22 クイナ先輩とゲーミングマサヨシ
全身が筋肉痛で体が重い、昨日の疲れが全く取れないうちに朝が来てしまった。シキさんも昨日は相当厳しい訓練をしたようだ。疲労で足元がおぼつかない様子。涼宮はまだ部屋から出てきていないのでおそらくまだ寝ているのだろう、まだ訓練には時間があるようなので朝食を済ませよう。
「いや~四葉殿が来てから食生活が豊かになってありがたいです。今までは素材そのままを噛り付いていたので助かります」
「料理は趣味みたいなものなので全然気にしなくて良いですよ。勝手にやっているだけですから」
「おっすおっす良く寝たわ~完全復活!!」
涼宮が自分の部屋から降りてきて挨拶をする。僕やシキさんと違い本当に疲れが全く無いようだった。オークにぶっ飛ばされた時といい、涼宮の回復力は桁違いなのかも知れない。
「今日もクイナ先輩とガライ師匠にビシバシ鍛えて貰いますか!!早く飛翔斬使ってみてぇしな!!」
「クイナさんですか?!!あの第3騎士団の?!凄いなぁ!!僕たち探索者系の憧れの存在ですよ!」
クイナさんそんなに凄い人に見えなかったんだけど、シキさんの熱量からして本当に憧れの存在らしい。そしていつの間にかガライさんが涼宮の師匠になっていたのだが、もしかしてガライさんも相当凄い人なのでは?
「第5騎士団のガライさんも戦士系の中では憧れの存在的な?」
「ガライさんですか?…すみません全く聞いたことないですね」
「えっ師匠、人気無いの…」
朝食を済ませて僕たち3人は訓練場に向かうシキさんとは途中で別れて昨日訓練した場所に到着するとそこには櫛枝さんと何故か榎本昌義が待っていた。僕たちに気が付くとマサヨシは嬉しそうにぶんぶん手を振っている。
「お~い四葉氏!!待っていたぞ!!聞いてくれ私の悲しき話を」
「もうすぐクイナさん達が来るから手短にな」
マサヨシの悲しき話を聞く事によると、昨日意気揚々と物語のような主人公になるべくこの訓練場に来たのだが、支援職なのもあって、どこの騎士団からも訓練を拒否されたみたい。ところが何処からか聞いたのか、無職の2人を鍛えている騎士団があると言うことを聞きつけて急ぎ馳せ参じたという事らしい。
「とにかくあいつら酷いんだよ!!特に第6騎士団かなんか知らないけど、無能だと言って私をいじめるんだ~」
足に纏わりついてくるマサヨシを必死に剝がそうとする。しかしどこにそんな力があるのかが分からないが剝がれない。「騎士団の先輩を紹介してくれよ~私もつよくなりたいのだ~」梃子でも動かない感じだったし、マサヨシの気持ちも痛いほどわかるので、断られる可能性を伝えてから紹介することを了承した。
「まぁ師匠たちも何だかんだ面倒見が良いから何とかなると思うぜ」
「おぉ涼宮氏!!希望が見えてきた。ともに強くなろう!!となれば朝の走り込みだ!!」
涼宮もマサヨシのノリは嫌いじゃない。むしろ好きなので全力で乗っていた。一緒になって訓練場のだだっ広い外周を全力で走っている。クラスメイト達も徐々に集まり、その中に櫛枝さんの姿を見つけると目が合いこちらへ向かって来たが黒川さんの姿は見えなかった。
「おはよう櫛枝さん。今日は黒川さんと一緒じゃないの?」
「今日はミアさんが迎えに来て、第5騎士団の部屋で魔法の訓練をするから訓練場には来ないみたい」
「そうなんだ他の勇者も騎士団の方で訓練するのかな?初日から姿が見えない勇者も何人かいたけど……」
黒川さんや狛井くんはともかく他の勇者たちは単独行動が好きな方ばかりなので、今日もどこかで好き勝手に何かしているのだろう。天清さんは多分この世界の歌を求めて城下町辺りに行っているのかも知れない。天清さん曰く「どんな国でも歌と踊りは必ずある。それってとても素敵じゃない?」ってキラキラした顔で言ってたな。あれは正直、黒川さんと言う女神が居なければ落ちていたな。
「他の勇者のみんなは知らないけれど、天清さんは城下町に行くって言って出て行ったから、兵士さんがすごーく困っていたよ。狛井君は昨日の訓練がとても優秀だとかで今日はだんじょん?に騎士団さん達と訓練だって」
天清さんは予想通りだったけど、狛井くんがダンジョンだと?!悔しいけれどあの赤いオークを采配の儀式の前に一撃で仕留めていたのだから納得だ。僕も早くダンジョン攻略とか異世界っぽいことをしてみたい。そうこうしているうちにマサヨシ達が走り込みを終えて帰って来てから休憩しているとクイナさん達がやってきた。
「今日は後輩ちゃん達と別に新しい顔が居るっすね!」
「私は榎本昌義です!ポジションは鑑定士です押忍!!私にも訓練をしてくださいお願いします!押忍!!」
「鑑定士って支援職じゃねえか?団員にもいるけれど相当気合がないと死ぬぜ……」
マサヨシは変なテンションになっているが、受け答えはしっかりしているので感触は良さそうだ。案外簡単に参加出来そうで安心する。一つ不安なのがいつも笑顔のクイナさんが笑っていない事なのだが…もしかしてこれって物凄く深刻?
「覚悟はできています。強くなって物語のような主人公になってハーレムなムフフな展開に……」
「ダメっすね。うちには分かるっす。オーラって言うか気合が全然ダメっす」
「だってよ坊主!!残念だがおとなしく商人とかをやるのが金稼げてハーレム生活に一番近道だぜ。まぁ何故か鑑定士は早死にが多いが強く生きろよ!!」
マサヨシは分かりやすく落ち込んでいる。涼宮はすんなりと受け入れられていたので、おそらくクイナさん的には涼宮は覚悟完了していたのだろうか?あきらめきれないマサヨシは、最後に自身のスキルを見て判断してほしいと地面に額を擦り付けている。まさかとは思うがあのスキルを披露するのではないのかと不安になる。
「仕方がない分かったすよ。スキルを見せてくださいっす」
「これで決めてやる!!!おおおおおおおおあああああサーーーーチイイイイイイ!!!!」
この前見た時よりも光り輝いている。このゲーミングマサヨシモードを昨日の合同訓練で何だかんだスキルレベルが上がって使い物になるようになったのかも知れない。光にあたるとやはり心地よく暖かい。冬とかに重宝されそうだ、目が痛いけれど……ガライさんもクイナさんもこのスキルは見たことが無かったのだろうかかなり驚いている。
「いっぱいいっぱい人がいるよ!!!そしてぇぇええええええ!!あとかすかに暖かいよね。」
ガライさんとクイナさんは目が点になっている。派手な演出に相反して残念すぎるスキルの効果に言葉を失っている。昨日と比べて変化したことは気合で光量が増えた事ぐらいか。
「それなんの役に立つんすか?」
クイナさんの辛辣な言葉がマサヨシの心にクリティカルヒットしたようで、マサヨシは膝から崩れ落ちる。ガライさんはその光景を見てただただ大声で笑っている。
チム子です。
初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。
少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。




