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無職でも英雄や勇者になれますか?  作者: チム子


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32/65

32 女神様のアイテム



振り上げた大鉈を振り下ろした瞬間、脇腹に衝撃を受けて吹き飛ばされた。痛みが全身に駆け巡るが何とか助かった。機転をきかせた涼宮が眼帯のモンスターではなく、僕に飛翔剣を当てて大鉈の攻撃から守ってくれたのだろう。黒剣を杖代わりにして立ち上がると、眼帯は地面に深く刺さった大鉈を引き抜き凶悪な笑みを浮かべて僕の方を見ている。



「四葉君大丈夫?!!ポーションを使って!!」


「ありがとう黒川さん!!涼宮も悪い助かった!!」


インベントリから出されたポーションを呷るように飲むと、一気に体が軽くなっていくような気がする。エルクさん曰く、魔法耐性があるがゆえに回復魔法が効きにくいらしい。だがポーションは大丈夫なようだ、デメリットは魔法とは違い瞬時に回復することはなく、徐々に回復する事と飲み物なのであまり回数が使えない事だ。体は回復していっているのだが、攻撃されたときに脳震盪になったのか足がふらつく。



「グォォオオオオオオオ」


眼帯が大鉈を振りかざし僕の方に突進してくる、黒川さんもデバフを唱えているが速度は変わらない。涼宮も飛翔剣を放ってはいるが、威力が足りていない。眼帯も体は毛に覆われているのでダメージが行ってなさそうだった。僕も覚悟を決めなくてはいけない、縺れる足を何とかして黒剣を構える。



「うおおおおおおおおおお!!」


眼帯と同様、僕も黒剣を振り上げる。おそらく力負けして最悪死んでしまうかもしれない、でも一矢報いたい。何とかあいつにダメージを与えることが出来たなら、倒せなくてもみんなが逃げるための時間が稼げるかもしれないと思い、黒剣の柄を全力で握りしめる。


眼帯が突進して来てるのが見える。先程から鳴っているノイズも眼帯に近づくにつれて大きくなっていく「俺………を……呼べ…」オークの時にも同じような感覚になったことを思い出すが、今は目の前の敵に全力で相対をする。あと数秒で僕を切り殺せる間合いに来る。その時に今度こそ黒剣を叩き込むために剣を振り上げる。



「あぁあああああああああああ!!!」


眼帯は大鉈を僕は黒剣を相手に叩きつけるために、互いに殺意を持って振り下ろそうとする。お互いの攻撃がぶつかり合う瞬間に、僕と眼帯の間の地面に青色の魔法陣が展開された。魔法陣からは氷柱が生えてきた。眼帯は予想外の氷柱の出現に対応できずに全力の突進の勢いで氷柱に突っ込み胸を突きさされ絶叫を上げ絶命した。



「天清さ…ん…がやったの?……」


「戦闘中にレベルが上がって『アイシクル・ランス』覚えたから、ぶっつけ本番でやったらギリギリ上手くいってよかったよ。あのモンスターに使っていたアクアジェットが他のモンスターに運よく当たったのかも」


「桔梗様ぁああ!!ナイス過ぎるだろう!!俺っちの飛翔剣あの眼帯に全く効いてなかったしちくしょ~」


「四葉君!!大丈夫だった?私…… 死んでしまうと思って……」


「大丈夫だよありがとう。黒川さんのデバフがなかったら魔法が間に合わなくてやられてたし、涼宮もめちゃくちゃ痛かったけど助かったわ」


「まぁもっと感謝しなさい俺っちを崇め奉れ!!…と言いたい所だけど相棒に飛翔斬使うアイデアマンいやアイデアウーマンはクルミちゃんなのさ!!」


「クルミなかなかやるわね!!」


「四葉君…痛い思いさせてごめんなさいわたしは……」


「ごめんなさいじゃないっしょ!クルミちゃん!!相棒に言ってやれ命の恩人だぞ崇め奉れってな」


「はは~櫛枝様おかげさまで今回も辛うじて生き抜くことが出来ました。この御恩は忘れません崇め奉ります!!」


櫛枝さんは顔を真っ赤に染めて言い出した涼宮をポカポカ叩いている。櫛枝さんのレベルが上がったせいなのか、たまに涼宮が重いパンチを受けてうめいているが楽しそうなので良しとしよう。眼帯のモンスターがドロップしたアイテムは鎧や武器の類ではなく青い宝石が付いた腕輪の様なものを落としていた。



「なんだこれアクセサリー系か?何か効果そうだけどどうする?」


「何か良さげじゃん私が貰ってもいい?青だしそれに私だし」


「私だしは良くわからないけれど良いよね?みんな」


とどめを刺したのは天清さんだし、皆も言いそうなので天清さんは早速その腕輪を装備してみる。装備した瞬間、天清さんの頭には犬の様な耳に腰にはしっぽが生えてきた。天清さんは状況が分からずにどや顔で腕輪を僕たちに見せてくる。似合っているのもあるが、余りにも可愛らしく見える。普段の性格のギャップのせいもあるかもしれない。



「天清さん似合っているわ……触らせてもらってもいいかな?」


「桔梗ちゃん。わたしも触りたいモフモフしたい」


「モフモフ何言ってんの?って何これ尻尾生えちゃってんですけど耳まで??」


黒川さんと櫛枝さんは天清さんに生えた耳やしっぽを夢中で触っている。どうやら神経も通っているようなのでくすぐったそうにしていた。天清さんが僕に助けを求めているが今の状況は見ようによっては目に毒なので聞こえないふりして敵が来ないか見張っておこう。


ちなみに涼宮は天清さんに耳としっぽが生えたのを見て腹を抱えて笑って呼吸困難になっていた。飽きるまでモフられ解放された天清さんは腕輪を外し「もういらないと渡してきたが」皆から反対されて特に黒川さんと櫛枝さんが持っておくようにと強く勧められて泣く泣く受け取っていた。



「今回もレベルが上がらなかったよ……」


「俺っちもそうだな……明日の階層主討伐でレベルが上がるかも知れないしまだ時間はあるからどんどんモンスターを狩っていこうぜ!!」


僕たちは第4層を攻略していく。あれから何回か眼帯のモンスターと戦う事になったが黒川さんと天清さんのレベルが上がったのか、デバフは初見とは違いかなり効くようになったのと、アイスランスが強力なので赤ゴブリン同様に倒していくうちに難なく倒せるようになっていった。


あの腕輪は初回にドロップして以来出てこなかった。代わりに眼帯のモンスターの毛皮かコボルト装備のちょっと良いものが落ちたので装備の方はありがたく貰うことにした。相変わらず涼宮はカッコよくないから嫌だといって装備していない。



「見つけたわこの先に次の階層につながる階段があるわ」


「ありがとう黒川さん今日はここまでにしてちょっと早いけど地上まで戻ろう明日の準備もしたいし」


「それがいいわね流石にちょっと疲れたしあんたは怪我大丈夫なの??」


「ポーションのおかげかもう痛みは無いし大丈夫だよ」


「四葉君すごいな…わたしなんてモンスターさん怖いから戦えない……」


「僕もそのはずなんだけどこの世界に来てから何か平気になってしまったんだ最初のオークとの戦いで麻痺しちゃったのかな??」


「相棒は昔からこんな感じだったぜ!!今までは猫をかぶってただけ。クルミちゃんは秘密兵器だから気にしない気にしな~い」


階段を下りて階層主を見たい気持ちを何とか沈めて僕たちは地上に戻ることにした。昨日と同様ミゲルさんが召喚者たちを待っていたので腕輪の事を聞いてみると、やはり女神ディアスの創り出したアイテムであろうとの事だった。


希少性もあって商人に売りに出せば3代くらいなら余裕で暮らせるくらいのお金になると言われ目が金になった約2名(涼宮と天清さん)が居たが、残りのメンバーの強力な反対によって否決された。ミゲルさんに眼帯の毛皮を見せたところ驚いた表情をした。



「この毛皮まさか…ワーウルフか?!…しかし奴は中層に出現する魔物…まさかな…毛色も違うし…気のせいだろう……」


「ミゲルの旦那ぁ…この毛皮が気に入ったんですかい?旦那でしたら安く譲るぜ!!」


「ちょっとあんた何言ってんの?ミゲルさん困ってんじゃん」


「おっ本当か?この毛艶に肌触り中々に良いものだ。とてもコボルトの毛皮には思えない。最近毛皮が高騰していて中々手に入らなかったんだ。まだ先だが冬に纏う外套が欲しいと思っていたところなんだよ。私の妻のものも入れて何枚か買わせて頂けるか?」


「まさか食いつくとは思わなかった!!毎度ありおまけにもう1枚つけておくよ!!」


「涼宮はまた勝手なことして……まぁミゲルさんにはお世話になっているし良いか」


ミゲルさんからの思わぬ報酬を頂いた。おそらくかなり多めに貰ったので、僕たちはそのまま城下町に足を運び今日使用したポーションなどを買い足して最後のダンジョン攻略の準備をして帰路に着いた。



チム子です。

初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。

少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。

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