14 第3騎士団の武器庫にて
武器庫に入ると数多の武具が無造作に置かれていたり厳重に保管されている、その中でも邪悪な雰囲気がするものや逆に神聖な感じがする武具もあるようだ、特にあの邪悪な雰囲気を醸し出している槍はダメな気がする、本能が危険だと警告音が鳴りやまなかった。
「あまり入ること無かったから埃っぽくてごめんね」
フレイさんはそのことに気にも留めずにその中にある武器や武具を見繕おうとしている、その中には例の槍も入っていた、その槍を手にしてぶんぶんと振り回しこちらに麻袋で表情は見えないが恐らく満面の笑みだろう事が動きでわかる。
「この槍なんていい感じよ、ただ何か入ってるね、魔槍の類かな」
「無理ですよそんな怖いもの!何か入ってるって何ですか?却下です!!」
「はははっはフレイ君その槍はまだ四葉殿にはまだ早いんじゃないかな、入っている奴も魔獣の類ではなさそうだ…」
フレイさんは残念そうに、その槍を元の場所に戻している「団長も過保護すぎるよね持ってるだけでちょっと生命力吸われるだけなのに…一番強そうなのに残念……」と物騒なことを呟いている、やはりフレイさんはこの団で一番常識人かと思っていたけれど…勘違いだったかもしれない。
「団長、例のあの武器この新人に試してみたらいいんじゃないですか」
いつの間にか新人にされているのだが、その筋骨隆々の男がニヤニヤしながらその武器を指さしている。示す方向を見ると無造作に置かれている武器や武具の中に神聖なオーラを放っている、ひと振りの剣があった周りの武具や武器には埃や汚れがあるにもかかわらず、何故かその武器は何かに守られているのか埃や汚れなど一切なかった。
「そんなこと言うなら…ガライが試したらいい…この団で試していないのはその子とあなただけ…」
いつの間にか入団しているらしいのだが、先程の魔法杖を持った少女団員がその筋骨隆々の男にジト目で見ている。神聖なオーラを放っているが危険な武器なのか?見た目はかなり気に入っていたんだけれど怖くなってきた。
「そりゃないぜ、リーゼ嬢、俺は嫌だからな、それを持った団長見ただろう思い出しただけで…」
ガライはクスクスと笑い出しユーリは眉間に皺を寄せていたが急にあの怖すぎる笑みを浮かべた。ガライはその笑顔を見た瞬間全速力でその武器庫から逃げようとするがフレイに片手で止められる。ガライさんはフレイさんに持ち上げられるとその神聖な剣の前まで運ばれていった。
「あの武器はそんなに危険なんですか?フレイさんも試したのですか?」
「その逆よ全く危険がないのよ、私も試したけどダメだったわ、持つこともできなかったよ。多分この子のせいね…」自身が持っている巨大な斧を見て残念そうにため息を吐いた。
「私の後に団長が試したんだけれど…ふふふふふ…まぁガライをみたらわかるわ」
そのガライはというと聖剣の前に立ち滝のように汗をかいている、危険じゃないのになぜそんなに嫌なのかユーリは腕を組み、フレイはワクワクしてるのであろう落ち着きがない、その他の団員たちはこれから起こるであろう事にニヤニヤしている。
「なんで俺が…余計な事言わなかったらよかったぜ…やるしかないよな…」
覚悟を決めたのか聖剣を拾い上げると周りの団員は「来るぞ…来るぞ…」と何か期待に満ちた目で見ている、ガライは腰が抜けたのか、一瞬座り込んだが、すぐに立ち直りこちらに振り返るが様子がおかしい、澄んだ目でこちらを見つめて聖剣を大事そうに抱えている
「どうしたんですか?ガライさん何か様子がおかしいですけれど」
「やっぱダメだったか、これからもっと面白くなる四葉殿も見ているといい…リーゼ攻撃呪文をガライに放て」
リーゼは目を閉じて何やら念じるような動作をすると魔法杖の先に火の玉が形成されて次第に大きくなっていく、初めて見る攻撃魔法に感動していたが、いくらガライさんでもあんなもので攻撃されたらケガだけじゃ済まないかもしれない。
「ちょっと待ってくださいよガライさんにそこまでしなくても」
「大丈夫だよ見ていて」
フレイさんは手をひらひらさせながら余裕があるように見える他の団員達も手を叩くものがいれば指笛をするものまでいるリーゼの放った火球はガライにぶつかると轟音を出して爆ぜていく、爆風に他の武具や武器が飛ばされたり僕自身も吹き飛ばされそうになるがフレイさんに抱えられて難を逃れた。
「ちっヤれなかったか…ざんねん」リーゼがジト目のまま言うとその爆炎は収束されてやがてガライさんの姿が見えてきた、どうやら無傷なようで視認ができる魔法障壁なようなものに包まれていた。
「やめましょう、争いなんて何も生みだしません、話し合えばきっと分かり合えます…」
「ガライさんのキャラ変わってしまった何なんですか?やはりあの聖剣が?」
「あの聖剣は強力なのだけれど強い精神浸食魔法が付与されてるみたいで、精神魔法無効のスキルを持っている団長でさえあの聖剣を持つとあの状態になってしまうの、まあ聖剣を手放すと元に戻るから安心して」
なんてものを持たせようとしたんだ、あの剣は絶対に持たないと心に決めた、そのガライさんとはと言うと「愛があれば、人にやさしくなれるはずです、暴力では何も解決しませんよ」愛を…愛に…愛があれば…と何やら愛を説いていた。
「フレイさんどうやってあの状態を治すのですか?」
「そうねぇもう解放してあげようかな、みんなも十分楽しんだだろうし」
おもむろにフレイさんは自分の斧を振り上げてガライさんに全力で叩きつける。ガライさんの体が宙に浮き武器庫の壁にめり込んだ。叩きつけられたその衝撃でガライさんの右手から聖剣が地面に落ちた。悲惨な姿だが服や体には一切ケガや汚れは無く無傷だった。
「こうやって手放すほどの衝撃を与えれば聖剣から解放されるから安心して、君も試してみる?この聖剣を持っている限り多分死なないわ」
「多分?!結構です、僕は普通の武器で十分です身の丈に合った武器を所望しまする」
「に…逃げんじゃねえ…お前も…」
ガライが恨めしそうな目でこちらを見る。ズルズルと僕に向かって這い寄って来ていたのだが、体は無傷でも精神は摩耗しきっていたのだろうやがて泡を吹いて気絶した。
焦りのせいか早く武器庫から出ようと何でもいいから受け取ってこの場から逃れようと必死に探す。ふと視界に入った武器を手にしてその剣を掲げた、刀身からすべてが黒の曲剣で持ち手が大きな円になっている少し変わった形をしている。手に取った感覚は邪悪な感じも神聖な感じもしない。
「こんな武器うちにおいていたかな?どれどれ」
フレイさんがその武器を手にぶんぶん振り回した後に黒い剣を壁に立てかけたと思うと自身の斧を振り上げる。焦って引き留めようとするが遠慮なく振り下ろされてしまった。しかし黒剣は叩きおられることなく形を保っていた。
「おお凄いねこんな剣あったんだ!特に攻撃力上昇の付与とかされてないけれど恐ろしく丈夫ね」
「フレイの斧でも叩き割れないとは、しかし武器に付与スキルがないのはな…」
ユーリは不満そうにしながら辺りにもっといい武器がないかと探し始めたのだが眼鏡にかなうものがなく「仕方がないやはりこいつか…」あの邪悪な感じの槍を取ろうとした所で…思わず叫んでしまった。
「僕はこの剣にしますこの剣じゃないと嫌です!!」
「では他の武器も一緒に…」
「いえ結構です!!!」
無理やり他の武器も渡そうとするユーリさんを全力で拒否しやっとこの特にスキルもないが恐ろしく丈夫な黒剣だけで納得してもらえた。
黒剣を鞘に入れて腰に装備すると前に借りた剣に比べてかなり重さを感じるが中々様になっていて、フレイさんもユーリさんも手放しでほめてくれるから、少し気恥ずかしかった。
チム子です。
初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。
少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。




