21 クイナ先輩と楽しい訓練
先程の騎士団の隊長の紹介にユーリさんの姿が無かったので第3騎士団はこの訓練に参加しないと思っていたのだが、目の前に今にもブチ切れそうなクイナさんと不敵に笑っているガライさんが仁王立ちしている。
「……クイナさん」
「あ゛ぁ゛」
「クイナさ……」
「あ゛ぁ゛!!!」
「……クイナ先輩はどうしてここに…ついでにガライさんもユーリさんが居ないので第3騎士団はこの訓練に不参加かと思っていました」
「俺はついでかよ、やっぱ上下関係を今すぐでも叩き込まねぇといけないな」
あのヤバい聖剣を掴ませようとしたのは絶対に許せない、あの愛マニアみたいな姿になっていたのかと思うと恐ろしい、なのでガライさんにはこの対応でまったくもって問題ない。
「俺っち達にも紹介してくれよあの第3騎士団の団員さんみたいだけど」
そういえば昨日は展開が早すぎて第3騎士団の事何も伝えてなかったからな、僕は涼宮と櫛枝さんにこの二人の紹介をすることにした。昨日の事もざっくりと話すと聖剣と魔槍の事に涼宮は食いついたが止めるようにクギを刺しておく。
「まあ俺たちは団長に頼まれて来たってことよ。本来ならば第三騎士団は不参加なんだけどよう」
「四葉殿を他の騎士団に取り込まれるのを何とかして止めるように言われたっす」
ユーリさんは僕の事をだいぶ買ってくれているようだった。でも采配の儀式の結果は散々だった。無職でデバフ付きの戦闘には不向きな変なスキル…期待を裏切ってしまう結果になってしまったがこのことを伝えないとさらに裏切る行為になる。それは自分自身が許せない。
「僕は先輩やガライさんに教えを乞える資格なんてないんですよ。実は采配の儀式で無職だって言われたて……だからユーリさんに期待に応えられなくてすみませんって言っておいてください……」
僕の言葉を聞いたクイナさんとガライさんは顔を伏せ震えだす。そうだよなクイナさんは初めての後輩ができたと言っていたし、ガライさんもなんだかんだ昨日会ったばかりの僕の事を悪意はあったが可愛がってくれていた。残念な気持ちでいっぱいになった時に二人は一斉に笑い出した。ガライさん至っては地面を叩きながら大爆笑して立てなくなっている。
「ちょっと何笑ってるんですか昨日それでショック過ぎてしばらく動けなくなったんですよ」
「ごめんごめん!!やっぱり無職っってぷっクスクス聞いたことないって、しかも後輩ちゃんって召喚者様なんだよねレアすぎるもはや珍獣!!面白過ぎるっす」
「ふぅ~久しぶりにこんなに笑ったぜ!!なおさらカナタは第6騎士団には連れて行かさないって言うか行けないな!」
散々笑われたが行かさないっていう事は無職だと知っていてもこの人たちは見捨てないでくれると事に感動する。でも第6にいけないって言う意味は何だろう…やはり無職なのがいけないのか第5騎士団長のミアさんも僕に対してはひどい扱いだったし。
「行けないっていう事はやっぱり無職だからですか」
「そうだな第6は血統至高主義の上に職業至高主義だから無職だと知ったら扱いが下僕以下だろうな」
「そうっすね、自分だっておこぼれで剣聖になれた偽物のクソ雑魚剣聖なのにっすよ」
クイナさんの話によると剣聖は厳密にいうと職業では無いらしい、剣を扱う職業で国王と教皇から最強と認められた者が名乗っていいとされているもの。だがある日、先代剣聖が殺されてしまった。犯人は捕らえられたそうだが、国内は最強のはずだった剣聖がやられたと国内は荒れに荒れたみたいだ。
国内を安定させるために慌てて任命されたのが、現剣聖の第6騎士団リオン=ガラートなのでユーリさんの方が剣術の実力は上だ。謂れのない素行不良や諸々の思惑で、剣聖に任命されなかったのが第3騎士団は納得していないみたいだ。
「というわけでクイナさんが人肌ぬいであげちゃいますよ。ビシバシボコボコにしてやるっす」
「でも何度も言いますけれど僕は無職ですよ鍛えても強くならないかもしれないですし」
「そんなの関係ねぇよ!俺たちの団長が認めたんだ自信持てよ。俺たち騎士団員にもすねに傷ある者はいるし職業も無職は居ねぇけど戦闘職じゃなくても戦っている奴もいるからよ!!そんなことより何にしても強くなりてぇって心よ!!それに俺もお前をボコボコにしてぇしな」
前半感動して涙が出そうになったがガライさんの最後の本音の中の本音が出てしまったので涙が枯れてしまったが、無職でも鍛えて貰えるということを素直に喜ぼう。
「じゃあ早速鍛えるっすかね。確認っすけど後輩ちゃんとカイっちは無職で、クゥちゃんはユニーク職業のバーサーカーだったすよね。黒の勇者様のラブリちゃんもよく一緒に居るって聞いていたけど……第5に取られちゃったすね。まぁ魔法はよくわからないので金の亡者の第5で結果オーライっす」
「怖っ!!クイナ先輩なんで涼宮や他の人の情報を知っているんですか?話した記憶ないですよ」
「本業だからね!!後輩ちゃんはクイナちゃん先輩に隠し事はでいないのだぜ!!」
親指を立ててどや顔している。そういえば僕の職業に対してもやっぱりって言っていた。クイナさんの職業はおそらく暗躍して情報収集するタイプのものなのだろう。昨日もパラミデス卿について何か調べていたみたいだったし、気にはなるが命が欲しいので深くは追及しないでおこう。それと決して言うつもりはないが第5騎士団や特にクイナさんの悪口は決して言わないようにしよう。
「俺っちもクイナさんの事、先輩って呼んでいいですか?」
「良いっすよ!!後輩ちゃんが二人も増えて嬉しいっすね。それに何かカイっちとは波長が合いそうっすよ」
櫛枝さんのほっぺが少し膨れているのが見える。確かにクイナさんと涼宮の波長が何となく合いそうなのが分かる二人とも適当な感じが似ている気がする。涼宮というと今度はガライさんの筋肉に興味を示したのか「すごい筋肉キレてるキレてる」言いガライさんも「そうか…」とまんざらでもなさそうだ
「あとはクゥちゃんっすね」
クイナさんは櫛枝さんに近づき耳打ちをする何となく聞こえてしまって分かってしまったのだが「クイナさんは団長一筋っす。だからカイっちは取らないから安心して欲しいっす」櫛枝さんは顔を真っ赤にしている「なんで…誰にも言ってないのに…はっ…本業…」」小声で言っているがクイナさんの本業関係なく見ていればバレバレだと思う。
「まずはスキルっすね後輩ちゃんとカイっちは戦闘スキルなしで良いんすよね」
「そうです、やっぱりスキルがないと戦闘は厳しいんですか」
「スキルはあるに越したことはないっす、でもスキルなんてなくてもスキルっぽい技は出来るっすよ」
知りたい女神に見捨てられて職業は無いし、スキルも良くわからない僕にとっては称号を手に入れてスキルを身に着けるよりもより現実的な方法に心臓が跳ねる。
「そうなんですか!!クイナ先輩教えてください」
「ふふふふ教えて進ぜよう、例えば剣士系のスキル飛翔斬は剣戟を飛ばして敵を切る技なんすけれど、まぁ見てみるのが早いっすね。ガライさんあの的に向かって飛翔斬を打ってみてください」
「見て慄けよ!ガライ様の飛翔斬は一味違うぜ『飛翔斬』!!」
大剣で空を横薙ぎにしたかと思うと結構距離が開いているが的は横一文字に真っ二つに裂かれた。夢にまで見たスキルを間近で見れて感動したのだが同じことをしてみろと言われてもできる気がしない。
「ガライさんの職業は重戦士だからもちろん下位の剣士系のスキルも使えるっす次はうちの番っすね」
新たに用意された的の前に立ち大剣ではなくクイナさんの短剣を使い先程のガライさんと同じく横薙ぎに短剣を振ると同様に的は真っ二つに裂かれる。
「「おおおぉぉぉぉ」」
「っとまあこんな感じっす。うちは剣士系の職業じゃないから飛翔斬は使えないけれど同じような動きをすれば剣戟は飛ばせるっすよ。どうしても威力は落ちるし、うちの場合は違うスキルを使って遠距離攻撃するか高速で近づいて首を落とす方が早いっすけど」
首を落とすとか物騒なことを言ってはいるがこれなら僕たちでもできそうな気がする。ステータス的には中級の騎士団より低いぐらいって言っていたので、非戦闘職よりも希望は持てると思う…多分
「団長が居ればもっと詳しく簡単に教えることが出来たっすけど残念っす」
「マジで?!団長が居れば簡単になるの?なんで!!俺っちも剣戟飛ばしたい~」
「団長はガラート剣流の師範代だからね正統継承者は雑魚リオンの野郎になっているけれど、何個か型があるみたいでその全てがガラート剣流の技に繋がるらしいよ。まずは飛翔斬だね。クゥちゃんはどうする?」
「私は…見てるだけで…大丈夫です…」
クイナさんは何か言いかけたけれど言葉にしないで飛翔剣の訓練に取り掛かる。負傷した腕の方はエルクさんの包帯のおかげか問題なく動かせるようになった。僕と涼宮は剣戟を飛ばせるように何十何千と振るったがさすがに今日一日では飛ばせるはずもなく、宣言通りにビシバシボコボコに鍛えられてボロボロになりがらも何とか寮に戻り泥のように眠った。
チム子です。
初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。
少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。




