮を勝手にお借りして申し訳ありません。」


「おおおおお黒の勇者様ですね!!お噂はかねがね聞いております!!いやはや勇者様にこんなに人格者の方が居たのかと思ったらまた泣けてきました。出会った勇者が3人とも個性的な方でしたので……」


「もうシキさんも俺っち達のパーティーになっちゃいなよ」


「是非!!っと言いたい所なんですが……王命であの勇者パーティーに入るように命令されているので出来ないです。お気持ちだけありがたく頂きます」


シキさんに振られてがっかりしている涼宮であったが、シキさんの要望で3バカ勇者の所までは一緒のパーティーとして向かうことになった。罠とかはこの階層にはないがあの勇者たちに何かあれば間違いなくシキさんの首が物理的に飛ぶことになるので要望って言うか切望……絶叫に近かった。


「あの角を左に曲がれば宝箱がありますよ」


「マジかよシキさんって本当にあったすげ~な、これもスキルってやつなのか」


「鍵が掛かっていますね。ダンジョン内の宝箱とか特別な扉は鍵を何とかしないと決して開くことはありませんよ。一部例外はありますが鍵の魔道具か、もしくは探索系のスキルを使わないと開かないですね。剣聖様が全力で攻撃したって鍵が壊れることはありません」


「例外ってのは気になるけど……この宝箱シキさんなら開けられる?」


シキさんは宝箱の前でおそらくスキルを使ったのであろう。光っている道具が手に出現しそれを鍵穴に差し込んで左右に回すと鍵が開く音がして宝箱が開いた。中に入っていたものは藁で出来た可愛らしい顔が描かれていた人形だが、胴体に五寸ほどのクギが刺さっている。



「外れっすね多分……このダンジョンの下層で価値のある物は宝石系ですね。本当は妹のお土産で持ち帰りたいところですが、どうですか?勇者様方可愛らしい人形ですよ。」


「私は……大丈夫ですよ」


「私も要らないかな?勇者だし可愛いのはちょっとね…妹さんに持って帰ってあげてよ」


「本当ですか喜びますよ!!ありがとうございます!!」


「あ…相棒……あれって……」


「何も言うな」


上機嫌なシキさんと共に僕たちは第4層へと降りていく。道中で赤ゴブリンや眼帯を初めて見たシキさんは、何度もダンジョンに来たがこのようなモンスターは見たことがないと戸惑っていたが、シキさんも騎士団見習いなだけあって難なく倒すことが出来た。モンスターへの奇襲を仕掛けたり、探知スキルで事前に壁からモンスターが生まれることも予測してくれたので体力やアイテムの消耗などは最小限にすんでいた。



「俺っちも探索系のスキル欲しいなシキさんみたいに背後に音もなく接近してジェノサイドしたい!!」


「探索者の道を進みたいのでしたら、己を知り他者を知り世界の理を知るっすよ!」


「誰の言葉ですか?まさかその口調……」


「探索系の伝説《レジェンド》!クイナさんですよ!!そして真理です。時にはモンスターの心まで読んで次の次の行動をとる、探索者系の職業は心を読むことにたけています。例えばむむむむむ………っは!!隅に置けないですね四葉殿!黒川殿と付き合っているのでしたか!!それなら初対面の時に彼女だと紹介してくれても良かったのに」


「違うからあり得ないから!!黒川さんが彼女なんて天地がひっくり返ってもないから!!黒川さんもそう思うよね!変な噂とか立てないでよね!!シキさんったらまったくもう……」


「………………『エオーリシ』………………」


「ちょっと何か浮いているよ?!痛ぁ!空に見えない壁が?!これって新しいスキルなの??黒川さん?!!高いよ怖いよ降ろしてよぉおおおおおおお!!!」


「相棒よ…………お前が悪い…………」


「あんた底なしのバカね……アイリが可哀そう…しばらくそこで反省してなさい」


「はははははは四葉殿!!楽しそうですな!!」


なぜ宙に浮かされたのか理由は分からずじまいだったが後日、黒川さんと城下町で1番人気のお菓子を2人で食べに行くという条件でようやく降ろしてもらえた。条件に付いては天清さんによる誘導尋問みたいなところもあり、途中何回か黒川さんに「好きだ―とか愛している」とか言わされた気がしたが、恐怖であまり覚えていない。


とにかく黒川さんの機嫌が良くなったので良いとしよう。それに2人でお菓子を食べに行くなんてデートと言っても過言ではない!!それならばあと2、3回宙に浮かされてもいいのではと思ったが、死ぬほど怖かったので却下だ。第4層も色々トラブルはあったが、無事に階層主が待ち構えてあると言われている第5層に足を踏み入れることが出来た。


階段を下りた先には広い空間があり、奥には人の手では到底開けられないであろう大きな扉があった。その扉の前にはあの3バカ勇者が退屈そうに座っていて、他のクラスメイトや騎士団はまだ到着していないようだった。皆が到着するまで相手しないといけないと思うと胃がキリキリ痛みだした。



チム子です。

初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。

少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。

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