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裏口? 俺達は悪くないんだから堂々と前から行くに決まってるだろう

「裏口? 俺達は悪くないんだから堂々と前から行くに決まってるだろう」


 カリー商店が近づき、冒険者に見つからないように裏口に回ろうと提案するナコとミニニは俺の言葉を聞いて顔を青くしている。


 店の前までつくと冒険者達の集まりがこちらに気付いた。しかし元店長と包帯の修理屋は、商会を乗っ取ったマテーヌに辞めさせられたことで有名だったので変に絡まれたりはしなかった。

 冒険者の中を通って店の扉の前につくと真昼間だというのに閉店の看板が掛けられていた。


「押せば開くかな?」


 俺が聞くとナコは首を横に振る。この状態ならカンヌキで閉じられている可能性が高いらしい。

 蹴破って扉が開いて冒険者達がなだれ込んできても困ると思った俺は、冒険者の方に振り返り大声で叫んだ。


「尻拭いにきたんだが準備がいる! 扉が開いてもこちらが呼び込むまでここで待っていてもらえるか!?」


 俺の声を聞いた冒険者達はざわつき始める。すると代表っぽいやつが俺の前に出てきた。


「俺はマハだ。あんたのことは知ってる、あんたが辞めさせられてからここの質が落ちた。その尻拭いにきたあんたに俺達は手を出さねぇ。でもなここにいるやつら大半がその理由で集まってるんじゃねぇ」


 マハは落ち着いた口調ではあるが力強く握っている拳からは血が滴り落ちている。冷静でいるために自分に傷をつけているのが俺にもすぐわかった。


「俺もあんたたちの話は少し聞いた。あんたたちの大切な人が大変なことになったこと。俺なんかが言っても足りないと思うが謝らせて欲しい。申し訳なかった」


 俺が深く頭を下げると「お前が辞めなければ」と言う声が冒険者達の中から聞こえてきた。

 マハがその声を止めさせている。

 俺は頭を上げて続けた。


「残念なことに俺からその人にできることは1つしかない」


 そう言いながら俺はマハに近づいて鍵を渡す。


「その鍵は商会の事務所の鍵だ。表も裏もそれで開くそれを使って商会にいるやつらを全員連れてきてくれないか? そいつらに償わせる方法がある、それと――」


 俺はマハに頼むとマハは全員に聞こえるように声を上げる。


「いいかお前ら! これから店の扉が開いても誰も中にはいるんじゃねぇぞ! それから10人くらいは俺と来い」


 そういうとマハは明らかに20人を超える人数を連れて事務所の方に走り出した。

 振り返るとその様子を妙ににやけた顔で見ているナコと青い顔で見ているミニニがいた。


(ナコはアレ(・・)知ってるし笑いたくもなるよな……)


 次に俺は扉の方を振り返り大声で叫ぶ。


「あーあー、今から扉を破壊するもし扉の前にいるなら5秒以内に扉から離れろよーご-、よーん、さーん」


 ナコがミニニの手を引っ張って急いで扉から離れる。ミニニは状況をよくわかっていないようだがナコに引かれるまま扉から離れる。


「にー、いーち」


 俺はポケットから石ナイフを取り出し大きく振りかぶる。


「ぜーろ」


 次の瞬間、俺の投げた石ナイフで店の扉は跡形もなく吹き飛んだ。

 中に入ると広い店内、天井も高く高級感のある雰囲気。


(普通に来たかったな)


 俺がそんなことを考えていると隅の方で顔を真っ青にしながらへたり込んでいる青年がいた。


「ソノ!」


 そういうとミニニが青年の元に駆け寄っていく。

 俺は二人の感動の再開(?)を無視してナコに「いい場所ないか?」と聞くと従業員用の休憩室に案内してくれた。

 椅子をすべて端に寄せてテーブルを作業台として使えるようにしていく。


 ミニニとソノという青年が休憩室に入ってきたときには準備はすでに終わっていた。


「これから冒険者達に売った粗悪品の修理を無料で行う、折れていてもボロボロになっていてもこの店で買ったものなら全部無料で直す。お前らには店を担当してもらう、俺の修理はナコ以外に見せれないからな」


 そう言ってまだ理解できてない2人をナコに任せて俺は再び扉の外に出た。出てきた俺に冒険者達の視線が集まる。


「この店で売ったすべての商品の修理を無料で行う! マハ達が戻ってきて話が終わるまで作業は始めない。お前たちの誰でもいいからこのことを広めてくれ」


 俺の声を聞いた冒険者達は最初誰も動けないでいた。しばらくすると何人か冒険者ギルドの方へもう何人かが門の方へ走り出したのが見えた。


(宣伝はこれでいいか)


 俺は店の中に戻ると3人が札作りをしていた。ものすごい量の修理が来ると予想できるので取違いのないようにする札を作ろうとナコが言い出したそうだ。

 俺も3人に混ざって札作りを手伝った。


 しばらくすると店の入口の方から甲高い騒ぎ声が聞こえてきた。

 俺とナコは嬉々とした表情で、ミニニとソノは少し青い顔でその声を聞いていた。

 マハが俺を呼ぶ声が聞こえた。


「ナコ、俺はマテーヌの出方が俺達の意に沿わない場合はアレを発動させるつもりでいる」


 俺が確認するようにナコに告げるとナコは悪い笑顔で俺に返してくる。


「私はすぐにでも使うものかと思ってましたよ」


 そして俺達は立ち上がり店の入り口に向かって歩き出した。奥の手をくれたカリファーの馬鹿に感謝しながら。

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