12 騎士団長の直感
目の前にいる団員はすべて合わせて10人ほどいるが本当に団員の方なのかが疑わしい。何故なら麻袋をマスク代わりにしている妖艶の美女?のフレイさんにも勝るとも劣らない個性的な風貌をしていた。騎士と言えばまず思い浮かぶのが統一された鎧と剣だと思うのだが、確かに鎧をつけている団員もいるのだが、中には騎士というよりかは山賊やならず者と表現したほうがしっくりするような格好している者の方がこの中だと多かった。
その中にこの個性的すぎる集団には似合わない小柄の可愛らしい少女が何かを伝えたそうにじっと僕の方を見つめていた。格好を見ると恐らくこの騎士団の魔法職の団員だろうか?自分の背丈くらいの魔法杖を持っている。目が合うと近づいて来て少女が話しかけてきているのだが、声が小さくて言葉の断片しか聞き取れない「…さん…仇…ありがとう…」恐らく感謝の言葉を伝えてくれているのだろうと思い、ぎこちない笑顔でいえいえと手を振るとぺこりと少女はお辞儀をして筋肉隆々の眼光が鋭い団員の所に戻っていく。
「四葉殿、本題に入る前に、私たちのことを紹介しようかな、私たちの事を君に知って欲しい」
ユーリさんは団員たちを見回すと団員たちは先ほどの様子と打って変わって、騎士団らしく整列をし抜刀して自身の胸に当てるその佇まいは間違いなく騎士団そのものだった。僕は圧倒されてその場に立ち尽くしていた、だがその感動の余韻はすぐに終わりを告げた。
「堅苦しいのはこれまで~この体勢疲れるのよね」
フレイさんが重そうな両刃斧を降ろすと他の団員達も各々剣や他の武器を収めて撤収していった。ユーリさんは頭を抱えて「これでは格好が付かないでは無いかと…」呟いているがほかの団員は気にも留めていないようだった。
「第3騎士団は他の騎士団と違い団員のほとんどが貴族ではない、この国の市民や魔族に村や国を追われた難民達で構成されている。他の騎士団からは騎士の誇りや伝統などと誹りを受けたりする事もあるが…それよりも大事なものがあるそれは何か分かるか四葉殿…」
「人々を守りたい心…ですかね…」
僕が呟くように答えるとユーリさんはうつむき肩を震わせている、やばい答えを間違えたのか?結構模範的な回答をしたと思っていたけれど冷汗が滝のように出てくる、消去法だがこの中で比較的まともそうなフレイさんのほうを見ると麻袋の穴から見える瞳は微笑んでいるように思える。
「くっくくくくくあはははははははははははは」
ユーリさんは手で顔を覆い天井を見上げて笑っている、その狂気的な笑いにドン引いているが、笑っているということは正解の答えを導き出したのであろうと安堵しているとルークさんに両肩を掴まれる
「分かってくれるか、やはり僕の目に狂いは無かったようだ…そうだ騎士団で何より大切なのは心だよ、僕の騎士団は皆が魔族により家族や友人、恋人を奪われてしまった者たちで構成されている。その恨みや憎しみの力はどの様な武器や魔法にも勝る力だよ…君にも分かってくれて嬉しいよ」
全然わからないのですが、全身から汗やら何やらが吹きだしてくる正直言ってめちゃくちゃ怖い…ユーリさん一人称変わっちゃているし、僕が言った言葉「心」しか合ってないしエルクさんが関わっちゃいけないって言ってる理由が何となく垣間見えた気がした。
「是非君にはこの騎士団にスカウ…」
最後まで言い切る前にユーリさんの頭のほうに何か衝撃を受けたかのように前のめりに体勢を崩した、ユーリさんの後方には拳を振り下ろしたのであろうフレイさんが立っている。
「カナタ君がかなり引いてるので止めなさい!!」
フレイさんの振り下ろされた会心の一撃はさぞかし効いたのであろう。ユーリさんは目を白黒しながら、かなりのダメージが入ったのであろう頭を手のひらで抑えながら悶えている。
「ごめんねぇ、うちの団長は素質が在りそうな子を見ると我を忘れしまいがちで悪気はないの…許してあげてね」
「素質ですか?まだ采配の儀式もやっていないのにわかるのですか?」
「私の直感なのだが、君を一目見て分かったよ…それに君は私の若いころによく似ている、ちょっとした自慢なのだが私の直感は外れた事は無いよ…」
いつの間にか復活しているユーリさんが自信に満ちた目でこちらを見つめる。狂気を孕んだユーリさんに似ていると言われるのはかなり思うところがあるのだが、まだあまり親しくはない間柄だが異世界の騎士団長に素質が在ると言われるのは正直に言うとかなり嬉しい。
「それよりも団長、早く本題に入らないとカナタ君の采配の儀式に間に合わなくなってしまいますよぉ」
「それもそうだな、スカウトしたいのも本音なのだが、そろそろ本題に入ろうか」
ユーリさんがまたあの練習したのであろう笑顔を見せ背筋に尋常じゃない悪寒が走るのだが、本題の内容が自分にとって最悪でないことを祈って、僕は固唾をのんで見守るだけであった。
チム子です。
初めての作品なので誤字やら脱字やらあると思いますので申し訳ありません。
少しでも心に何か残せたら嬉しいかな。。。




