あっ天国?
教えてもらった道を興奮が抑えられずに走って進むと一際目立つ大きな建物がみえてくる。私の家の半分の大きさくらい…それでも王都にある建物で言ったらありえないくらいに大きい。門扉の前には馬車が並んでいる。貴族や商人だってここを使うのかしら…それほど専門性のある貴重な本だってあるってこと…!?更に興奮してきたわ!!!門をくぐると本を携えて指を向ける人の銅像が現れる。
…識字率の向上を唱えたガーベッジ王だ。私の曾祖父時代の王であった彼は一部の者たち、貴族だけが知識を得て平民たちから搾取することをよしとしなかった。また平民たちに知識を授けることの危険性に気づいていたが、それでも反対を押し切ってその道を開いた。…結果としてその行いは成功して大きな反乱なくこの国はさらなる発展を続けている。…本当頭が上がらないわ。ありがとうございます!でもごめんなさい、私もう我慢できません!!!挨拶もほどほどに建物の中に入る。
濃厚な色が特徴の木を使った二重扉、ギイっと扉が開けると独特のにおいが感じられる。決して嫌なものでなくてどちらかというと好きな本独特のにおいだ。辺りは高い天井まで及ぶほど本棚に囲まれていて棚ひとつひとつに厚い背表紙が詰まっている。それだけでなく奥には大きな階段が、その上にも更なる本たちがちらりと見えている。
っあ、これはいけないわ。だめよ、こんなのみせられては
「天国…」
それしかいえない、思わず扉の前に立ち尽くす。えっこここそが天国よね。上を見ても左を見ても右を見ても本の山…私死んでいるのかしら。思わず脈をとってしまうがうん、生きてる。どれほどの本があるのだろうか、是非とも全て読み尽くしたい!というかしてみせる。そう心に新たな決意を刻む。
はっ私は本を読むのよ!上から制覇していくのが定石だろうかと2階に上がって恐る恐る本に手を伸ばすと読んだことのない、聞いたことのないような天文書が現れる。あっちの棚では農耕書までもみつかった。読んだことのないジャンルではあるが興味はある。…全部読むのだから読んでいいわよね?いいわよね!!読書だ!私は天国にいるのだから!




