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無職でも英雄や勇者になれますか?  作者: チム子


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29 初めてのダンジョン攻略



ダンジョン攻略初日、僕達以外の戦闘職のクラスメイト達もダンジョンの前に集まっていた。幸運なことに会いたくなかった3勇者はこの場には居ないようだった。集合時間の定時になったようなので王国騎士から今回のダンジョン攻略の概要の説明が始まった。



「私の名はミゲルだ、召喚者様この国の為とは言え戦いを強いる事に誠に申し訳ない。再び魔族の動きが活発してきた、どうかそのお力を我々に貸していただきたい。魔王は強大な力を持っているが故に今のままの力で立ち向かってもいくら勇者様であろうとも刹那の間に死ぬだけだろう」


「や……やっぱり無理だよ……私見たんだ…オークって言う化け物……それよりも強い魔王と戦うなんて勇者でも無理なんでしょ…私、怖いよ…」


「そうだよな……」「何で俺たちが……」「早く家に帰りたいよ」「自分の国の事だろ……」


クラスメイト達の不満がここに来て噴出する、当たり前の反応だ強制的に連れてこられて自分の体の何倍も大きい怪物と戦わされる。王命で逃げることも許されない。理不尽にもほどがある、僕や涼宮の方が異端だ自分でも不思議なのだが、戦う事の恐怖とかはあまり感じない。自分の世界では周りの目に恐怖してきたのに……



「すまない……それでも私たちは君たちに力を貸してもらうようにお願いするしかない。出来る限りの援助はする、ダンジョンでのレベル上げには我々も同行して命を賭して守ると誓う、だから今一度お願いする我々と共に戦ってほしい」


クラスメイト達の不満の声も、真摯に訴えかけ頭を下げているミゲルさんを前に徐々に消えていった。ミゲルさんは感謝の言葉を言うと今回のダンジョン攻略の予定について説明する。全部で3日間探索するようで最終日には第5層の階層主に挑戦するようだ。もちろん騎士の皆さんも共闘するとの事だがクラスメイト達の表情は硬い。



「まずは1階層から4階層の探索なのだが騎士を含めたパーティーを何組か作ってもらう。騎士はどれも副騎士団長クラスの力を持っている。50層までは難なく探索を進められる実力の持ち主だ、不測の事態が起こったとしても彼らなら対処できるので安心してレベルを上げてもらいたい」


「だったら皆で集まった方がより安全じゃないんですか?わざわざパーティーを分けなくても……」


「それには理由があるのだ、経験値はモンスターを倒した時に周辺に居たものに振り分けられる。確かに皆で集まって行動すれば安全性は上がるのだが、レベル上げに関しては効率が極端に落ちるであろう」


「分かりました……不安はまだあるけれど騎士の方もいるし頑張ってみます」


「ありがとう……では何組か分かれてもらおう」


クラスメイト達は各々パーティーを作り出した。僕たちは騎士団寮メンバーで固まっていたので勇者目当てで来た者もいたのだが、無職の僕と涼宮も付いていくというと違うパーティーの所に走っていった。やる気だけは無職ズは負けないのだが、皆には不安要素でしかないようだ。ミゲルさんが僕たちのパーティーに近づいてくる。



「君はユーリ団長から聞いているよ。名前付きを倒した英雄だと、素質もあるとも言っていた。それに青の勇者に彼女は黒の勇者だったな。英雄に勇者二人も素晴らしいパーティーだな後の二人も……」


ミゲルさんはおもむろに涼宮の体を触りだし「ほうほう……いや中々……素晴らしい」と呟き涼宮もが体格のいいミゲルさんの前に成すすべもなくされるがままになっていた。次に櫛枝さんにロックオンすると鋭い眼光になったと思いきや子供をあやすように頭をなでていた。


「ゴホン……しばらく会えていない娘に少し似ていたので失礼致した。君もなかなか鍛えてあるようだ。これならば我々騎士団が居なくとも探索は問題なく出来るであろう。レベルが高いものが近くに居ると経験値もおのずと少なくなってしまうからな」


「任せてくださいよ俺っちがバッタバッタ倒してガンガンレベル上げるっすよ」


「ちょっと何勝手な事……」


「素晴らしい!!君たちのような勇者たちを待っていたのだよ!!勇敢で人々の光になれるような……彼も素晴らしかった。先日同行した狛井殿も力に溺れずに信念のある目をしていた。ハハハハハハハこれもディアス様の導きだな!!」


涼宮の迂闊な発言により僕たちのパーティーに騎士の方が同行しないことになった。黒川さんと櫛枝さんは目を白黒させており天清さんは怒り心頭な表情をしているが、当の本人はダンジョンに入るべく、騎士から他のパーティーの探索が被らないようにルート別に記された地図を貰い上機嫌だ。初手から幸先が不安なダンジョン攻略が始まった。



「入ってみたはいいけれどモンスターの姿が見えないな…」


「ずいぶん進んでみたけれど居ないわね、他のパーティーに先を越されたとか?」


「私は怖いし出てこないのならばそれに越したことはないのだけれど……」


「わたしも……」


ダンジョンの1層は洞窟のような作りになっている全体的に暗い感じなのだが、ダンジョンの壁が薄っすら光っているので僕たちは何とか行動が出来ている。最初は感動していたのだが、数時間も歩いていれば自然と飽きてきた。しかもモンスターらしいものには一度もあっていない。



「もっとバッタバッタ倒したかったのに詰まらないな、お~~い出てこ~い」


「バカ!!そんな大きい声を出したら……待って何か来る!!」


天清さんが向いた方向から緑の人型の化け物が現れた。おそらく異世界もの定番のゴブリンだろう「ゲギャギャ」と下卑た鳴き声をさせており、黒川さんを視界に捉えると目が弧を描く、それを見た黒川さんは小さく悲鳴を上げると、それが回線の合図になり、ゴブリンは手に持っているボロボロの小刀を振り上げ襲ってきた。



「黒川さん達は下がっていて僕が行く!!」


「ゲギャギャギャギャ!!!」


振り下ろした小刀を黒剣で受け止めるが小柄な体系に釣り合わない位の衝撃が重くのしかかる。オークと比べると大したことは無いのだが、それでも片足が付くぐらいには威力があった。力任せに黒剣を振り下ろすとゴブリンは体勢を崩した。それを機に涼宮は自身の剣をゴブリンに振り下ろすと、断末魔を上げ絶命した。



「あっぶね~まさか本当に来るとは思ってなかったわセーフセーフ」


「セーフじゃないアウトだよ!!あのゴブリン相当力が強かったよ、1匹だったから良かったもののいっぱい来てたらヤバかったよ」


「あんた達大丈夫?怪我はない?」


「僕たちはちょっとびっくりしただけで大丈夫だよ。天清さん達は大丈夫だった?」


「うちは大丈夫だけどクルミちゃん達はかなり怖かったみたい。無理はないけれど…でもさっきの戦いで何もしていなかったけどレベル上がったよ魔法も覚えたみたい」


「みたいって何ぞ?俺っちは何も変わった感じないけど」


「女神さまから貰った腕輪の効果なのかな?何か頭の中で声が聞こえて、魔法もその時に使い方を教えてくれるって感じだね」


黒川さんと櫛枝さんも新たな魔法は取得しては居ないが、それぞれレベルが上がったようだった。ゴブリンに異変があるというので見に行くとダンジョンに吸い込まれるように死体が飲み込まれていく。死体があった位置にはボロボロの小刀と小さな石ころがその場に残っている。



「多分この石は魔石だよな……これは持っていくにしても、この小刀どうしようダンジョンといえばモンスターがドロップした戦利品なのだが……」


「一応持っていこう、換金とかもしかしたら出来るかもしれないし黒川さんお願いできる?」


「分かった『インベントリ』他にも何かあったら言ってね」


「静かに!!何か聞こえる足音さっきより多い……叫び声で集まって来たのかも」


ゴブリンが洞窟の奥から3匹駆けつけてきたようだ、弓ゴブリンと小斧ゴブリンが追加されている。武器のバリエーションも豊富なようだ。弓ゴブリンが弦を引き絞り櫛枝さんに狙いを定める。



「よっとそうはさせないっと!!皆は俺の後ろに集まって盾で守るから」


「そのまま守ってなさい、うちもさっき覚えた魔法で戦うわ『ウォータボール』!!」


魔法で生成された水球がゴブリンの頭を包み込む、3匹のゴブリンは呼吸が出来なくて暴れまわるがやがて力なく倒れていく。青の攻撃魔法を始めてみたが恐ろしすぎる。苦しんで死んでいくゴブリンの様を見ると軽くトラウマになりそうだ。3匹ともダンジョンに吸い込まれると同様にそれぞれ持っていた武器と魔石をドロップした。



「さすがアマちん強すぎる!!俺たちが苦労したモンスターを一瞬で…俺っちも魔法使いたい!!」


「うちまたレベルが上がったみたい結構簡単に上がるのね」


「え~俺っち全然まだなんだけれど……ずるいずるい」


「私も上がったみたい」「ごめんねわたしも……」


「僕のスキルの効果で上がりやすくなっているのかも、まだ時間はあるし涼宮も焦らず……って壁にひびが!!何か来る?!」


ダンジョンの壁のひび割れから赤いゴブリンが出てきる。明らかに緑のゴブリンより強そうだ。持っている武器もボロボロではなくて切れ味の良さそうな小刀を持っている。赤ゴブリンはこちらに視線を向けるとニタニタと下卑た笑みを浮かべている。



チム子です。

初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。

少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。

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