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無職でも英雄や勇者になれますか?  作者: チム子


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27 大罪人メアリー



僕たちは初ダンジョンに向けて防具や武器を揃えに城下町に来たのだが、やはりこの国の中心なだけあって活気が凄かった。いろんな屋台や宝飾品も売っているようだ。お祭りのような雰囲気で自然とテンションが上がって来る。涼宮は早速屋台で買い物をしようとしている。



「おぉ!!いつしかの勇者様じゃねぇか!!うちで買ってくれるのかサービスするぜ!」


「おっちゃん残念ながら俺っち勇者じゃなかったのよ……しかも無職…うぅ心の傷が」


「勇者様じゃなかったのか、しかも無職かじゃあサービスはなしだな……って冗談よ生きてりゃそんなことある。俺だって職業は剣士だがこうして屋台で剣じゃなくて串持っているぜ!!」


「おっちゃん~ありがとな串焼きあるだけ買っていくわ」


涼宮は串焼きを大量に購入し僕たちに何本か渡してくれたので食べてみるとかなり美味しい、屋台のおじさんに何の肉を使っているのかと聞くと『プアア』という魔獣の肉らしい豚肉とかなり近い感じがする、櫛枝さんと黒川さんは魔獣と聞いて一瞬顔を顰めたのだが美味しさに勝てず涼宮から貰ったものは食べてしまっていた。



「私が知っているお店はこの通りの先にあるのだけれど何時もより人が多いねそれに何かピリピリしてる?」


「そりゃな剣聖様を殺害したという大逆人メアリーの処刑日だからな…運悪いときに来ちまったな。いつもならもっと大道芸人とか詩人といて賑やかなんだが」


「剣聖様を殺害とかめちゃくちゃ強いんだなその人、もしかして魔族がメタモルフォーゼして侵入してきたとか?」


「め、めた何とかは知らんが人族だよあのお方は……まぁ気になるなら、予定ではまだまだ時間が空くがこの先の大通りを通って広場に行くから運が悪ければ見られるかもな。だが広場まで行くことはお勧めしない、首を落とされるんだ、いい気分には絶対になれないだろうよ」


元よりダンジョンに向かうための装備を買いに来たのだからいくら悪いことをしたからってこれから死んでしまう人を野次馬根性で見に行く気にもなれないのでそのことを伝えるとみんな安心したようだった僕たちは屋台のおじさんにお礼を言い屋台を後にした。



「天清さんおススメのお店はどの辺りにあるの?」


「あそこの大通りを抜けたところにあるんだけど人通りが凄くなってきたね、みんな離れないようにね。特にクルミ小さいからカイトは目を離さないようにね」


「アマちんの命令は絶対!!クルミちゃんから目を離さないであります!!」


「えええええええ!!!」


「黒川さんも皆から離れないようにね」


人波がどんどん押し寄せてくる中で、気が付くと僕たちは大通りの最前列まで流されてしまっていた。天清さんのおすすめのお店はこの大通りを越えた先にあるのだが兵士が一定の間隔で立っており封鎖されている、兵士に聞くと暫らく通れないそうだ。魔族対策なのか予定を繰り上げて大逆人を広場まで連れていくのだそうだ。



「引き返すのも人が多すぎて無理そうだし、このまま通っていくのをみていくしかないっしょ」


「私……怖いな…たいぎゃくにんさん…他の人たちも」


「私も周りの人の目とか表情が怖くて……」


先程までの活気のあった街の様子とは打って変わって、人のどす黒い感情が辺りに伝播されていくのが分かる。剣聖を殺した大逆人メアリーはどんな人なのか気にならないといえば噓になってしまうけれど、早くこの場から離れたい。大通りの向かいに目を向けるとそこにはユーリさんが悲しげな表情で観衆を見つめていた。声をかけようとした瞬間大勢の人の声が空間を震わせた。



「「「おおおおおおおおおおおお」」」


観衆達が一気に声を上げる観衆達の視線の先には鎖で繋がれた痩せぎすの女性が歩いている。観衆たちはモノを投げたり呪いの言葉を投げかけたりしている。黒川さんと櫛枝さんはこの状況に恐怖し座り込んでしまった、やがて最前列の僕たちの所まで歩いてきた。その女性は俯き足を引きずっており、投げられたものが当たったのか真新しい傷が額にできて血が伝っている。



「どうなってんだ俺にはこの人が剣聖を殺したようには見えないけど……」


「僕もそう思うけど……僕たちはこの世界にきて知らないことが多すぎるから」


目の前を通った時にその女性は鼻歌を歌っていることが分かった。とてもやさしいメロディーで誰かを思っているのか柔らかな笑みを浮かべている。鼻をすする音が聞こえたので見ると天清さんが涙を流していた。



「ご……おと……か……くん……に……ちゃ……」


何かを呟いていたが僕には聞き取れなかった。天清さんにはその言葉が届いたのだろうか、右手に魔力を帯びた光が発するが、涼宮に抑えられ力なく右手を下した。僕たちが行動すればこの狂気は間違いなく僕たちに降りかかるだろう。そのまま広場に連れ去られていく女性を只々見送ることしかできなかった。



「ごめんね。なんかさあの人が悪い人に見えなかったから助けなきゃって……もう大丈夫だから、街の人たちも広場の方へ行ったみたいだし気を取り直してお店の方へ行こう」


「よっしゃーアマちんも言うと通り俺っち達の装備を整えるためにレッツらごー!!お金足りなかったら貸してください」


「あんたが馬鹿で本当に良かったわ、まずはあんた達の装備ね」


天清さんが入っていった店に入ると武器やら防具やらいろんな種類が置いてあり品ぞろえは良さそうだ、気になる値段だがどれもこれも高すぎて手が届きそうにない。



「アマちんさんよ……どれもこれも高すぎないかいお金を借りたとしても手に届かないよ」


「安心なさい。このお店の地下には掘り出し物があるって、銀貨も1枚貸してあげるからカナタに渡しておくね、あの馬鹿にあげると無駄遣いしそうだし」


「まじかよ、異世界での掘り出し物ときたら妖刀とか危険なにおいがする武器や防具があるって相場が決まっているよな、早速見に行こうぜ相棒!!」


「じゃあ私たちは違う店に行くから、買い物が終わったらさっき見かけた噴水の所で集合しましょう」


「天清さんや他のみんなはここでは買っていかないの?女性用の装備も表で見かけたけど……」


「男子と違って装備以外にも買うものがいっぱいあるのよ付いてくる?」


いろんな想像が頭に思い浮かぶが首を横に振って女性陣を送り出した。本当は二つ返事でついていきたかったがその瞬間に変態の称号が手に入りそうなのでやめておくことにした。地下に降りていくと武器やら防具やら無造作に置かれていた。値段を見てみると天清さんの言うと通り自分たちでも手が届きそう。



「相棒よ怪しげな刀やオーラを纏っている甲冑とか無いのだが……ユーリさんところでその剣貰った時に他にもヤバそうなのがあったって言ってただろ、そういうのありそうか?」


「あってたまるか、まじでヤバいからな生命力吸われたり、人格変わったりするんだからな」


「聞くのが一番早いか……おっちゃーん掘り出し物で妖刀とかヤバいもん売ってない?」


「んなもん店に置いてるわけねーだろ!!そこに置いてあるものは見習いが作ったものとか落としてキズ付いちまった物を置いてるだけだ冷やかしなら帰ってくれ!」


涼宮は仕方なく地下にある装備を見ていく、僕には貰った武器があったので防具を探すことにする。天清さんの言う通り掘り出し物が見つかった。


動きやすそうな革製の鎧だが目立ったキズも無くサイズもぴったりだった。涼宮も気に入った防具と武器が見つかったのだが案の定お金が足りなかったので天清さんから貰ったお金と僕のも少し足して後は涼宮の強引すぎる交渉で何とか買うことが出来た。



「ありがとな~相棒!!明日はこの武器で敵を千切っては投げてみんなを守るぜ~」


「意外と早くに終わったな、先に噴水の所まで行って待っていようか」


「りょ~かい!!俺っちの華麗なる交渉で浮いた金で何か買うか?」


「浮いてないし寮の食料も買い足さないといけないからこれ以上無駄遣いすると明日から夕飯なしだな」


「そりゃ勘弁だぜ~そうとなれば食料買って待ち合わせ場所へ向かおう」


僕たちは食料品を買ってから待ち合わせの場所に向かった。涼宮の華麗なる交渉術で思ったより買うことが出来たので思わぬ収穫だった。次からも華麗なる涼宮を連れて買い出しに行くことにしよう。噴水の場所に着くとユーリさんの姿が見えた。



「やあ四葉殿……奇遇だな……」


ユーリさんの表情は暗く何か思い詰めているようだった。



チム子です。

初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。

少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。

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