準備完了
先程父に確認したところ
『ん~?ごめんよシルヴィ!なんだかパパ巻数間違ってたみたいだ!お詫びにこの…』
バタンと扉を閉めて書斎を後にする。ならば取り寄せてもらうように頼むしかない。
『すぐに注文しても届くのは来週以降になりますわ、シルヴィア様。街に行くにしても今は手が空いてるものがいなくてですね…』
頼みの綱であったカエティたちからの返答もこうだ。今までも散々お預けを食らって我慢していたのに最後の最後でまたもお預けを…!まだ明日に読めるのならばいい。けれど来週…来週までこの狂おしいほどの読書欲を我慢できない!
こうなったら…!
夜が更ける頃合いを見計らって読書を中断。洗濯物が置いてあるスペースに、居間にも階段下にもするりと忍び込み、仕込みや色々と失敬して部屋に戻る。どっきどっきいう心臓を抑えてかっぱらってきたものたちをクローゼットの奥にしまいこんで珍しくちゃんと夜に眠る。
朝になると侍女達の訪れがあったりするものだが、引きこもりのシルヴィア様は読書を邪魔されるのが嫌いだから。と訪ねてこない。此れ幸いにと昨夜準備したものたちを引っ張り出し、広げて身につけていく。んんー少し大きすぎるかな?でも平民の子はサイズの合う服を何回も仕立てることができないらしいから平気か。袖と裾を捲り、ピンで留めて動きやすいようにする。そして少量の炭を使って綺麗すぎないように所々汚し、最後に長い髪を結い、キャスケットを被る。
「準備完了!」
今の私はどっからどう見ても貴族の令嬢は見えないのではなかろうか!眼鏡もついでにかけ、階段下でみつけたもとは肥料が入っていただろうずだ袋も肩にかける。備え付けのバルコニーの近くには大きな木が生えているのだ。部屋を出て外から見られぬように細心の注意を払う。そして手すりに足をかけて木の方へ一気に…飛ぶ!!!…私の部屋は屋敷の2階にあり、なかなか危険だが元お転婆としてはこんなものなんのその。太い枝に着地し、昨夜の内に仕込んでいたロープを使って地上に着地。すぐにロープを隠して物陰を選んで屋敷から離れる。久しぶりに日が指す外に出たなぁ。
そう、私はこれから周りに内緒で街に行く。毛頭我慢などする気もないのだ。




